IDレス環境におけるパブリッシャーの収益向上を実現する―Intent IQ主催「Intent IQ VIP NIGHT」[イベントレポート]
2026年5月、IDソリューションをグローバルに展開するIntent IQは、パブリッシャーを招いた招待イベント「Intent IQ VIP NIGHT」を東京・渋谷にて開催した。サードパーティCookieをはじめとするシグナルが制限されるエコシステムにおいて、いかに正確なユーザー理解を維持し、パブリッシャーの価値を正当に評価させるかについて、来日した経営陣がプレゼンテーションを行った。後半には株式会社Leave it to me代表・池田寛氏、かわらのLab合同会社代表・瓦野晋治氏によるパネルディスカッションが行われ、メディア価値の再定義について議論が交わされた。 (Sponsored by Intent IQ) アイデンティティ戦略と安全性重視のアプローチ 冒頭、挨拶を行ったIntent IQ会長のロイ・シュケディ氏は、日本のパートナー企業への感謝と、長期的なパートナーシップ構築への意気込みを語った。Intent IQは約30年にわたる同社の歴史の中で、エコシステムの進化に適応し続ける技術開発を行っている。シュケディ氏は日本を「品質・精度・パフォーマンスを重視する市場」であるとし、そういった市場に参入できることを誇りに思うと述べた。日本市場が求める高い水準を満たした絶対的な正確性を持つ基盤を構築するために、研究とデータドリブンなアプローチに多大な投資を積み重ねているとのこと。 アイデンティティが複雑化する中で、正確性という基礎に常に立ち返ることが、パートナー企業からの信頼と強い絆につながるとし、参加したパブリッシャーに感謝の意を伝えるとともに、今後のさらなる協力を仰いだ。 続いて登壇した事業開発担当上級副社長のタミル・シュブ氏は、Intent IQのソリューションとアプローチについてプレゼンテーションを行った。 同社が日本市場に進出を果たして2年となる。展開するアイデンティティ戦略は、パブリッシャーが最大の利益を生み出すことを主眼としている。 Intent IQが提供する技術の中核は、Cookieなどの識別子が利用できないIDレスインベントリーに対して効果を発揮できる独自のIDソリューションである。IDに依存せずにSSPとDSPの識別子をリアルタイムで照合する。 さらにパブリッシャーが柔軟に選ぶことができるよう以下のような統合方法をサポートしている。 ・Prebid: 業界標準の環境にシームレスに組み込むことが可能。 ・JavaScript: サイト側での柔軟な制御を実現。 ・サーバーサイド統合: ブラウザ側の負荷を軽減し、パフォーマンスを最適化する。 管理画面で提供される機能では、IDレスブラウザ間のギャップがリアルタイムで補完される。すべてのパートナーに対して、A/Bテストや最適化、サプライパス最適化(SPO)インサイトが提供されることで、技術的な裏付けを持って運用を改善できる環境を整えている。プライバシー保護については、EU一般データ保護規則(GDPR)・カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)・グローバルプライバシープラットフォーム(GPP)といった国際基準に準拠済みとなる。 日本市場におけるインフラ投資とケーススタディ 日本市場に特化した取り組みとして、シュブ氏は約6カ月前に東京に「リアルタイム識別のためのローカルデータセンター」を開設したことを報告した。ここではIDスイッチボードにより、SSP/DSPパートナー間のデータギャップが補完され、初回コール時のレイテンシーが大幅に改善される。ローカルでのデータ処理により、日本におけるプライバシー・ファーストを尊重する姿勢を見せている。 具体的な数値がいくつか示された事例の発表では、連携している国内パブリッシャーにおいて、CPMとフィルレートともに増加しており、トータルで20%前後の収益向上が確認されているとのこと。特に、iPhoneユーザーの比率が極めて高い日本市場において、Safari環境などのシグナルが制限されたインベントリーをいかに有効活用できるかは、パブリッシャーの収益を左右する大きな要因となる。Intent IQはこうしたiOS環境においても高いパフォーマンスを発揮し、広告主とパブリッシャー双方の成功を支援している。 最後に、シュブ氏はユーザー識別がますます複雑化する時代において、「正確性、信頼、強固なパートナーシップ、そして長期的コミットメント」という基本に立ち返ることが重要であると強調した。今後日本市場においてこれらの基本を念頭に、パブリッシャーと共に成長していく意欲を示し、プレゼンテーションを締めくくった。 トラフィックを捨てて関係性を取りにいけるのか? 最後のパネルディスカッションには、株式会社Leave it to me代表・池田寛氏、かわらのLab合同会社代表・瓦野晋治氏の両氏が登壇。「“トラフィック”を捨てて“関係性”を取りにいけるのか?」というテーマで、デジタルメディアが直面する課題について真っ向から向きあった。 デジタルメディアの構造的な課題は「トラフィック依存モデルの限界」である。瓦野氏は、記事の掲載や配信によってページビューを獲得し運用型ディスプレイ広告で収益を上げるという従来モデルが終わりつつあるという現状を総括する。その背景として挙げられたのが、AIによる検索体験の激変であり、AI検索結果上で情報が完結する「ゼロクリック化」が進み、ユーザーが個別のウェブサイトへ訪問する機会が減少している。 また、Google DiscoverやYahoo!ニュース、SNSなどのプラットフォーム経由の流入に依存してきたメディアにとっては、プラットフォームの判断やアルゴリズムの変化ひとつでトラフィックが左右され続けている。加えて、ページビューと連動して収益になるディスプレイ広告の収益性も好調とはいえないため、「トラフィックと収益性の減少が同時に起こり、ダブルで危機に直面している」と指摘された。 コミュニケーション再設計と“依存しない”戦略へのシフト 後半では、ユーザーとの関係性の再構築が重要なテーマとして議論された。現在、ユーザーの可処分時間は動画、SNS、ゲームなどに大きくシフトし、ニュース記事を能動的に読む習慣は減っている。読者がサイトを訪れる理由をどのように作るのか。 その解決策として示されたのが、読者とのコミュニケーションの再設計である。単なる情報提供にとどまらず、読者との接点そのものをサービスとして設計し、継続的な関係性を築くことである。コミュニティという形に限定されずとも、「便利」「楽しい」「ないと困る」といった価値を提供することで、ユーザーの生活のインフラとして入り込むことが重要だと指摘された。 