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【CARTA HD調査】2022年のデジタルサイネージ広告市場規模は690億円の見通し、2026年には1,338億円と予測

株式会社CARTA HOLDINGSは、デジタルサイネージ広告市場に関する調査結果を公表した。2019年、2020、2021年に続いて4回目の調査となる。

 

出典:同社プレスリリース

 

新型コロナウイルス感染拡大防止策などに伴うデジタルサイネージ広告市場の低迷は既に脱却し、現在は回復基調にある。一方で、鉄道の車両広告については回復が遅れており、プログラマティック広告取引を含めた販売方法の見直しの機運が高まっている。

 

また既存大手事業者がOEM事業やコンサルティング支援事業を開始した結果、ヘリコプター、ゴルフカート、トイレ、Kioskなど、これまで取り付けが積極的に行われてこなかった場所へのデジタルサイネージの設置が進んでいく見通しとなっている。

 

さらに大型LED、3D、ジャック、折り曲げ式、メタバースといった、強い印象を与え、SNSで拡散されるようなデジタルサイネージ広告の成功事例が多数報告されており、ブランド認知を目的としたインパクトメディアとしての利用法への期待がこれまで以上に高まっている。

 

加えて、リテールメディア全般への注目が高まっていることを受けて、スーパーマーケット、家電店、薬局などを始めとする小売店内の店頭や棚前に設置されるデジタルサイネージへの需要が高まっている。これまで主流であった販売促進費だけでなく、広告費から予算が出る事例が出てきており、今後さらに大きな発展が見込まれる。

 

一方で、広告効果の可視化やその評価方法の標準化を課題視する声は依然として多く聞かれている。各業界でガイドライン策定や実証実験などが行われているが、それぞれの業界が分断されており、ウェブ広告とも共通化できる横断的な効果測定方法が策定されるにはまだ一定の時間が必要になる見通し。

 

2022年のデジタルサイネージ広告市場規模は690億円の見通し(前年比119%)。尚、コロナ禍による影響度が徐々に低減している中で、横断的かつ信頼に足る広告効果測定の確立が、今後の市場の成長度を左右するという点で重視されている。本調査では、そうした共通標準の策定に数年以上の時間がかかるとの想定の下で、2026年のデジタルサイネージ広告市場規模は2022年比194%増の1,338億円に達すると予測している。

 

以下、各セグメント別の動向となる。

 

■交通

鉄道車両や駅施設、タクシー、バス、空港、航空機などが含まれる。新型コロナウイルス感染症拡大抑止などを目的に一時は減少した人流が回復しつつあるものの、鉄道を始めとする一部の分野では出稿控えの傾向が続いている。

 

その中で、タクシー広告は経営層向けのターゲティングメディアとして確立した。都内のタクシー媒体の新規取付けは間もなく完了し、今後は安定成長段階へと移行することが見込まれている。

 

■商業施設・店舗

スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア・薬局をはじめとする小売店やショッピングモール、美容室、飲食店などが含まれる。これまで主流であった販売促進費だけでなく、より予算規模の大きい広告費から予算が出る事例が増えてきており、市場規模が飛躍的に拡大していくことが期待される。

 

大手小売事業者に限らず、小規模の小売店がデジタルプラットフォーマーと連携する事例も多く見られている。またPOSデータなどの活用を通じて、デジタルサイネージ広告全般の課題である効果測定が行いやすいという利点も評価されている。急成長が予測されているリテールメディア市場の動きと同期して、今後大きく成長していく可能性を持っている。

 

出典:同社プレスリリース

 

■屋外

コロナ禍の影響を大きく受けた領域であるものの、2021年のオリンピック特需や人流の回復などを受けて既に回復基調にある。OOH事業の歴史の流れを汲む一方で、新規事業者の台頭が目覚ましい領域でもあり、今後は様々な形式で外部接続や提携が行われると期待されている。また渋谷などの人気区域への広告露出に対する需要は根強く、SNSの拡散対象となるようなユニークな新規媒体開発に積極的な姿勢が見られる。プログラマティック取引を含めた多様な販売方法の取り込みや、DSPを通じて海外企業が直接的に広告枠を買い付けるといった先進的な事例が報告されており、今後も引き続き様々な市場変革が行われていくことが予想される。

 

出典:同社プレスリリース

 

■その他

地方自治体の建物内や、商業ビル及び居住用マンションのエレベーターなどが含まれる。とりわけ新規取り付けが進められているオフィスのエレベーターは、今後の急成長が見込まれる分野であり、配信先となるオフィスの入居テナント企業を把握できるなどの特性を生かして、タクシー広告に続くB to B商材向けとして大きな注目を集めている。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。