10周年を迎えるOutbrain Japan 変わること、変わらないこと-後編-[インタビュー]
左から、セールスマネージャー:田中氏、アカウントマネージャー:川野氏、ジェネラルマネージャー:益田氏
レコメンデーションプラットフォームの世界的リーディングカンパニーであるOutbrainが、日本法人を設立してから今年で10年になる。この節目を機に、同社メンバーに、その歴史を振り返り、またこれからどのような未来を築き上げようとしているかについてのインタビューを実施。その内容を全2回に分けてお届けする。前編に続き、後編では広告主・広告代理店担当チームに話を聞いた。
(Sponsored by Outbrain)
データ利用やテクノロジーが大きく変化
―自己紹介をお願いします。
益田氏:改めまして、Outbrain Japan株式会社のジェネラルマネージャーを務める益田敦司です。2018年の入社以来、約4年間はパブリッシャー向け事業の責任者を務めていたのですが、2022年10月より日本法人の代表として広告主・広告代理店向けチームを管掌することになりました。
田中氏:セールスマネージャーの田中健史と申します。以前は不動産業界におりましたが、2018年からOutbrain にて広告主向けセールスを担当しています。
川野氏:アカウントマネージャーの川野雄一と申します。不動産広告業界を経て、2022年9月にOutbrainに入社しました。以前から広告が好きで、副業で広告クリエイティブ制作やSNS広告の運用に携わっていました。いわゆる帰国子女なのですが、英語をもっと活用できる職場環境を求めていたところ、知人の紹介を受けてOutbrainに入社しました。
―広告主側の視点で見ると、この10年間で、どのような点が最も変化したと思いますか。
益田氏:最近ではネイティブ広告においても、DMPやGoogle Analyticsと連携した上でのターゲティング配信や効果分析またはCookieレス環境下でのID活用といった、データとテクノロジーの活用を前提としたご要望やお問い合わせが増えました。これは10年よりももっと前の話かもしれませんが、オンライン広告と言うと単に枠売りやクリック単価を意味していた時代とは隔世の感がありますね。
またブランディング向けのキャンペーンの比率が低下し、広告配信後のパフォーマンスを細かく、そして厳しく求める広告主が増えてきた印象です。コロナ禍では具体的な成果が求められる傾向が強まったことに加えて、データを駆使することで、広告の効果測定と分析を詳細に行うことができる環境が整備されたためではないでしょうか。
田中氏:従来は広告掲載ページからランディングページ(LP)への遷移率を求めるお客様が多かったのですが、最近では遷移後のLP内での回遊率を求めるお客様も多くいらっしゃいます。こうした次々生まれてくる新たなご要望に対しても試行錯誤を繰り返している最中です。
―これまでブランディングキャンペーンにも用いられてきた貴社のコンテクスチュアルターゲティングへの需要や用途が変わってきているということですか。
益田氏:当社が提供するコンテクスチュアルターゲティングが、ミドルファネルに強いという点は変わりません。ただし、ミドルファネルを通じて最終的な顧客獲得までつながっているかが重視されているように思います。
田中氏:実際に広告代理店からは、Outbrainを介して表示された広告を踏んでから購買行動に至っている点を評価をいただくことが多くあります。しかしながら、顕在層向けのリスティング広告やリターゲティング広告と単純に比較されてしまうと、広告効果が悪いという判断をされてしまう場合があるので、ミドルファネルからいかに顧客獲得につながっているかを明らかにすることの重要性を実感しています。
ウォールドガーデンではできないこと
―サードパーティCookie利用制限の強化を受けて、IDベースのターゲティングや効果測定が引き続き可能なウォールドガーデンの需要が一層高まっていると聞きます。
益田氏:一部の広告主が、広告配信先をウォールドガーデンに集約しつつあるのは事実です。しかしながら、どれだけ大きな広告プラットフォームだとしても、日本のユーザーすべてにリーチできるわけではありません。できるだけ多くの人々に適切な情報を伝えていくためには、オープンウェブの活用が引き続き必要不可欠です。