また、プラットフォームとの向き合い方も重要な点となった。これまで多くのメディアは外部プラットフォームに強く依存してきたが、その関係性は健全とは言えない。今後は「依存する」のではなく「利用する」という意識のもと、アルゴリズムに振り回されない自社主導の自立したビジネス設計を持ち、自社の価値を維持しながら外部プラットフォームをハブとして活用する関わり方が重要だと瓦野氏は述べる。売上が減るメディアも存在する中で、早く手を打つこと、小さくてもチャレンジを積み重ねることが重要であり、現場レベルではなく組織全体で取り組む課題であると強調した。 ディスカッションの締めくくりで、池田氏は「正解は存在しない」という前提のもと、各社で試行錯誤を続けようと参加者に呼びかけた。メディアの価値が問い直され、収益性と各メディアの特性を活かした新モデルを模索する段階に入っていることを痛感させられる、意義深いディスカッションとなった。 ディナー後のアフターパーティーでは、パブリッシャーを中心とする参加者たちがIntent IQメンバーや参加者同士で交流を深め、温かい空気の中でイベントは締めくくられた。Intent IQは昨年に続き2026年ATS Tokyoのスポンサー企業としての参加を予定しており、同社のさらなる日本展開に注目が集まる。
ATS Tokyo 2026チケット、最安価格で販売中
日本のプログラマティック・マーケティング及び広告業界のトレンドと、日本と海外における将来的な市場動向を取り上げるAd Trading Summit(ATS) Tokyo 2026(11月20日金曜日開催)のチケット販売を開始しております。 7月31日までのお申し込みで、チケットが最も割引(約50%OFF)になるSuper Early Birdチケットをご用意しております。 ぜひ早めのご購入をご検討ください。 イベント当日は、アドテクノロジー及びデジタルマーケティングの最新動向について議論を行う10以上のセッションを開催します。また、国内外のエグゼクティブクラスの業界関係者が一堂に会す場でのネットワーキングの機会を設けており、新しいビジネス機会を得る場としてもご活用いただけます。 今年は、元アタラ株式会社代表取締役CEOで現在APTI(Advertisers and Publishers Transparency Initiative)共同代表を務める杉原 剛氏をコンテンツアドバイザーに招聘し、AIの普及により変化が加速するマーケットトレンドをより的確にキャッチアップするコンテンツの開発に注力します。 その他最新のセッション及び登壇者情報などについては、詳細が定まり次第、イベントサイトなどを通じて発表いたします。続報をお待ちください。 イベント概要 ■日時:2026年11月20日(金)9:00-19:30(予定) ■場所:シェラトン都ホテル東京 (東京都港区白金台1丁目1-50) ■定員:500名 ■主催:ExchangeWire Ltd.(ExchangeWire.com) チケット概要 テクノロジーベンダー向けSuper Early Birdチケット:50,900円(税込 、7/31まで) 広告主・広告会社・媒体社向けSuper Early Birdチケット:42,000円(税込、7/31まで)
ExchangeWire Japan、デジタル広告業界ニュースのYouTube配信を開始
ExchangeWire Japan編集部は7月8日、デジタル広告業界の主要ニュースを映像と音声で伝える動画の配信をYouTubeで開始した。 目と耳でニュースに触れられる新しい形式として、今回を第1回とする継続シリーズでお届けする予定だ。 ■Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ExchangeWireJapan ▼【ニュース】LINEヤフー広告サービス品質の透明性レポートを公開ほか:ExchangeWire Japan(ExchangeWire Japan公式YouTubeチャンネル) 第1回となる今回の動画では、 LINEヤフーが公開した「広告サービス品質に関する透明性レポート 2025年度版」を中心に取り上げている。 同レポートによると、Yahoo!広告では2025年度に約2億件の広告素材を非承認としており、非承認理由として最も多かったのは「最上級表示・ナンバーワン表示」であった。 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001731.000129774.html このほか、動画では以下のニュースを紹介している。 SMN:AI技術「SENZAI」と過去20年分のテレビCMメタデータを掛け合わせ、広告クリエイティブを生成する新サービスを開始。 ■プレスリリース:https://www.so-netmedia.jp/topics/press-release-20260624/ 電通デジタル:OpenAIがChatGPT上で展開する広告の日本導入に向け、国内ローンチパートナーとしてパイロット運用を開始。 ■プレスリリース:https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2026-0618-000330 UNICORN:AWSの「AWS RTB Fabric」を活用した広告配信を、国内DSP事業者として初めて開始。 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000280.000033008.html ぜひ目と耳でも、ExchangeWire Japanご覧いただきたい。
広告プラットフォームの風雲児・楽天が切り開く独自の広告サービスとは[インタビュー]
