「広告」ではなく「コンテンツ」として惹きつける!-TikTokショートドラマを活用した若年層へのマーケティング施策[インタビュー]
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on 2023年12月07日 in
若年層・Z世代に対してのショートドラマを活用したマーケティング手法が注目を集めつつある。Septeni Japan 株式会社と株式会社GOKKOでもこの領域に注力しており、結婚式場を運営する株式会社アルカディアのショートドラマ施策において、公開から3ヶ月を経過した現在、再生回数は420万回(※)を突破するなど高い効果を発揮している。
※広告配信を除く、3作品のオーガニック総再生回数
ショートドラマ×TikTokを活用する強みやZ世代への戦略について、Septeni Japan株式会社 クリエイティブ本部 次世代クリエイティブ開発室 シニアチーフディレクター 江村 雄一氏、株式会社GOKKO 執行役員 マーケティングビジネス&ビジネス統括プロデューサー 中矢 啓樹氏にお話を伺った。
(聞き手:ExchangeWireJAPAN 渡辺 龍)
(Sponsored by Septeni Japan)
「面白い」が無くてはアプローチできない
―自己紹介をお願いします
江村氏:Septeni Japan株式会社 クリエイティブ本部に所属している江村です。クリエイティブ領域の新規事業開発やサービス企画を手掛けており、現在はGOKKOさんと共に進めているショートドラマでのコンテンツマーケティングに注力しています。
中矢氏:株式会社GOKKOの執行役員でビジネスサイドの統括をしている中矢です。テーマパークのUSJでマーケティングを担当した後、現在は企業様とご一緒するプロモーションドラマ制作時のプロデューサーといった立ち位置で、マーケティングプランの立案などをしております。
―今回のアルカディアでの施策概要を教えてください
江村氏:結婚式をテーマにしたショートドラマを3本制作し、TikTokのごっこ倶楽部アカウントに投稿しました。これまでアルカディア様が実施していたテレビCMなどは尺に限りがあり、会社としての想いの部分が伝わりにくい点が課題の一つでした。
そこで、登場人物の感情が表現されるショートドラマという手法を用い、コンテンツの内容に視聴者を惹きつける仕組みをつくることで、より多くの人にアルカディア様が伝えたいメッセージや式場の魅力を伝えていったところが基本的な施策です。さらに、ドラマ仕立ての広告クリエイティブも制作し、当社と電通九州でTikTokを中心に広告配信も実施しました。これは、通常の動画として投稿したものを広告配信の素材としても活用した形です。
―マーケティング施策においてなぜ今ショートドラマなのでしょうか
中矢氏:Z世代へのアプローチにおいては既存の広告施策だけでは十分ではありません。情報や見たいものが周囲に溢れている環境でCMを大量に流したところでしっかりと見てもらえないからです。現在最も伸びているプラットフォームの一つであるTikTokでは、一定時間強制的に見せる形とは違い、視聴者に広告をスキップする自由が与えられています。
さらに、市場環境全体で見ると、課金することで、そもそも広告を流さないといった選択肢も増えてきています。消費者は瞬間的に面白くない、興味がないと判断したものに時間を使ってくれないのです。
我々、GOKKOのコンテンツを活用したマーケティングの強みは「面白いから見られる」という概念が基盤にある点です。ショートドラマは「広告」ではなくあくまで「コンテンツ」であり、その中に企業のメッセージが表現されている形になります。
―TikTokというプラットフォームも施策の上で重要なのでしょうか
中矢氏:TikTokの特徴として挙げられるのが、良い動画は多くの人にレコメンドされ拡散されるプラットフォームという点です。これまでは「クリエイティブの質が高いこと」と「多くの人に広まること」というのは別の話で、クリエイティブを拡散させるには大量の費用が必要でした。
TikTokでは、評価の高い動画が多くのユーザーに拡散されていくので、まさに『面白いコンテンツを作れるか』がカギになります。クリエイティブとして質が高いものを作っていくことで、自然とリーチも広がっていくという考えのもとで、実際にバズるクリエイティブを作れることが私たちの強みです。
江村氏:TikTokにおいては「バズっている」=「多く、長く視聴されている」、「ユーザーから多くの反応を得ている」ということになります。例えば1秒見てスキップされていたら視聴維持がされていないのでそもそもオススメに上がってきません。また、「いいね」や「投稿へのコメント数」も評価の軸に含まれます。他のプラットフォームでは単に視聴数だけが伸びており、ユーザーの反応が得られていない状態も珍しくない中で、TikTokでのバズは視聴維持とエンゲージメントがしっかり揃っている証明にもなります。
3本のショートドラマに役割を持たせ、各指標が大幅アップ
―今回、ドラマを3話構成にした意図はどのようなものだったのでしょうか
A:【誓い】https://www.tiktok.com/@gokko5club/video/7266607938696006919
B:【ことのは】https://www.tiktok.com/@gokko5club/video/7266972395062250770
C:【wedding for】https://www.tiktok.com/@gokko5club/video/7267347047253036296
江村氏:3話それぞれに別々の役割を与えています。結婚をテーマにしたストーリーで多くの視聴者を惹きつけることを目的としたAのクリエイティブ。また、式場の風景や設備がより見えやすい構成にしつつ、アルカディア様のコンセプトを表現することを重視したBのクリエイティブ。最後に、プランナーと共に式場を選ぶプロセス自体をドラマにすることで、サービスの具体的なイメージや料理などのクオリティを見せるCのクリエイティブと使い分けました。
