パブリッシャーは、クッキーレスな在庫をどのように強化し、マネタイズへ向けて即座にポジティブな影響を与えることができるのか?―ATS Tokyo 2023イベントレポート(7)
デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2023」が12月8日、都内にて開催された。
「パブリッシャーは、クッキーレスな在庫をどのように強化し、マネタイズへ向けて即座にポジティブな影響を与えることができるのか?」をテーマとしたセッションには、Intent IQにてVP ビジネスデベロップメントの役職に就くタミール・シャブ氏が登壇した。
シャブ氏は、既に50%以上の広告在庫ではサードパーティCookieがサポートされていない現状を鑑みて、「クッキーレスは将来ではなく、現在進行形の問題」であると主張。そして、クッキーレス環境下においても、精緻なターゲティングやフリークエンシーキャップを実現するためのソリューションは既に存在していると述べた上で、Intent IQが10年以上を費やして独自開発をした、アイデンティティデバイスグラフに基づくファーストパーティIDクラスタリング技術を紹介した。
本ソリューションは、既に一日当たり20億回に及ぶ広告表示のマネタイズに利用されており、米国市場の98%、日本市場の40~50%を網羅していると説明。各サイトへのログインデータやオフラインデータを含む様々なデータを収集した上で48時間ごとに更新することで、92~97%の正確性を実現しているという。
また同社では、A/Bテストを通じて把握した、本ソリューションによる純効果のみに対する課金体系を整備。実装及びサポート費用も発生しないため、広告収益増加分の一部を割くだけで費用を賄うことができると伝えた。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。