国内ECモールの草分けである楽天市場に加えて、携帯キャリア、デジタルバンク、ポイントプログラム、旅行予約サイトなど今や70以上のサービスを展開する楽天グループ。これらの実業を束ねるグループ企業だからこそ成し得る広告サービスとは何か。同質化が進行するオンライン広告業界で独自路線を打ち出す同社のアド&メディアカンパニー マーケティングパートナー事業 ディレクター 田中 利昌 氏に話を聞いた。 (Sponsored by 楽天グループ) 楽天市場の広告≠楽天の広告サービス ―自己紹介をお願いします。 楽天グループ株式会社の中にあるアド&メディアカンパニーという社内カンパニーにおいて、マーケティングパートナー事業のディレクターを務める田中利昌と申します。博報堂DYホールディングスとの合弁会社である楽天データソリューションズ株式会社と大型ファッションイベント「GirlsAward」を運営する株式会社Awardとの合弁会社MIHA株式会社の代表取締役社長を兼務しています。 ―事業紹介をお願いします。 私が所属するアド&メディアカンパニーは、「楽天エコシステム(経済圏)」の膨大なデータと多様なメディアを活用し、広告主様・広告代理店様に対してマーケティングソリューションを提供しています。 楽天と聞くと「楽天市場」の印象が強いと思いますが、「楽天市場」や「楽天トラベル」をはじめとするEC関連サービスの国内EC流通総額が6.3兆円、また楽天モバイルの契約数が1000万回線を突破するなど、楽天エコシステムは急速に拡大を続けています。ユーザーの消費行動分析データを蓄積した上で、「プロダクト」「AI」「データ」「ポイント」という4つの特徴を掛け合わせたマーケティング支援のご提案をさせていただいています。 資料提供:楽天グループ株式会社 ―「楽天市場」内に表示される検索連動型広告が主な広告商品となるのでしょうか。 「楽天市場」内の店舗や商品ページへのリンクを促す広告商品は、「楽天市場」の出店店舗様に対して提供させていただいているものですが、私が所属するアド&メディアカンパニーでは、お客様サイト及びサービスの認知から販促までのプロモーションのお手伝いをさせていただいています。相対する担当者様のご所属は広告宣伝部やマーケティング部署などの方であり、各社様のEC事業部などが管轄する「楽天市場」などの広告とは予算の立て方、担当部署、目的が全く異なります。 ―それではアド&メディアカンパニーが提供する広告サービスはどのような広告主がどのような目的で活用しているのですか。 およそ7割は獲得目的、 残りの3割が宣伝・認知目的です。獲得領域では、教育、エステ、不動産、金融業界を始めとして多種多様な業種の広告主様がいらっしゃいます。宣伝目的となるとメーカー企業様が圧倒的に多くなり、中でも自動車、食品、家電などの分野で積極的にご利用いただいています。 セグメント設定はもはや不要? ―広告の配信面はどこになるのですか。 楽天グループ内の各オンラインメディアはもちろん、他の主要な大手広告プラットフォームに加えて、楽天が蓄積する会員情報や消費行動分析データを活用したDM、メール広告、ポイントプログラムを通じたプロモーションなどがあります。 宣伝目的では、やはり楽天独自の消費行動分析データを活用した上で、YouTube、TVer、ABEMAなどの動画配信プラットフォームに広告配信を行うことも多いです。 ―最近ではAI活用を掲げるテック事業者が非常に多いと思いますが、貴社のAI技術の特徴は何ですか。 当社が蓄積する消費行動分析データとAIを掛け合わせた「未来購買予測」と呼ばれる機能を通じてコンバージョン最適を図ることができる点が最大の特徴になります。例えば学習教材のコンバージョン発生日をゼロとした場合、消費者はその2000日前ないし約6年前にマタニティ商品を買い出して、そこからベビー用品、キッズ用品と消費パターンが推移していく様子をつぶさに把握そして予測することができます。 具体的事例としては、ヘアケア商品を販売するBOTANIST様にこの未来購買予測をご利用いただきました。同社商品の購入前にメイク道具や他のヘアケア製品を購入する消費者が多くいるというのはある程度想像がつくのですが、AIがこれらの商品に加えて一年以内に日焼け止めやテニスまたはマリンスポーツ関連商品が多く購入されていたことを突き止めて、広告配信の最適化を行いました。 恐らく髪のダメージが気になりだしたタイミングでヘアケア商品を購入した人が多くいたのでしょう。ターゲティングを行っていない場合との比較は当然ながら、「ヘアケア・スタイリング購買者」だけに対してターゲティングする場合と比較しても、未来購買予測のCVRは圧倒的に良かったです。 資料提供:楽天グループ株式会社 もはや「特定のセグメントをつくってターゲティングを行う」という従来の手法ではなく、AIによるターゲティングが今後は主流となっていく未来を感じさせるような事例でした。 マーケターの悲願を叶えるために ―「楽天ポイント」も独自の取り組みですね。 楽天ではこれまで、「楽天ポイント」を累計5兆ポイント以上発行しています。広告だけではなく、SNSのフォロワー増やアプリの休眠復帰などのCRM目的でもご活用いただいております。 ―サードパーティCookie規制などが強化されたことを受けて購買データへの評価が高まっているとの実感はありますか。 正直に申し上げると、サードパーティCookieの代替手段として購買データの活用を検討されている事業者様はそれほど多くないように感じます。それよりも、オムニチャンネル展開を行う事業者様がオンラインとオフラインを越境ないし統合してターゲティングや効果測定を行いたいという課題の解決手段として当社ソリューションをご評価いただいていることが多いです。 ―今後はどのような事業展開を図っていく予定ですか。 世の中にはマーケティングに活用できる購買データを提供されている事業者様が数多くいらっしゃいますが、いずれもオンラインのみまたはオフラインのみのデータを取り扱われている場合が非常に多いと思います。一方で当社が強みとしており、今後さらに強化していこうとしているのがオンオフ統合です。 日本のEC化率は1割程度と言われており、見方を変えれば9割はオフライン購入なのですが、例えばコンタクトレンズは今やEC購入の方が高くなっているという調査結果もあります。オンラインとオフラインのどちらかに販売チャネルの重心を置くということが今後ますます難しくなっていくはずです。マーケターの皆様にとっての悲願であるオンオフ統合でのマーケティング施策を実施できる環境を整備することが当社の使命であると思っています。
ビッグデータからカルチュラル・キャピタルへ:なぜブランドエクイティがAI時代における最も強力なシグナルとなり得るのか