田中氏:ウォールドガーデンないしアプリとオープンウェブの重複ユーザーがどれだけいるかをデータとして把握するということも重要だと思います。実際にはオープンウェブでしかリーチできないユーザーは常に一定数存在し、それらを取り込むことで、新規リーチ獲得及びコンバージョン数の増加に大きく寄与しています。
益田氏:また同じユーザーであったとしても、タイミングや場面に応じて、興味や関心が変わり得ます。Outbrainは、ユーザーがリアルタイムでどんなことに興味や関心を持っているかについて詳しく知ることができる広告プラットフォームです。仮にウォールドガーデンのユーザーであったとしても、特定の話題や物事への興味や関心が高まったタイミングで最適な広告を配信するというコミュニケーションを設計できるのはOutbrainならではだと思います。
田中氏:とりわけ当社のネットワークには、全国紙(新聞)、地方紙(新聞)、海外ニュースサイトといったプレミアムメディアが揃っており、ユーザーは情報をきちんと読み込むために各サイトを訪問しています。ユーザーの質が高く、コンテンツの理解力とその後の行動力が非常に高いという特徴があります。
―ただし、コンテクスチュアルターゲティングでは、効果的なリターゲティング配信を行うのは難しいのではないでしょうか。
益田氏:実は当社でも、広告主や広告代理店の皆様にご協力をいただいてタグ連携さえすれば、リターゲティング配信は可能です。当社の配信方法は主に次の4つに分類できます。
1.当社のアルゴリズムに任せたオートターゲティング
2.各種の興味・関心ごとにタグ付けされた記事コンテンツに対するコンテキスト配信
3.弊社タグを通じたリターゲティング
4.サードパーティDMP様とのデータ連携によるデモグラフィックターゲティング
このうち、4つ目のデモグラフィックターゲティングに関しては、サードパーティDMPへのデータ利用料が追加で必要となります。いずれにしても、コンテンツに基づき、ユーザーの興味・関心を識別できることが当社最大の強みです。
―あくまでも基軸はコンテクスチュアルターゲティングということですね。
益田氏:弊社のプロダクトは、もともとはパブリッシャー向けのソリューションとして開発されたので、コンテンツ分析を非常に得意としています。現在は1カ月間で3440億回ものレコメンド表示を行っています。日本では10年、グローバルでは15年以上の長い時間をかけて、これだけ多くのコンテンツを分析してきた広告プラットフォームは他にないでしょう。
しかも、プレミアムパブリッシャーが提供するプロの記者やライターが書いた質の高いコンテンツを分析しています。従って、分析に用いるアルゴリズムのロジックや信頼性には絶対的な自信を持っています。
田中氏:実際に広告主や広告代理店からは、回遊率が高く、広告の遷移先となるLPの記事をきちんと読み込んでくれるユーザーが多く集まるというフィードバックをよくいただいています。
セールスマネージャー 田中氏
絶対にあきらめない
―日々の業務においてどんなことに気を付けていますか。
田中氏:お話する相手が営業担当者なのか運用担当者であるかによって、ご説明する内容や粒度などを適宜変えるようにしています。前者であれば、Outbrainの概要や基本的な利用法について、後者にはできる限り具体的な成功事例などをお伝えしています。
その結果として、各々の取り組みの結果がすぐに出て、フィードバックをいただけるというのがこの仕事の醍醐味です。ご提案した広告クリエイティブが好結果をもたらしたときにはこの上なく喜びを感じます。
川野氏:私が気を付けているのは、「絶対にあきらめない」ということでしょうか。想定通りの広告効果が出なくて悩んでいたときに、先輩から「アカウントマネージャーがあきらめた時点で、その案件は崩壊してしまう。あきらめなければ、まだ可能性がある」と諭されたことがあり、以後は肝に銘じています。
―業務において英語でのコミュニケーションを持つ機会はどれほどありますか。
川野氏:外資系の広告主や自社のグローバルチームとのやり取りを通じて、一日のうち3分の1程度は英語でのコミュニケーションに費やしていると思います。配信広告の成果が思うように出ず、チームのメンバーだけではその原因が把握できないときには、海外の各オフィスに点在しているプロダクトチームに問い合わせたりもします。社内メンバーとはチャットツールを通じて、時差はあるもののタイムリーにコミュニケーションをとっています。
