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GumGum×キリン×電通デジタルが語る、モーメントを捉えて消費者の態度変容を促す広告運用術とは[インタビュー]

広告とは本来、商品やサービスの紹介を通じて、消費者に新たな気付きを与え、より良い未来像を示すべきものであるはず。ところが、競争入札によって消費者の関心を奪い合う戦場と化したオンライン広告市場では、広告表示回数やクリック数といった指標が独り歩きし、「広告を目にした消費者の心をいかに動かしたか」という観点が抜けてしまいがちだ。この課題を乗り越えるべく、消費者の態度変容にこだわった広告運用を行う3社に話を聞いた。

(Sponsored by GumGum Japan)

 

最大の目的は機能認知

 

―自己紹介をお願いします。

 

桜井氏:キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業部の桜井可奈子と申します。

 

弊社は、健康な毎日を送るために欠かせない「免疫ケア」を国民ごと化し、食事・睡眠・運動に並ぶくらい当たり前の健康習慣にするというビジョンを掲げています。

 

 

当社が実施した調査では、国民の約9割が「免疫は健康のために必要」と意識する一方で、実際に「免疫ケア習慣」という行動を行っている人は1割程度に過ぎないことが明らかになりました。そこで、この意識と行動のギャップを埋め、免疫ケア行動をする人を増やすために、広告宣伝や広報活動に加えて、店頭や学校の教育現場にも赴き、免疫ケアの必要性啓発活動に注力しています。

 

この免疫ケアニーズ創造と並行して、弊社の免疫ケア素材であり、機能性表示食品制度の免疫領域において、日本で初めて消費者庁に届出受理された「プラズマ乳酸菌」を免疫ケアの代表商品として認知を拡げる取組みも行っています。免疫ケアをしたいと思った人が、手軽に始め、継続できる状態をつくるために、プラズマ乳酸菌は飲料・ヨーグルト・サプリメントといった幅広い商品カテゴリを持っています。

 

大宮氏:電通デジタルにてメディアプランニングを担当する大宮尚貴と申します。キリン様のプラズマ乳酸菌に関するデジタルマーケティングのお手伝いをさせていただいています。

 

吉田氏:大宮が所属するグループのマネージャーを務める吉田統樹です。私自身も以前にプラズマ乳酸菌のブランド担当を務めておりました。

 

小野下氏:電通デジタルのアカウントイノベーション部門にてビジネスプロデューサーとプランナーを兼任する小野下雄大です。同じくプラズマ乳酸菌のデジタルマーケティングのお手伝いをさせていただいています。

 

土居氏:コンテクスチュアル広告プラットフォームのGumGum Japanでセールスディレクターを務める土居博通です。携帯キャリア、金融、広告代理店などの営業職を経て、2019年にGumGum Japanに参画し、現在は営業部門を統括しております。

 

岩附氏:同じくGumGum Japanにてアカウントマネージャーを務める岩附春奈と申します。以前は、総合商社や総領事館に勤務しておりました。2年ほど前にフランス南西部トゥールーズから帰国し、現職に就いています。

 

―「プラズマ乳酸菌」のマーケティングにおいては、どのような施策を展開しているのでしょうか。

 

桜井氏:全国民を対象とした商品ではあるのですが、なかでも健康意識が高い子育て世代の方々とのコミュニケーションを重視しています。

 

ただし、先ほども申し上げた通り、現状、免疫ケアについて関心を持っていたとしても、その必要性を実感し、具体的な行動にまで移す消費者はほとんどいらっしゃいません。そこで広告宣伝活動においては、テレビCMや動画プラットフォームなどを通じて広く浅くリーチを取ることよりも、健康情報や免疫に関連する情報に接している最中の消費者に接触することで、まずは免疫ケアの必要性に気付いてもらい、態度変容を起こしてもらうことに注力しています。

 

そもそも、新しい健康習慣をつくっていくにあたって、消費者との信頼関係の構築が何よりも重要です。適切なコミュニケーションを取るためには適切なタイミングを選ばなければなりません。この目的を達成するために、GumGumを最大限に活用しています。

 

小野下氏:具体的な施策としては、テレビCMでは「免疫ケア」や「プラズマ乳酸菌」という概念や用語を印象付けることを優先し、デジタル広告ではその具体的な機能を認知していただくことを目標としています。

 

 

―どのようなデジタル媒体を活用されているのでしょうか。

 

