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APACの音声広告の概況:各国の主要なオーディオトレンドを探る

デジタルオーディオ広告費が、今年22.3億ドル(約174億ポンド)に達すると予測される中、アジア太平洋地域(APAC)では、デジタルオーディオの消費が、ここ数年驚異的に増加している。スマートフォンの普及、インターネット接続のスピード向上、没入型コンテンツへの需要増加などもあり、デジタルオーディオプラットフォームが消費者に積極的に受け入れられているのだ。

私たちは、APACにおけるデジタルオーディオの最新トレンドを探り、その急速な成長の背後にある要因、主要なプラットフォームやコンテンツの変遷、そして、多様なこの市場に参入しようとするデジタルマーケターに課された課題と、もたらされる機会について調べた。

 

音楽ストリーミングが急成長中

APACのデジタルオーディオ市場は、この地域のミュージシャンとそのコミュニティの急成長を背景に、2035年までに、世界の市場シェアの29%を占めるようになると予測されている。この顕著な成長を支えているのは、音楽ストリーミングの再生デバイスとして最も高い人気を誇るスマートフォンの広範な普及だ。APACにおけるスマートフォンの普及率は、2019年の約63%から、2022年には76%まで急増し、2030年までには89%に達すると見込まれている。これが、この地域の市場拡大に有利な環境を作り出している。

これは、音楽ストリーミングプラットフォームでAPACユーザーをターゲットにしようとしているデジタルマーケターにとって重要な意味を持つはずだ。ストリーミングアプリを含む音楽アプリ全体の平均クリックスルー率(CTR)は2.19%に達しており、広告効果の際だった高さを示している。これは、ソーシャルアプリの平均CTRより4.6倍も高い。

音楽ストリーミングプラットフォームは、リアルタイムのライブ視聴データが利用できる上、スマートフォンの位置データと組み合わせることも不可能ではないことから、特定のユーザーをターゲットにしてリアルタイムに広告を配信できる。ブランドは、APACのユーザーに、よりパーソナライズされた広告を提供し、タイムリーで効果的なインタラクションをもたらすことができるだろう。

 

各国ごとのリスニング習慣

APAC(アジア太平洋地域)では、文化、言語、経済面で広範かつ大きな違いが存在しているため、プロバイダーが音楽ストリーミング市場に参入しようとする際、いくつもの困難な課題に直面する。結果的に、この地域のストリーミング業界は、非常に競争が激しく、サブスクリプションモデルの多様な価格設定や海外プラットフォームとローカル企業の提携がしばしば行われ、それが大きな特徴となっている。

ただし、APACで最も普及しているのが、欧州のストリーミングプラットフォームであることには注意すべきだろう。Spotify(スポティファイ)が、APACでトップの音楽ストリーミングサービスであり、消費者の48%がこのプラットフォームを利用している。YouTube Music(ユーチューブミュージック)が2位で、これも消費者の約5人に1人以上が利用している。

また、国ごとの違いにも注意すべきだろう。例えば、日本と韓国では、SpotifyやApple Music(アプルミュージック)などのグローバルプラットフォームが浸透しているが、日本ではLINE Music(ラインミュージック)、韓国ではMelon(メロン)などのローカルプラットフォームも有力な選択肢の一つとなっている。一方、中国では、国産の音楽プラットフォームTencent(テンセント)が最も好まれており、その音楽ストリーミングアプリとして、KuGou、QQ、Kuwoの3つのアプリが人気の座を独占している。

 

ポッドキャスト:止まらないトレンド?

グローバルなリスニングトレンドと同じく、APACでもポッドキャストの人気は隆盛を博している。ポッドキャストは、情報の発信手段として、またエンターテインメントのソースとして非常に大きな影響力を持っており、すでにアジアのメディア消費の主要な手段のひとつになっている。この急激な人気の高まりは、モバイルとインターネットの急拡大に起因しており、ポッドキャストのアクセス性の良さと移動中でも視聴できる利便性によってより促進されている。Acastの「Sounds Smart Asia 2022」レポートによれば、香港、シンガポール、日本では、多くの人が、ポッドキャストなどのオーディオフォーマットを日常的に聴いているという。またレポートによると、視聴者の90%が、ポッドキャストエピソードのほとんどまたは全部を最後まで聴いており、70%が、テレビストリーミング(64%)、ソーシャルメディア(60%)、商業ラジオ(51%)などより、ポッドキャストの方をより熱心に聴いているという。

オーディオ広告の影響は特にアジアで顕著であり、約71%の人が、ポッドキャストで広告を視聴した後、何らかの行動を取ったと回答している。さらに、33%の人は、ポッドキャストの広告で訴求された製品やサービスについてさらに詳細な情報を積極的に探したと回答している。

 

全てのマーケティングチャネルを通じたオーディオの統合

プログラマティックオーディオ広告の活用は、デジタルマーケターにとって、オムニチャネルマーケティングに有用な手段を追加することを意味する。オーディオコンテンツは、この地域で急速に人気を集めており、また、さまざまな用途に応用できる。マーケターは、映像やテキストのクリエイティブにオーディオ要素を加えることで、メッセージのインパクトを最大化し、さまざまなプラットフォームで一貫したブランドプレゼンスを築くことができる。このように、メディアキャンペーンをより包括的に捉えれば、結果的に、クリックを含むエンゲージメント指標の向上にもつながるだろう。

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS

2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。