英語に苦手意識を持つメンバーに対しては、他のメンバーがいつでもサポートしますし、社内研修の一環として、英語のレッスンも週1回提供されているので、たとえ英語を流暢に話すことができなくても、大きな支障はないと思います。
アカウントマネージャー 川野氏
―貴社の社風についてお聞かせください。
田中氏:各メンバーの裁量権がかなりある会社だと思います。一方で、必要なときに助け合うためにも、またお互いの知識を高めるためにも、お客様からいただいたフィードバックなどは日頃から密にチーム間で共有しています。
グローバルの人間を含め、ポジションに関わらず、誰とでもコミュニケーションが取りやすい、風通しが非常に良い職場だと思います。
益田氏:私自身がジェネラルマネージャーとして入社したわけではなく、もともとは実務を担当していたので、できる限り身近な存在でいたいという気持ちは常に持っていますし、グローバルのシニアメンバーも、フレンドリーな人が多いと思います。
川野氏:若手社員へのサポートもかなり充実していると思います。入社後の3カ月間は、年齢の近い先輩がマンツーマンかつ対面での打ち合わせに毎朝対応してくれ、慣れない環境の中でとても助かりました。若手を集めた社内勉強会なども開催され、アドテクに関する知識を豊富に持ったメンバーが多く在籍しているので、おおよそ何を聞いてもすぐに社内のどこからか返答が戻ってきます。
私は入ってまだ1年未満ですが、風通しが良い、というのは同意ですね。当社は現在週数回程度のオフィス出勤というルールがあるのですが、私は居心地が良いのでほぼ毎日オフィスに出社しています。
益田氏:両方のチームをみてきた自分からみても、パブリッシャー向き合いのチームはやや職人肌的なメンバーが多い一方で、広告主・広告代理店向き合いのチームはもう少し営業っぽいというか、にぎやかな感じはしますね。
―オフィスを構える恵比寿という街も独特の魅力がありますよね。
田中氏:この辺りにはお取引先様のオフィスもたくさんあり、より良いコミュニケーションをはかるためには最適な立地です。
益田氏:また現在のオフィスには大変見晴らしの良い広々としたテラスを備えたミーティングスペースも設けているので、お客様をお招きして自社イベントを行ったりしています。
―今後の取り組みについてお聞かせください。
益田氏:日本法人の設立10年目を迎え、当社にも変化が求められていると思います。その一環として、今後動画ソリューションをリリースしていく予定です。すでに動画を活用した広告フォーマットはございますが、更にこれまで培ってきた予測機能をフルに活用した動画コンテキストソリューションを導入していく予定です。急速に拡大してきた動画広告市場に関しては、闇雲にリーチ数だけが先走りしているような業界の現状もあるかと思いますが、当社ではコンテンツに沿った予測機能を生かし、適切なユーザーとのマッチングを実現し、より効果を確認することのできるソリューションを考えています。
また、これまで当社は記事読了後の位置にウィジェットを配置することで、次に読むコンテンツを探している、いわゆる「読みものモード」にあるユーザーに対する広告をメインにご提供して参りましたが、よりアッパーファネル層向けのアテンション獲得に長けたフォーマット開発・導入も海外の一部市場から進めています。もちろん、運用担当者の負担軽減に向けた自動最適化機能の改善・拡充や生成AIを活用したプロダクト強化なども日々進めています。
引き続き、広告主の皆様にきちんと結果を出す広告プラットフォームとして、パートナーの皆様と共に成長していきたいと思います。最後に、こうした新たな取り組みや事例のご報告とともに、10周年の感謝をお伝えする場として、「Outbrain Summit 2023」を秋に開催する予定です。ぜひ皆様にお会いできることを楽しみにしております。
Outbrain Japan株式会社
https://www.outbrain.com/jp/
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ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。