小野下氏:多くの人にリーチが見込めるキュレーションメディアやSNSを含む大手広告プラットフォームに加えて、生活者の関連モーメントで情報を届けることのできるモーメント配信広告のGumGumやリスティング広告などを行っています。その中でも、広告クリエイティブの制作まで引き受け、詳細な広告運用結果を記したレポーティングの提供、といったPDCAの回しやすいGumGumを高く評価しています。

 

吉田氏:GumGumのリッチな広告フォーマットはやや特殊なので、当社のような広告代理店のクリエイターが広告クリエイティブ制作を請け負うよりも、フォーマットを熟知しているGumGumの専門性にお任せするメリットの方が大きいと考えています。

 

 

土居氏:キリン様からはテレビCMで流れている動画をお預かりした上で、その動画を囲むバナー部分のデザインを作成しています。バナー上をマウスオーバーすると拡大するフォーマットで、視認性が高いと同時にユーザー体験を阻害しません。またユーザーが読み込んでいるコンテンツに則して適切な広告を表示するので、態度変容を促しやすいという特徴があります。

 

PC版バナー広告例

 

スマートフォン版バナー広告例

資料提供:GumGum Japan

クリエイティブdemo:PC版スマートフォン版

 

絶大なブランドリフト効果を発揮

 

―実際に広告を配信した結果はいかがでしたか。

 

小野下氏:正直に申し上げると、リーチ効率はいわゆる大手広告プラットフォームの方が良い傾向が見て取れます。ただし、我々が目指しているのは、やみくもなリーチ拡大ではなく、態度変容つまりは機能認知を高めること。この点でGumGumは優れており、ブランドリフト効率、ブランドリフト単価(CPB)に換算すると他のプラットフォームと比較して1.2~1.5倍も良い結果が出ました。また、このような結果が1回だけではなく、継続的に出ている状況です。

 

 

―ブランドリフトの比較はどのように行ったのでしょうか。

 

土居氏:当社のプラットフォーム上の広告配信結果については、インテージ社の協力を得て、ブランドリフト調査を合わせて実施するサービスメニューをご用意しています。

 

小野下氏:広告プラットフォームごとの比較を行うために、GumGum様も含め、同じ質問項目を用意した上で、各プラットフォームでブランドリフト調査を実施しました。そこで、広告接触者と非接触者でスコアを比較し、「果たしてこのメッセージがどれだけブランドリフト」を獲得できたか」を比較しておりました。そのように同じ調査手法でやった結果、先ほども申し上げた通り、GumGum様は安定的なブランドリフトパフォーマンスが出ている状況です。

 

吉田氏:私が担当していた時には、一つの調査会社が全くの同一基準ですべての広告プラットフォームに対してアンケート調査を実施したことがあります。その際にもGumGumでは他のプラットフォームと比較して1.3倍から1.7倍ほど良いブランドリフト効果が出ました。

 

土居氏:当社ではVerity™というコンテクスト解析エンジンがコンテクスト、画像、動画、音声といった情報を解析しています。単一のキーワードだけでなく、全体的な文脈が肯定的であるか否定的であるかまで読み取っているので、適切なモーメントを捉えて適切な広告クリエイティブを配信することができ、ブランドリフトを実現できるというのが当社の強みです。

 

なお、この解析技術に基づき、不適切なコンテンツを配信先から除外しているので、ブランドセーフティ対策にも適しています。

 

大宮氏:キリン様側でも予め除外リストを用意するなどブランドセーフティ対策を取っているのですが、配信面を明らかにしないメディアもあります。GumGumではこの配信面を具体名で開示していることに信頼感を覚えます。

 

 

―コンテクスチュアルターゲティングの最適化に向けて、どのようにキーワード選定を行っているのでしょうか。

 

商品の特性上、やはり「免疫」とそれに関連する単語を主なキーワードとしております。また、季節ごとに特徴的なキーワードなども、桜井様やGumGum様とも相談しながら付け加えています。

 

また、GumGumのレポーティングではそれぞれのキーワードごとに詳細のパフォーマンス結果が示されます。ですので、運用開始当初には気づかなかったけれど、「こういったキーワードが意外に相性がいいんだ」といった発見も得られます。

 

それらのデータを参照しながら、次回配信のキーワードに加えるなど、PDCAを回しています。さらに、そのデータを他の広告プラットフォームでの広告運用に反映させたり、コミュケーション戦略全体設計のヒントにしたりといった、拡張的な使用も実施しております。

 

桜井氏:当初は想定していなかった、しかも一見しただけではあまり関係なさそうなキーワードやカテゴリを追加するというのは、広告を出稿する側としてはチャレンジです。広告会社様やメディア様との信頼関係があるからこそできることだと思います。

