Adjust、Meta、 REALITYがアプリ広告市場最新動向解説セミナーを開催[ニュース]
アプリ計測・分析ツールのAdjustは、2023年12月14日、大手広告プラットフォームのMetaと共同で、広告主及び広告代理店関係者を対象に両社の最新機能や事例を紹介するセミナーを開催した。
(Sponsored by Adjust)
Meta最新動向
Meta日本法人 Facebook Japan 営業部長の古田理恵氏は、Facebook、Messenger、WhatsApp、Instagramといった同社が運営するプラットフォームの利用者数の総計は、世界人口の約半数に相当する約38億人に達していると報告。VRヘッドセットのMeta Quest 3や2023年7月にリリースしたばかりの新たなSNSとなるThreadsといった事業も好調であると伝えた。
またユーザーからIDFAの利用許諾取得が義務付けられたiOS 14のリリースなど、プライバシーを取り巻く環境の変化を受けて、広告プロダクトラインナップの基礎から再構築を行ったと説明。その結果として、直近一年間でMetaのプラットフォームにおける広告パフォーマンスが大幅に改善したと述べた。
次世代計測ツールの開発に注力
Adjustのゼネラルマネージャーを務める佐々直紀氏は、2023年を通じてアプリ広告業界はユーザーの獲得競争の激化やプライバシー保護の強化といった試練にさらされたものの、日本のアプリ広告市場は今後も引き続き順調に成長していくとの見通しを提示。市場関係者を支援すべく、以下を始めとする様々な新規機能を装備していると伝えた。
Pulse:各種KPIに基づいてカスタムアラートを作成
コネクテッドTV広告計測:コネクテッドTVへの広告表示を受けて手元のスマートフォンでアプリをインストールした際のアトリビューションを計測
アシストダッシュボード:ラストクリックやインプレッションの手前にあるエンゲージメントを評価
地上波テレビCM効果計測:地上波テレビCMがアプリインストールに与えた影響や継続率またはLTVを分析
スマートバナー:Webサイトからユーザーをシームレスにアプリに誘導
PC&コンソールゲーム計測:Steam、Epic、Nintendo Switch、Xboxといったオンラインゲーム・プラットフォーム上のアトリビューションを計測
Facebook広告のアトリビューション計測については、API連携やSKAdNetwork経由以外にも、ATT制限を受けない確率的モデリングに基づくソリューションを用意していると紹介。ランディングページにAdjust社が用意したスクリプトを埋め込むことで取得したアトリビューションを、コンバージョンAPI経由でFacebookにポストバックすることで広告の最適化を効率的に行うことができると案内した。
またアプリ広告の計測や分析機能などに加えて、今後はレコメンド機能の増強に注力していく考えを発表。AIと機械学習による次世代計測ツールとして、新規キャンペーンの純増効果を計測する「インクリメンタリティ分析機能」、キャンペーン開始後24時間で取得したデータに基づきその後のLTVを予測する「LTV予測機能」、どの媒体にどれほどの予算を投下すべきかを示す「予算プランナー」などの機能開発及び改善に取り組んでいると伝えた。
マーケターが注力すべき業務とは
イベントの終盤には、スマートフォン向けメタバース「REALITY」の開発及び運営を行うREALITY株式会社Live Streaming JP & Marketing部の阿部輝昭氏を中心に据えた上で、Adjust Senior Customer Success Manager 山根竜二氏とMeta日本法人 Facebook Japan Client Partner Manager 宮本潤氏を交えたパネルディスカッションが実施された。
海外ユーザーが約8割を占めるアプリ「REALITY」を運営するREALITY株式会社の阿部氏は、サービスを展開する国・地域によってCPIがあまりに大きく異なるため、KPIとしては一律評価により適したROASを重視している。そして過去数年間で、Metaを始めとする広告プラットフォームの自動最適化機能が大幅に向上したため、マーケティング担当者が細かなターゲティング設定などを行う必要がなくなったものの、自動最適化機能に全面的に委ねることはできないと発言。一例として、広告プラットフォームが収益性などの観点から広告配信対象と見なしたオーディエンスが、必ずしも広告主が事業上の観点からリーチしたいユーザーであるとは限らないと述べた。
加えて広告効果を高めるために重要な「オーガニック投稿のような広告表現」についても、広告プラットフォームや国・地域によって大きく異なると指摘。その違いを理解した上で適切な広告クリエイティブを制作することが重要であるとの考えを述べた。
さらに阿部氏は、ATT制限を受けた環境下においてはIDFAを十分に取得できないため、リターゲティング配信を行うことが難しいと指摘。Adjustが提供する確率的アトリビューション計測機能を通じて抽出した広告IDを有効活用するオーディエンスビルダー機能への期待を示した。
またSKAdNetworkやAdjustの諸機能を駆使することで必要なデータを収集しつつも、プライバシー強化によって今後取得できるデータが減っていくことは必至であると予測。「むしろこれまでが数字が取れ過ぎていた」との考えに基づき、「デジタルマーケターは今後は本来の意味でのマーケターに近づいていく」のではないかとの見方を示した。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。