10年前、個人データはデジタル広告において最も価値のある資産の一つでした。AIパーソナルアシスタントやエージェントが普及するこれからの世界では、その価値は商品レビューやニュースの見出し、あるいは話題を生むスーパーボウル広告へと移る可能性があります。 (Sponsored by Ogury) AIの大規模言語モデル(LLM)やエージェントが商品発見や選択において重要な役割を担う中、これらに影響を与えるシグナルは個人の行動データから、共有された文化的文脈へと移行しています。 AIボットが購買プロセスの最終段階、あるいは初期選定を担う状況では、その推薦を形作るシグナルは、メディア報道、レビュー、クリエイティブキャンペーン、インフルエンサーの支持、そしてコミュニティやクリエイタープラットフォーム上の公開された会話から生まれるようになります。言い換えれば、AI時代においてブランドエクイティは機械可読なシグナルとなり、マーケティング投資や決定論的データ・個人データへの依存のあり方を再定義していきます。 「すべてを収集する」発想の終焉 これまでデジタルマーケティングは、「より多くのデータ(特に決定論的データ)を収集するほど広告効果が高まる」という前提のもとで展開されてきました。しかし、そのモデルは限界に達しています。社会的な要請やプライバシー規制により、企業は収集するデータとその活用方法をより慎重に選ぶ必要に迫られています。同時に、チャットボットやAIアシスタントの普及により、影響力が生まれる場所そのものも変化しています。 AIが「シグナル」の定義を書き換える 大規模言語モデルは、ニュース、レビュー、ソーシャル上の会話、動画などの公開情報を取り込む「文化的アグリゲーター」として機能します。その結果、ブランドが文化や公共の会話の中で十分な存在感を持たなければ、AIによる推薦に表示される可能性は低くなります。 クリエイティビティがシグナルを生み出す 文化の一部となるためには、ブランドは創造性を発揮する必要があります。調査によると、クリエイティビティはキャンペーン成果の約半分を占めるとされています。クリエイティブなキャンペーンや公共の会話は、推薦を形成する重要なインプットとなります。 エージェント時代の到来 AIエージェントは中間プロセスの排除をさらに加速させる可能性があります。消費者は意思決定を自動化されたアシスタントに委ねるようになるかもしれません。ブランドが消費者と直接接点を持つ機会は減少していくでしょう。 マーケティングの原点へ ブランドは依然として、オーディエンスを理解し、信頼を獲得し、共感を生むアイデアを創出する必要があります。最も価値のあるデータは、もはや消費者から収集するものではないかもしれません。 それはブランド自身が生み出すカルチュラル・キャピタルなのです。 コラム執筆者 松本 亮 Ogury Japan, Country Manager L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。
2026年、トップマーケターが注目する5つのトレンド
今年はメディア環境が激変し、フラグメンテーション(断片化)の加速が顕著になっています。それゆえ、業界にとって重要な動向がつい見落とされがちになってきました。 今年初め、ChatGPTがプラットフォーム上で広告サービスを開始すると発表(*1)したニュースも、その好例です。これは、紛れもなく大きなニュースなのです。マッキンゼーの調査(*2)によれば、現在、米国のユーザーの44%が購買意思決定の主要手段としてChatGPTを利用しています。つまりマーケターにとって、デジタル環境の急速な変化に対応できなければ、自社製品を消費者にアピールする絶好の機会を逃してしまうことを意味するのです。 (Sponsored by StackAdapt) マーケターの格差が拡大 AIとプログラマティック広告を牽引するStackAdaptは、マーケターやエージェンシー、ブランドがこれらの分野で多大な成果を収められるようサポートを行っています。すでに世界の複数市場でパートナー企業がChatGPT上の広告にアクセスし、展開・管理できるサポートを実施。また、この新しいチャネルをより広範なメディア戦略に統合する取り組みにも着手しています。 さらにパートナー企業と緊密に連携、ビジネスを成功に導く重要な鍵を見出すことにも注力しています。今年初めには、世界のマーケター約500名を対象に調査を実施(*3)。そこから導き出された結果は興味深く、同時にやや意外なものでした。 この結果の肯定的側面は、マーケターの大多数が今後の見通しを楽観視していること。回答者の75%は「今後、マーケティング予算は増加する」と予測し、84%は「前年より業績が上向く」と答えました。しかしその裏には、統合戦略を導入しているマーケターと、いまだ断片的な技術スタックを利用しているマーケターとの間で格差が拡大している現状が伺えます。 特に印象的だったのは、業績を前年から大幅に向上させたトップマーケターたちの回答でした。「2027年までに技術スタックの少なくとも50%を統合する」と答えた人は、その他のマーケターの4倍。また「統合プラットフォームはROI(投資利益率)を向上させる」と答えた人は53%で、他のマーケターの31%を大きく上回りました。 弊社はこうした調査結果から、マーケティング機能の向上を模索する方々を念頭に、2026年のプログラマティック広告の中核を成す5つのトレンドをまとめました。パフォーマンス向上を目指すマーケターにこれらのトレンドを把握していただくことは、極めて有意義であると考えます。 クロスチャネル統合の意義 まず最初のトレンドは、「クロスチャネルの統合」。サイロ化されたチャネルは、今日のプログラマティック広告において最も無駄な支出の1つです。マーケターの3分の2(66%)は、「サイロ化によってプログラマティック広告予算が最大で30%無駄になっている」と回答しています。 一方、トップティア(最上位層)の広告主を対象とした調査では、マルチチャネルキャンペーンのクリック率(CTR)がシングルチャネルキャンペーンのそれを47ポイント上回るという結果が出ました。 こうした事実を踏まえると、マーケターは直ちに全社的なオムニチャネル戦略を試す前に、まずいくつかのマルチチャネルキャンペーンを実行することが得策でしょう。効果的なアプローチを挙げるなら、既にクリエイティブや測定基準で堅固な基盤を築いているチャネル(コネクテッドTVやディスプレイリターゲティングなどが往々にして適切)を優先的に活用すること。それによって短期的な成果を上げ、迅速に断片化を解消することができるのです。 AIと技術スタック 2026年の報告書では、AIについて触れないわけにはいきません。よって、2つめのトレンドは「即効性あるAIの活用」。しかしながら案の定、マーケターの間ではAIをどのように使いこなすべきか共通認識がまだ確立していません。 全体的に見るとAIは今、クリエイティブの発展やターゲティング、最適化などでより中心的な役割を果たしています。つまりマーケターはAIに対し、エンドツーエンドのキャンペーン実行ではなく、ワークフローの加速に信頼を置いているのです。例えばダイナミッククリエイティブ最適化(DCO)を活用する広告主は、32%が「CTRが向上した」、56%が「クリック単価(CPC)が下がった」と回答しています。 マーケターの経験値が高まるにつれ、AIはクリエイティブの反復やテスト&バリエーション、オーディエンスの絞り込み、予測の最適化などでますます重要な役割を担うでしょう。しかし、戦略に取って代わるものではありません。ゆえにAIを代替手段としてではなく、まずは加速化のツールとして活用することを推奨します。