 

岩附氏:当社のレポーティングでは、予め設定していたキーワード以外にも、広告の配信面にどのようなキーワードが含まれていたかを確認できます。たとえ「睡眠」をターゲティング項目として設定していなかったとしても、広告の配信開始後に「睡眠関連記事の読者が高い関心を示している」ことを把握し最適化調整をすることで、以降の広告配信に生かせます。

 

 

土居氏:また当社では過去にどういうタイミングでどういうモーメントの高まりがあったかを示す「モーメントカレンダー」を提供しています。ターゲティング軸にあわせたモーメントの高まりや、季節ごとの傾向を分析するためにご活用いただいています。

 

斬新な動画広告フォーマットをリリース予定

 

―キリン様の事例ではブランドリフトをKPIとしていましたが、GumGumはブランディング案件に適した広告プラットフォームなのでしょうか。

 

土居氏:様々な用途に沿うことができると自負しておりますが、少なくとも「安価で大量のリーチを取る」ためのプラットフォームではありません。一方で消費者の課題や需要が明確に顕在化されたリスティング広告と比較してしまうと、そもそも土俵が違うので、購入率などでは見劣りしてしまう可能性があります。

 

 

その他のKPIとしては、例えば指定したキーワードのサーチリフト率であれば、非常に高い成果を示す傾向があります。またGumGumで一度広告に接触したユーザーがランディングページに再来訪した結果として、いわゆるマイクロコンバージョンの効率が良かったという事例も多数あります。

 

吉田氏:あくまで一般論として、「商品を認知してすぐ購入するもの」と「商品を認知してから一定の検討期間を経た上で購入するもの」を分けた場合、コンテクスチュアルターゲティングは後者に向いているとは思います。ただしGumGumは独自のリッチな広告クリエイティブが目を引きやすいので、前者にも生かすことができるはずです。広告プラットフォームのどの特性をどのように生かすかはプランナーの腕の見せ所なのでしょうね。

 

―今後の事業展開についてお聞かせください。

 

土居氏:この春からアテンションタイム計測を開始しており、今後はアテンションタイム指標に基づく自動最適化が進んでいく見込みです。広告表示回数の内容の充実度を計測するアテンションタイムの方がクリックよりもサンプル数は圧倒的に多くなるので、より高度な最適化が実現できます。

 

また米国のFrameplay社との独占契約を通じて、ゲーム内に広告を表示する広告フォーマットを2023年にリリースしました。ゲーム内の競技場などにバーチャル看板を設置することができ、日本市場の配信規模は既に100万MAUに達しています。

 

ゲーム内広告フォーマット例

資料提供:GumGum Japan

 

さらにOTTプラットフォーム上の動画内容を解析する動画コンテクスチュアル広告のご提供も間もなく開始します。既存のインストリーム広告は、プレロール、ミッドロール、エンドロールなどがありますが、いずれもユーザーの視聴体験を分断させてしまうという本質的な課題を解決しきれていません。そこで当社では、テレビCMの提供クレジットをよりリッチな表現にしたような新規フォーマットをご用意しました。

 

動画コンテクスチュアル広告例

資料提供:GumGum Japan

 

吉田氏:それは面白いですね。記事コンテンツを対象としたコンテクスチュアルターゲティングはある程度まで顕在化されたニーズを刈り取りますが、動画コンテンツとなると言語化されていないニーズをも汲み取ることができるのではないでしょうか。

 

土居氏:視聴体験を阻害しないので、大手動画プラットフォームと比較すると、オプトアウト率は3分の1程度です。またニールセン社の調査によると、ブランド好意度が18~19ポイント、購入意向が10ポイント増という好結果を出しています。日本市場でのサービス開始は、2024年を予定しております。

 

小野下氏:デジタルマーケティングの環境がクッキーレスなどによって制限が強化されていく中、コンテクスチュアルターゲティングは今後さらに重要なソリューションになると考えます。その他にも先進的な取り組みを進めているGumGumさんと一緒に、引き続きキリン様のビジネス成長支援を加速させていきたいと思っています。

 

桜井氏:GumGum様と電通デジタル様との取り組みによって、「適切なモーメントでユーザーに接触し、免疫ケアニーズを作り出す」というマス広告ではなかなか実現できない施策を実施することができました。今後はマス広告との広告投資配分を見直す余地もあるかもしれません。免疫ケアの重要性に関する認知拡大に向けて、引き続き両社と一緒になって新たなチャレンジに取り組んでいきたいです。

 

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。