データ活用によるCTV、テレビ広告の可能性―ATS Tokyo 2024イベントレポート
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on 2024年12月25日 inデジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。
「データ活用によるCTV、テレビ広告の可能性」と題した本セッションには、エン・ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長 田中 奏真氏、株式会社トライステージ 取締役 谷本 秀吉氏、株式会社TVer 広告事業本部プロダクト統括 兼 プロダクト開発部 部長 大野 祐輔氏が登壇した。
各登壇者は「CTV広告市場の最新傾向」「CTV広告における活用指標」「クリエイティブにおけるテレビCMとの違い」などに言及。広告主・OTTメディア・広告会社それぞれの立場からの意見が飛び交った。
動画広告の市場でのCTV広告が占める割合は年々増加している。動画広告のテレビ端末への配信比率は、大野氏によるとTVerユーザーのデバイス割合ではCTVは4割近くを占めるとのこと。エン・ジャパン田中氏は、事業を成長させる上でCTVに将来性を感じ広告参入を決め、それまでのリスティング・ディスプレイ広告の予算をCTV広告に移動させたという。今年はさらなる投資を行っていると述べた。
CTV広告の活用目的・指標については、登壇者3名とも現段階では「テレビCMのリーチ補完」が目的となっていると同意したうえで、谷本氏は今後のCTV広告の活用指標について「ダイレクトマーケティング効果にどれだけ寄与できるかは大きいと考えており、さらにビュースルーがひとつのキーになるのでは。」と述べた。田中氏は、指標においては広告配信後のアプリダウンロード数・ウェブサイトへのコンバージョン数値に着目しており、「テレビCMのリーチを補完しつつ、テレビCMの接触頻度別にコンバージョンレートを見ながら運用を変えて成果を上げていきたい」と、より立体的な活用法を示した。
そこで課題となるのがCTV広告における効果計測だが、谷本氏は「広告評価の課題を突破しない限り市場が大きくならない。今は指名検索単価、ビュースルーコンバージョン単価がひとつの可能性のある指標だと思っている。ここを普及して進めていきたい。」と、前向きな姿勢を見せた。
クリエイティブにおけるテレビCMとCTV広告の違いについて、大野氏は「CTV広告は、大きい画面でクリエイティブを見せられる認知媒体として活用できる。」とし、谷本氏も「CTV広告はストーリーやコンテンツでユーザーの注目度を高めるといった創意工夫ができる媒体。デジタルマーケティングで培った手法を応用できる。」と述べた。田中氏は、昨年はテレビCMのクリエイティブ を転用していたが、今年はCTVに適した広告を制作したとのこと。CTV広告ならではの利点・柔軟性を活かしたクリエイティブ制作が行われている。
最後に、今後CTV広告に出稿したいと考える広告主に対してメッセージを求められた田中氏は「スモールスタートで、ひとつの媒体と予算を決めてまずは配信してみることを薦める。」とし、その予算でできること・取得できるデータのイメージを持つことから始めていくことが重要だとアドバイスを送り、セッションを締めくくった。
ABOUT 角田 知香
イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。