マシンの生成による反復作業と人によるクリエイティブディレクションを組み合わせることで、コンテンツを迅速に改善し、質の高いエンゲージメントを強化できるのです。 3つめのトレンドは、「技術スタックの統合」。この点に関しては、調査結果に驚く方が多いのではないでしょうか。マーケターの大多数は専門的ツールの方がROIを高めると考えています。しかし弊社の調査では、「技術スタックを25~50%統合するだけでもパフォーマンスが向上する」という結果が出ました。 AIを活用したソリューションが普及するにつれ、断片化された技術スタックは特に競争性の点において不利でしょう。対応策は、従来型の単一ソリューションに変え、AIや効果測定、アクティベーションなどを組み合わせた統合型ワークフローを確立させること。トップマーケターはまさにこの統合型で、最大のROI向上を実現しているのです。 オムニチャネルと「実験精神」 4つめのトレンドである「オムニチャネルへの適切なアプローチ」は、少々指摘しにくいものです。というのも、多くのマーケターが既にオムニチャネルを実行していると考えているからです。 しかし、調査結果では異なる実情が示されました。「オムニチャネルキャンペーンを実行している」と答えたマーケターは75%に上りますが、本当の意味でのオーケストレーション、つまりコネクテッドTVやディスプレイ広告、オーディオ広告などのチャネルを駆使し、包括的に消費者を誘導するシーケンス配信(一連の広告・メッセージを順番に配信する手法)を実現しているマーケターはほんの一部に過ぎません。 2027年に向けて、マーケターには現実的な最小限のオムニチャネルモデルを推奨します。これは通常、レポートの共有やシーケンス配信、KPIの統合など2~3の接続されたチャネルで構成されています。 そして最後の5つめは、「実験」。前年比で業績向上を最大化させたマーケターは、プログラマティックダイレクトメールやゲーム内広告、コネクテッドTV、デジタル屋外広告(DOOH)といった新しいフォーマットに、他のマーケターよりも確信を持って支出している傾向が見られます。実際に弊社は報告書の中でも、これらのフォーマットが全て今年中に、測定可能なフルファネルパフォーマンスチャネルになると予測しました。 まだこれらの新しいチャネルを試していないマーケターには、積極的にテスト・アンド・ラーンのアプローチを取り入れることをお勧めします。またコスト削減のため、クリエイティブテンプレートやAIを活用した制作も賢明でしょう。 業界全体を見渡せば、将来への展望は明るいといえます。今日マーケターが活用できるAIツールやデータは、数年前には想像もできなかったものです。ゆえに大胆な実験に取り組むマーケターは、特にプログラマティック広告のようなダイナミックな分野で、今後数年間のうちに最大の成果を上げると予測できるのです。 参考資料: *1 『Testing ads in ChatGPT』(オープンAI、2026年2月) *2 『New front door to the internet: Winning in the age of AI search』(マッキンゼー・アンド・カンパニー、2025年10月) *3 『The State of Programmatic Advertising』(StackAdapt、2026年、n=484 global marketers) コラム執筆者 山口 武 StackAdapt Japan, Head of Business ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒業後、米Oddcast社やMarketing Solutions社でマーケティング、戦略コンサルティングなどに従事。2011年に帰国、日本ヒューレット・パッカード、コムスコアジャパンで勤務後、15年にIntegral Ad Science Japanの立ち上げに参画。21年には同社日本・韓国のカントリーマネージャーに就任。その後Monksのカントリーマネージャー、Ogury Japanのコマーシャルディレクターを経て、24年StackAdaptに入社。以来、日本市場におけるビジネスの責任者を務める。
グローバル戦略と日本市場のニーズをつなぐ-Index Exchange 長瀬 夢菜氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステークホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第8回は、Index Exchange Japan株式会社の長瀬 夢菜氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 長瀬 夢菜氏 Index Exchange Japan株式会社 マーケティングローカライゼーションスペシャリスト 語学・翻訳への関心から、複数の外資系企業においてカスタマーサポートやBtoCの日本向けローカライズを担当する。ユーザーエンゲージメントの向上に取り組んだのち、Index Exchange Japan株式会社に入社。現在はBtoBの日本市場向け施策とグローバル戦略の両方をサポートしている。 【インタビュー対象企業】 Index Exchange Japan株式会社 Index Exchangeは、世界中で信頼される独立したサプライサイドプラットフォーム(SSP)として、パブリッシャーの収益最大化を支援している。中立的かつ公平なエクスチェンジとして、パブリッシャーと世界有数のブランド企業を確実につなぎ、マーケターのパフォーマンス向上を実現するとともに、プログラマティック・エコシステム全体の効率性、透明性、品質の向上に努める。当社は、20年以上にわたり業界をリードしてきた経験をもとに、インプレッションにより近いタイミングでインテリジェンスを適用し、サプライチェーン全体の無駄を削減することで、アドテクの進化を加速させてきた。徹底した透明性と卓越した水準に沿った取り組みにより、パブリッシャー、マーケター、そしてパートナー企業に長期的な価値を提供している。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 長瀬氏: 主な業務内容は、イベント運営のサポート、Webサイト管理、またプロダクトやグローバル戦略に関するメッセージを日本のお客様に分かりやすく、親しみやすいものにするためのローカライズ業務です。日本市場向けのニュースレターやSNSでの情報発信、プレスリリースの作成もします。 自社開催を含むイベント運営については、シドニーのフィールドマーケティング担当者から計画やアドバイスをもらいながら、日本での実現に向けてリサーチや業者手配、プレゼンテーション資料の調整などは私が行います。