Twitterパフォーマンス広告開発思想とロードマップを聞く[インタビュー]
大手広告プラットフォームTwitterは、パフォーマンス広告の機能改善に向けた開発を過去数年にわたり実施し、今年新たな機能やプロダクトを次々とリリースしている。
全体のロードマップや、新しい機能やプロダクトについて、Twitter Japanパフォーマンススペシャリストとして米国本社のTwitterパフォーマンス広告開発チームと日本や韓国の営業チームや顧客との間をつなぐ役割を果たしている、犬飼裕一氏にお話を伺った。
(聞き手:ExchangeWire Japan野下智之)
数年にわたるTwitterパフォーマンス広告の開発の全容とは?
-貴社が直近で注力されているパフォーマンス広告に関わるお取組みについて、お聞かせください。
当社では近年パフォーマンス広告について注力をしており、ここに至るまで多年度計画で様々な見直しをして開発を進めてまいりました。パフォーマンス広告にかかわるプログラムコードの総見直しをし、必要に応じて書き換えるとともに、新しい機能の開発をスピーディーに行えるようにしました。これが今、Twitter広告が数々のリリースを立て続けに出すための礎となっています。
2021年には従来起こっていた成果計測の乖離を減少させて、Twitter広告やダイレクトレスポンスのプラットフォームとして認知度を上げるということを目標にしてきました。
そのうえで2022年の今年、ミッドファネル向けのソリューションを作り、業界の方向性に合わせてテクノロジーとインターフェースを整備しました。そして今年後半からは、ローワーファネルを含めたダイレクトレスポンスにおけるパフォーマンス・ソーシャルマーケティングの未来を切り開くということで、さらなる開発に注力をしてまいりました。
出典:Twitter Japan
パフォーマンス広告における2022年の注力領域は、四つあります。一つ目は「成果計測」。二つ目は「RoAS」、そして単純に「RoAS」を達成するだけではなく、三つ目の「スケール」も重要です。そして四つ目が「省力」です。
出典:Twitter Japan
アプリ広告は、アプリ内での購入活動に向けた最適化を追加
まずは、アプリ広告のアップデートについて、これまでの経緯とともにご紹介します。これまでのTwitterアプリ広告は主に2種類に分けられており、「アプリインストール目的」は利用者にアプリをインストールをしてもらうことが目的であり、かつアプリインストールを最適化のシグナルに活用するもの。「アプリエンゲージメント目的」はすでにアプリをインストールをしている利用者に向けて広告を表示し、再びアプリを起動してもらうことが目的、そしてそのアプリの起動を最適化のシグナルに活用するものです。
それらに加えて今年の8月にリリースしたのが「アプリ購入数最適化」商品です。こちらは、「アプリインストール目的」のいちメニューではありますが、最適化のポイントをインストールではなくそのアプリ内での「購入」においているところが特徴です。つまり、インストール後にそのアプリ内で購入活動をしてくれそうな人をターゲットにして広告を配信するという、新しい商品です。
ベータテストにおいては、アプリ購入数最適化モデルと既存のインストール目的のキャンペーンを比較すると、インプレッション課金同士では、アプリ購入最適化モデルは購入数あたり単価がが平均11%減少しました。また、アプリクリック課金との比較では、平均33%減と大幅な減少が認められております。
このアプリ購入数最適化モデルは、現時点ではAndroid向けに提供を行っております。
ウェブ広告は、成果計測関連の大幅なアップデートを活用してミッド・ロウワーファネル向けの商品を強化へ
出典:Twitter Japan
次はウェブトラフィック広告に関するアップデートです。
今年1年は今までになくウェブ分野に集中投資してきました。ウェブトラフィック広告については、四半期ごとに分けて、ここまでやってきたこととこれからやっていくこととをお話しします。
まず第1四半期の取り組みですが、こちらは以前にもExchangeWireでお話ししましたが、非常に重要なプロダクトですので、改めてお伝えします。
今年1月にリリースしたサイト訪問数最適化というプロダクトはウェブサイトを訪問する可能性が最も高いオーディエンスに広告配信をするというものです。CPM課金を活用することによって、より低い単価でサイト訪問をしやすい、質の高いインプレッションの獲得が可能となります。
ベータテストにおいては、既存のコンバージョン最適化プロダクトと比較するとサイト訪問当たり単価が平均31%減少。また、リンククリック最適化プロダクトと比べると、平均67%減と顕著な結果が得られました。現在では、ウェブサイトトラフィック広告商品をご利用いただいている広告主の多くが、このサイト訪問数最適化プロダクトをご活用いただいています。