コロナ禍を経て結婚式を見送る人も少なくない中で、改めて結婚式自体の魅力や得られる体験を伝えつつ、最終的にCのクリエイティブで「アルカディアで結婚式をやりたいよね」というメッセージをユーザーに訴求しています。
中矢氏:A、Bの2話が軸としてあり、広告配信を伴ったクリエイティブとしてCがあります。Cのクリエイティブは前者の2本をきちっとバズらせた上で、さらにアルカディア様に対して興味を持った人に対してターゲティングをしています。
これまではオーガニックだけでバズらせていたのですが、もう一歩深いクリエイティブを作るときにはどうしてもターゲットが狭くなり、万人向けのコンテンツにはなりません。そこをセプテーニさんの広告運用で培った技術を使って、最終的にアルカディア様の認知や利用意向を上げるというのが今回の施策の狙いでした。
―実際の成果としてはどのような実績があがりましたか
江村氏:アルカディア様が元々は電通九州さんのお客様だったこともあり、ターゲットに合わせたメディアミックス、クリエイティブミックスを適切に立てた上で、同時期に電通九州さんでテレビCMも実施しました。さらに、CMとショートドラマを絡めた効果測定も行っています。
結果としては、認知度、好意度、利用意向の3指標全てでテレビCMだけを見た人よりも、両方を視聴した人の伸びが高くなりました。認知度は16ポイント上回り、好意度と利用意向に関してはそれぞれ43.8ポイント、47.7ポイントの上昇と2倍以上になっています。
電通九州の担当者さんからも、「テレビCMとTikTokドラマの両方を見た人だけが、3指標に関して大きく伸びたという結果になりました。これだけ大きな差が出ているということで、テレビCM×ショートドラマ施策の狙いがしっかりと当たった好事例になりました」という評価を貰っています。
―アルカディア側での手応えや感想は聞いていますか
江村氏:アルカディア様からは「ドラマの配信後には来場者様から『ドラマを見ました』という声をいただき、TikTokにも『自分もここで結婚したので驚きました』といったコメントが寄せられていたので、関係のある人にしっかり届いているということを実感しています」というお声をいただいています。
セプテーニ×GOKKOがZ世代へのマーケティングを全面サポート
―今後はどのような課題を持った企業に使ってほしいですか
中矢氏:Z世代へのマーケティングに苦労しているすべての企業様です。SNSを中心とした、Z世代向けの施策を成功させるために重要なのは、予算を確保して、一定期間は継続して発信するということです。
TikTokで常にコンテンツを出し続けることで、確実にブランドにとって非常に重要な『第一想起』に効くことが分かってきています。色々な施策でZ世代にアプローチをしていたものの効果が下がっている企業様や、適切にリーチできなくて第一想起がこぼれ始めている企業様のお力になれる機会を今後増やしていきたいです。
江村氏:高い効果を発揮するために継続が必要というのは同じですが、企業様が実施を検討される場合まずはトライアルから、という形になるかと思っています。ですので、「課題がある」という状態であればまずはご相談いただければと考えています。
若年層に対しての課題を持ちながらも既存施策が手詰まりだと感じている企業様には、新たなマーケティング手法になります。そこで効果を実感していただいた後には、ぜひ継続施策としてサポートさせていただければと思います。
―ショートドラマという新しい施策に対しては、足踏みをしてしまう企業もあるかと思います
江村氏:広告動画であれば、商品やサービスの良さを伝える明るいストーリーであることが多いと思います。しかし、ショートドラマは既存の広告とは異なり、喜怒哀楽の“楽”だけを全面に押し出したものは成立しません。
視聴者を惹きつけるには平和でポジティブな話だけではなく、例えば最初に落ちこんでいる人を登場させたり、喧嘩しているシーンからスタートさせたりするなど、いろいろな角度でユーザーの感情にアプローチする状況設定が必要になってきます。これまでの施策に限界を感じているのであれば、その辺りは一度頭を柔軟にし、ターゲットとなるZ世代が好んで見てくれるものを作ろうという意識を持てるといいと思います。
中矢氏:ショートドラマ施策にあたっては、必ずしも企業の担当者様自身がZ世代について深く理解していなくてもいいんです。そこは私たちが担う部分なので、ご心配はいりません。ただ、きちんと面白いものを作れば、効果があらわれることはぜひご理解いただきたいです。
この観点は、これまでのマーケティングで行ってきた施策の考え方と一部異なる部分があります。企業様が言いたいことだけを詰め込んだコンテンツを作ってしまうと、せっかくのショート動画も「コンテンツ」ではなく「広告」になってしまいます。それでは逆にZ世代へのリーチから遠のく原因にもなりえます。大前提として、今の時代において、面白くないものは見られません。
たとえリーチ数がとれていたとしてもそれは、受け手が無理やり見せられている苦痛な時間を増やしているだけです。これは明確なマイナスブランディングになります。この前提に共感いただいたうえで、『面白さ』と『ブランドの世界観』をうまく融合させたコンテンツを発信することが重要です。セプテーニさんと当社にぜひお任せください。
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【大好評ウェビナー第二弾!】TikTokショートドラマを活用した”狙って”バズれるコンテンツマーケティング施策
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ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当
立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。