日本オフィスでのマーケティング担当は私一人で、基本的にはロンドン・ニューヨーク・シドニーにいるメンバー達と協力して動く体制です。 国籍を乗り越える信頼関係を築く -外国人の上司・同僚と働くうえでの苦労はありませんか。 長瀬氏:ずっと外資系企業に勤めているので、慣れと経験を積んでいるとは思います。日本以外の国籍の方だと、意見をストレートに発されることもあるので、圧力に負けないというか、強くいようと意識しています。 また、物理的に時差があるので、承認に時間がかかったりミーティングが夜遅くになることもあります。上司はその点を理解してくれているので、こまめに連絡をくれたり、自社イベントには出張で日本に来て当日のサポートをしてくれたりと、心強いです。 -主な顧客層を教えてください。 長瀬氏:主な顧客はパブリッシャーで、マーケター、メディアバイヤー、広告代理店、DSPやデータベンダーなどの企業とも連携しています。弊社でイベントを開催したり、主要なアドテクイベントに出向いて、情報交換をしたりすることもあります。 -会社全体の雰囲気はいかがですか。 長瀬氏:東京オフィスは10人に満たないチームで、日本語でコミュニケーションをとるものの外国人も在籍しています。Index Exchangeには支えあいのカルチャーが根付いており、役職や年齢に関わらず相談しやすく、自分のアイデアを共有できる空気があります。会社全体のイベントとしては、昨年夏にオーストラリア・シドニーで下半期キックオフイベントがありました。いつもオンラインでしか見ない仕事仲間と実際に会えて、距離が縮まりました。 全体的に落ち着いた穏やかな性格の同僚が多く、トラブルがあってもどっしり構えてくれるので安心感があります。また女性のリーダーが多く活躍していることも、働きやすさのひとつです。言語や距離の壁があっても、上司とこまめに連絡を取り、責任を持って仕事に取り組むことで信頼関係を築けていると思います。 競合他社のトピックも本社への説得材料になる -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 長瀬氏:日本のウェブサイトの改善、プロダクトやグローバル戦略に関するメッセージ発信のローカライズ、さらに業界の最新情報・知識共有を目的とした動画コンテンツなどの制作に多くの時間を割いています。 北米でBtoB向けの発信だと、ダイレクトなメッセージや親近感のある書き方が多いのですが、日本で同じアプローチにすると違和感があります。日本マーケット向けにはフォーマルな表現に変え、フォントも日本語に合うものにするなど工夫をしています。ニュースレターに選ぶトピックも、日本市場での旬の話題を意識して、PV数が伸びるとやはりモチベーションにつながります。 最近では、Index Exchange Japan株式会社がJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)から「ブランドセーフティ」および「無効トラフィック対策」において、JICDAQ認証を取得したという内容のプレスリリースを出しました。北米発信ではなく日本独自のトピックだったので、JICDAQそのものや話題性について知らない本社に対して、「この認証取得はIndex Exchangeの印象向上につながる」「他社でもニュースになっている」などと説得しました。本社の理解を得てリリースをだすことができ、やりがいを感じています。 -業務で注力していることは何ですか。 長瀬氏:「グローバル戦略と日本市場のニーズをつなぐこと」です。ときにグローバルが日本よりも技術的に先を走っていることもあるので、日本のお客様が理解しやすいようなコンテンツ作りは意識しています。 施策においては、ロンドン、シドニー、ニューヨークのメンバーと密に連携しながら、日本チームからのリクエスト対応と本社との調整を行います。調整を試みる中で、どちらの言っていることも理解でき、板挟みのような状態になってしまうことがあります。そういうときは、「どういった言葉を使えば伝わるか」を事前に考えてから両者に話すこともあれば、折衷案を提案することもあります。本社に対しては、日本の競合他社の動向を伝えたり、日本市場の状況を説明することも説得の後押しになります。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 Index Exchangeは、世界最大級の独立系SSPとして、透明性・効率性・品質を重視したプログラマティック広告エコシステムの構築に取り組んでいます。当社のマーケットプレイスでは、追加手数料なしで高品質なデータ活用と精度の高いターゲティングが可能です。さらに、当社は、透明性の高い料金体系でソリューションを提供しています。 ウェブサイトでは、さまざまなケーススタディもご紹介していますので、ぜひご覧ください。 https://www.indexexchange.com/ja/
ATS Tokyo 2026、高広伯彦氏が4年連続で登壇確定!![ニュース]
2026年11月20日(金)、ExchangeWireのATS Tokyo 2026が、東京ドームホテルから会場を移し、シェラトン都ホテル東京で開催される予定だ。 今年も、プログラムの最後、大トリとして高広伯彦氏に登壇を依頼すべく、交渉を進めてきた。 しかし同日の夜は、高広氏が教鞭を執る同志社大学大学院ビジネス研究科の講義が、大阪で予定されていることが分かった。 そのため、今年の登壇依頼を断念せざるを得ないと思われた。しかし、高広氏の登壇を諦めきれず改めて当日のスケジュールを詳細に確認したところ、同氏の講義は大阪で夜間に行われることが判明。このため午前中の登壇であれば、講義開始の時間に間に合う見込みとなった。 【高広氏の登壇後スケジュール予定(編集部案)】 新大阪駅には16時33分に到着予定で、講義開始は18時50分。高広氏がこの日登壇するのは、大阪駅から徒歩3分と抜群の都市拠点、同志社大学 大阪サテライト・キャンパス。 したがってこの時間帯であれば、例えば、新大阪で途中下車(切符は下車前途無効となるが)して、同氏行きつけの「お好み焼き登美子」で腹ごしらえをしてからでも、教壇に間に合いそうだ。 ゆえに、ATSTokyo2026の高広氏の登壇は、今年は午前中に変更となる。登壇内容は、「広告-その先に、文化は残るのか(仮)」案をもとに、内容の調整を進めていく。
ATS Tokyo 2026、シェラトン都ホテル東京で11/20(金)に開催― コンテンツアドバイザーに、APTI共同代表の杉原剛氏を招聘!総合司会は3年連続で日本アドバタイザーズ協会 林博史氏に確定!!