そして、同時期に集約測定というウェブサイトコンバージョンの計測ソリューションを導入しました。こちらは、トラッキングをオプトアウトしたユーザーのプライバシーを保護しながら、コンバージョンを個人特定することなく加算することで、より正確にコンバージョン数を把握することが出来ることができるようにしたものです。
続く第2四半期にはローワーファネルクリックIDという新たな技術をリリースしました。こちらは昨年リリースされたクリックIDの機能を拡張したもので、ファーストパーティクッキーと呼ばれる仕組みを利用して、ランディングページだけでなく、その先のページ遷移やコンバージョンをもより正確に収集するための技術です。これにより、計測・レポーティングの精度を向上するとともに、コンバージョンに向けた最適化・パフォーマンスの向上やオーディエンスの作成に活用しています。
第3四半期には、リニューアルしたTwitterピクセルと、新商品であるコンバージョンAPIを同時にリリースしました。例えばTwitterの利用者がタイムラインを見て面白そうだなと思ったウェブサイト宛の広告をクリックすると、ウェブブラウザが開きます。
そこで利用者が商品を閲覧し、カートに入れ、そして購入を完了します。そういったウェブサイト内でのイベントをブラウザからTwitter広告システムに送るのが、Webページ内に設置されたTwitterピクセルの役割です。このTwitterピクセルが8月にリニューアルされ、より高機能なものに生まれ変わりました。
上記のサイト内行動は利用者の端末内のウェブブラウザ上でおこなわれるのですが、当然ながらその情報は広告主様のウェブサーバーから送られてくるものです。そのウェブサーバーからTwitter広告システムにAPIで直接接続していただき、その利用者のサイト内イベント情報をウェブブラウザに依存せずに直接Twitter側に送っていただくことが出来るのが、コンバージョンAPIです。
つまり、同じサイト内イベント情報をクライアント側から送信するのがTwitterピクセルであり、サーバー側から送信するのがコンバージョンAPIということになります。広告主様のご事情に応じて、どちらをご活用いただくことも可能ですし、双方を同時に活用することで、より精度の高い計測を行うことも可能です。
Twitterピクセルについては、今までは「ユニバーサルウェブサイトタグ」、「単一イベントタグ」という二種類のタグを提供してきました。今回のリニューアルでは総称として「ピクセル」という名前を掲げて、その中に二種類のコードをご用意することとなりました。
そのうちの一つはベースコードで、これは広告主のサイトの全ページに挿入するものです。そしてもう一つはイベントコードで、例えばカートに商品が追加されたなどの、イベント発生時に利用してもらうものです。
従来のピクセルも、新しいピクセルも、2022年9月現在に提供しているウェブトラフィック獲得目的の広告商品では問題なく利用可能ですが、今後リリースする「ウェブコンバージョン最適化」広告と「ダイナミックプロダクト広告」では、新しいピクセルもしくはコンバージョンAPIが動作サポート対象になってまいります。したがって、広告主の皆様には今のうちにピクセルの切り替え、もしくはコンバージョンAPIの導入していただくことを推奨しております。
第4四半期リリースを予定しているウェブコンバージョン最適化広告は、長らくご提供しているコンバージョン最適化モデルを大規模に改良したものとなり、商品を購入したり、カートに追加したりといった、ファネル下部でのアクションを起こす見込みの高い人に向けて広告を配信し、今までより高いパフォーマンスを得ることを目標にする新しいプロダクトです。
また、同時期にリリース予定のダイナミックプロダクト広告は、Twitter利用者のプラットフォーム内外での行動に基づき、関連性の高い商品を適切な人に適切なタイミングで配信するという広告商品です。イベントコードをもとに、ユーザーがどんな商品をカートに入れたのかというような情報を取得し活用することで、関連性の高い広告を配信することとなります。
いずれも早い時期での一般提供を開始すべく、また広告主様の年末商戦にご活用いただけるよう願って準備を進めております。つきましては、ぜひ新しいTwitterピクセルまたはコンバージョンAPIのご導入を先んじて実施いただくよう多くの広告主様にお願いしているところです。
私たちは、残り少ない今年も引き続きTwitterパフォーマンス広告商品の充実に邁進し、また来年に向けてさらなるプロダクトリリースや性能向上に努めてまいります。ぜひともTwitter広告のご活用をご検討くださいませ。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。