英国ExchangeWire社が主催するグローバルイベント、Ad Trading Summit(ATS)Tokyoを2026年11月20日(金)に開催することが決定しました、チケットの販売を開始いたします。 会場は、今年からシェラトン都ホテル東京に変更します。 ATSは、世界のデジタル広告業界のトレンドのキャッチアップと、その時々で話題となる様々なトピックスについて、世界中の広告業界の実務家、専門家約500名が一堂に会し、一日をかけて議論を交わす場です。 当日は、国内を代表する各領域の専門家や実務家による、話題のテーマに関するプレゼンテーションやセッションをお届けします。 杉原 剛氏 林 博史氏 今年は、元アタラ株式会社代表取締役CEOで現在APTI(Advertisers and Publishers Transparency Initiative)共同代表を務める杉原 剛氏をコンテンツアドバイザーに招聘し、AIの普及により変化が加速するマーケットトレンドをより的確にキャッチアップするコンテンツの開発に注力します。 総合司会は、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 副事務局長 林 博史氏が3年連続で担当し、会場全体をリードします。なお、林氏は杉原氏と共にAPTI共同代表も務めています。 11月20日(金)に、シェラトン都ホテルで皆様にお会いできることを、ExchangeWireそしてExchangeWire JAPANのメンバー一同楽しみにしております。今後、イベントのプログラム、チケットの先行販売、スピーカー情報などを随時更新してまいりますので、ご期待ください。 また、様々な特典を用意したATS [...]
AIとオーディエンス戦略が広告を再構築する中、ブランドは次なる競争優位をどこに見出すのか[インタビュー]
デジタル広告業界は、プラットフォームの統合やAI主導のツール、進化するエージェンシーモデルなど、構造的な変化の局面にある。Oguryと電通ランウェイはパートナーとして、一貫したオーディエンス構築戦略を展開している。 ペルソナを起点としたチャネルを横断するアプローチ、AIを活用したマーケティングについて、株式会社電通ランウェイ 代表取締役社長執行役員、Ogury CEO、Ogury Japanカントリーマネージャーに話を伺った。 (Sponsored by Ogury) -自己紹介をお願いします。 鈴木氏:株式会社電通ランウェイの代表取締役社長執行役員の鈴木篤と申します。電通ランウェイは、「業界の当たり前」にとらわれず、常に新しい可能性を模索し続け、「構想力」と「実現力」を兼ね備えたプロデューサー集団として、メディア・コミュニケーションを軸とした事業を展開しています。 ビドン氏:2025年12月にOguryの最高経営責任者(CEO)に就任しました、ニコラス・ビドンと申します。 松本氏:Ogury Japan株式会社のカントリーマネージャーを務める松本亮と申します。 -現在、広告業界を大きく変えている最も重要な変化は何だとお考えですか。 鈴木氏:最大の要因は、生活者の情報接触行動がかつてないほど極端に多様化していること、そしてそれに伴うデータプライバシーへの意識の劇的な高まりです。これらが相まって、広告業界の従来の前提が大きく揺らいでいます。これまで業界の主流だった『メディア』『クリエイティブ』『データ』といった分業型の代理店モデルは、長らく重要な役割を果たしてきましたが、いまはこの変化のスピードと複雑さの前で限界が見え始めています。分業による組織のサイロ化は、結果としてコミュニケーションの分断を招いてしまうからです。 そのため、電通ランウェイでは設立当初から、企画立案から実行、メディアのバイイングに至るまでを一気通貫でリードできる『マルチスキルを持つプロデューサー集団』の育成に注力し、独自のチーム体制を構築してきました。業界全体が直面しているこの課題に対して、組織のサイロ化を完全に打破し、全体を俯瞰した統合的なアプローチをとることこそが、現在の業界に求められる最も不可欠な進化だと捉えています。 ビドン氏:現在、業界を再構築している大きな要因は3つあると考えています。 1つ目はAIです。現時点では主にメディア運用の最適化など下流工程で活用されていますが、今後は戦略的意思決定に影響を与え、どのオーディエンスが長期的な成長をもたらすのかを理解する上流工程へとシフトしていくでしょう。2つ目はプライバシーです。もはや単なるコンプライアンス上の制約ではなく、戦略設計における前提条件となっています。3つ目は組織モデルです。サイロ化された構造から脱却し、より統合的なアプローチへと移行しています。 -多くのCMOは、マーケティングの成果をより明確なビジネスインパクトとして示すことを求められています。「インパクト」の定義はどのように変化しているとお考えですか。 鈴木氏:私たちが考えるインパクトとは、単なるインプレッションやクリック数といった短期的な指標の達成ではありません。クライアントの持続的な事業成長に直結する『ブランドエクスペリエンス』をいかに高く、深く提供できるかだと定義しています。現在、多くのブランドは、メディア環境が複雑化する中で、いかにブランドを毀損しない安全な環境(ブランドセーフティ)を守りつつ、生活者の質の高いアテンションを獲得するかに投資を集中させています。しかし、多様な接点を持つ現代において、各チャネルでバラバラの施策を打つ部分的な最適化に陥っていては、生活者の心は動きません。 あらゆる顧客接点において一貫したブランド体験を届けるための、全体を俯瞰した統合的なアプローチが、真のインパクトを生み出す絶対的な鍵になります。重要なのは、チャネル起点ではなく、オーディエンスやペルソナを起点として全体を統合することです。 ビドン氏:現在のリスク回避傾向の強い市場においては、すべての投資が明確なビジネス成果に結びつくことが求められています。多くのブランドは依然として、チャネルごとに個別のオーディエンス戦略を設計しています。 真のインパクトは、一貫したオーディエンス戦略を軸とした統合的なアプローチから生まれます。 -日本のブランドにおいて、オーディエンス戦略やAIに関してどのようなトレンドが見られますか。 鈴木氏:日本のブランドは、ターゲットを単なるデモグラフィックやデータポイントの集合体として捉えるのではなく、感情や生活文脈を持った一人の『人(ペルソナ)』として深く理解しようとする傾向が極めて強いと感じています。 Ogury社と電通が共同開発した『dentsu persona hub』※ を通した強力なデータ連携により、机上の空論ではなく、実際のキャンペーンにおいて日本市場における本質的なオーディエンス理解とアプローチが大きく前進しているという確かな手応えを得ています。 ※『dentsu persona hub』は、Oguryの独自データと電通の各種生活者調査データを統計的に加工・分析し、より精度の高いペルソナを作成して広告配信に反映できるサービス。配信結果をペルソナターゲティングの専門家が再分析し、改善と提案を行うことで、生活者に対し親和性の高い広告配信を可能にし、新たなペルソナの発見によるさらなる広告配信パフォーマンスの向上を実現。 松本氏:日本では、ブランドがより包括的なオーディエンス理解の構築を目指す動きが見られます。『dentsu persona hub』のような取り組みは、チャネル横断で活用可能な詳細なペルソナ構築を可能にしています。自動化によってメディア運用は最適化されましたが、成果は依然として「誰にリーチするか」に依存しています。 -日本は非常に細分化されたメディア環境を持っています。この中で、ブランドはどのように一貫性を保つべきでしょうか。 鈴木氏:多様なチャネルを横断する際、エージェンシー側やプラットフォーム側が機能ごとに分業していると、どうしてもインサイトが分断され、生活者に届くメッセージにブレが生じてしまいます。これを防ぐため、電通ランウェイでは一人のプロデューサーがメディアやデジタルの垣根を越え、プロジェクト全体を横断的にマネジメントする機動力の高い体制をとっています。しかし、人の力だけでは限界があります。 私たちのこの一気通貫の体制に、IDに依存することなくチャネル横断でペルソナを正確に捉え続ける優れたテクノロジー、例えば『dentsu persona hub』のようなソリューションを組み合わせることで、はじめてあらゆるタッチポイントでブレのない、一貫したオーディエンス戦略が維持できると考えています。 松本氏:多くの企業では、依然としてチャネルごとに独立した運用が行われています。ブランドはサイロ化されたアプローチを超える必要があります。 -今後、AIはマーケターの意思決定にどのような影響を与えるとお考えですか。 鈴木氏:AIは単なる業務の効率化や自動化のツールにとどまらず、人間の思考を深め、より本質的な価値を生み出すための頼れる『相棒(Buddy)』になると考えています。その思想のもと、当社でも広告提案のプロセスを一気通貫で支援する独自のマルチエージェント型AIプラットフォーム『Mates AI』を開発し、実務への導入を進めています。 複雑なデータ分析や基礎的な資料作成といった作業をAIに任せることで、私たち人間は、キャンペーンの成否を大きく左右する『高度なクリエイティビティの追求』や、生活者の文化的な文脈の深い理解に、より多くの時間を注ぐことができるようになります。AIは人間の創造性を解放するための重要な鍵になるはずです。そしてその結果として、CMOの意思決定の質も飛躍的に向上することに繋がります。 ビドン氏:AIアシスタントの普及により、影響力が発生するポイントが変化しています。AI時代において、大規模言語モデルは文化的情報の集約装置として機能します。調査によれば、クリエイティビティはキャンペーン成果の約半分を左右するとされています。 -プライバシーに対する意識の変化に対し、ブランドはどのように対応していますか。 鈴木氏 : 日本には『不易流行』という考え方があります。生活者のプライバシーを尊重し、誠実に向き合うという『本質(不易)』は絶対に守りながらも、そこへ到達するためのアプローチは時代に合わせて大胆に変革(流行)し続けなければなりません。当社はJICDAQなどの認証を取得し、透明性と安全性の担保を徹底していますが、いつまでも古いトラッキング手法に固執するべきではありません。 個人の監視や行動追跡に依存することなく、ペルソナベースで高い関連性を持った広告体験を創出できる革新的なテクノロジーの活用こそが、これからの時代に適応した最適解であり、健全な広告エコシステムを守る道だと確信しています。 ビドン氏:プライバシー意識の高まりにより、ブランドはデータの収集と活用においてより慎重になっています。関連性の高いマーケティングは、必ずしも過度なデータ追跡を必要としません。 -エージェンシーモデルはどのように進化していますか。 鈴木氏:エージェンシーの役割は、単なる『広告枠の買い付けや仲介者』から、クライアントのビジネスの持続的な成長に深くコミットし、ともに課題を解決していく『伴走者』へと明確に進化しています。その使命を果たすためには、自社のリソースだけに閉じこもるのではなく、オープンな協業が不可欠です。 戦略のプランニングから実際のメディア配信に至るまでのギャップを埋めるため、当社はOgury社のような最高のテクノロジーパートナーと共に『dentsu persona hub』の実践的な活用を進め、統合的なソリューションを提供しています。両社が専門的な知見を深く共有し、高め合うような強固なパートナーシップの構築こそが、クライアントの事業成長を牽引する最大の原動力になると信じています。 松本氏:各種ツールの進化により、ブランド、エージェンシー、テクノロジーパートナー間の連携がより強化されています。重要な課題の一つは、シグナルを損なうことなくキャンペーンを実行することです。戦略立案と実行をつなぐことが、極めて重要となっています。
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