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統合マーケティング実践の鍵。セプテーニが提唱する「5Cモデル」とは[インタビュー]

 

「オンオフ統合」、「統合マーケティング」=「ハードルが高い」という印象を持つ広告主も多いだろう。また、いざ代理店に任せてみたものの、戦略の実行がしっかりされているか曖昧なまま、時間だけが過ぎていくケースもあるかもしれない。

 

本稿では、統合マーケティングを「テレビCMとデジタル施策、いわばマスデジを起点とした取り組み」と定義し、その実行力を引き上げるために株式会社セプテーニが提唱するフレームワーク「5Cモデル」を紹介していく。「3つのフェーズ」や「5つのC」をキーワードに、どの広告主でも実践的なオンオフ統合が可能となるフレームワークとなっている。

 

「広告主様と同じ目線に立って次のアクションに繋げていく」と語る同社の5Cモデルについて、Septeni Japan株式会社 マーケティング戦略本部 メディア戦略推進部 部長 甲斐 拓人氏、統合プランニング部 課長 松浦 みづき氏、第2コミュニケーションプランニング部 部長 神蔵 麻鈴氏に話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

(ライター:同 渡辺龍)

(Sponsored by Septeni Japan)

 

 

 

フェーズに分けて、段階的に統合マーケティングのハードルを越える

―統合マーケティング領域は現在どのような環境にあるのでしょうか

甲斐氏:これまでもスマホやタブレットの普及とともにユーザー行動の複雑性は増していましたが、コロナで在宅時間が増えたことにより、ネットショッピングの利用率も高まり、メディア接触のタイミングと購買までのプロセスも多様化しています。また、世の中のサービスは増えていますが、日本の人口は減っているという環境下でマーケティング活動は熾烈になっており、複合的なメディアや手法を組み合わせた統合マーケティングの重要性を耳にする機会は多いと思います。

しかし、多くの広告主様がその難しさに直面しているのが現状です。当社としてもそこが何故なのかを研究しなくてはいけないという課題もありました。そこで、当社での多くの事例を振り返り、より実践的な統合マーケティングにフォーカスを当てた「5Cモデル」というフレームワークを提唱いたしました。

 

―5Cモデルとはどのようなものなのでしょうか

神蔵氏:オンオフ統合を段階的に実現していくためのフレームワークです。ポイントは3つあり、①フェーズに分ける、②統合に必要な要素を「5つのC」に分ける、③フェーズごとに5Cをかけ合わせて必要なアクションを設定する、というのが5Cモデルの全容です。

まず、「フェーズに分ける」ですが、オンオフ統合という言葉だけでハードルの高さを感じ、先送りにしてしまう広告主様もいると思います。そこで当社ではフェーズを3つに分けています。例えば、オフラインとオンラインの購買データを統合するといったデータ統合はハードルが最も高いフェーズ3に置き、その手前に2つのフェーズを設けることで、取り組みの壁を低くしています。

 

 

フェーズ1は、まずオフラインとオンライン双方の活用に手応えを感じてもらう段階になっています。これまでオンラインしか取り組んでいない広告主様の場合は、オフラインのチャネルに配信する機会として、例えばYouTube広告の延長線上でコネクテッドテレビなどに配信してみるなど、ハードルの低い部分からオンオフ両方にチャレンジしてもらう環境を作っています。

フェーズ2は、もう一歩進んだオフライン(テレビCM)とオンライン(デジタル)での施策を連携していく段階です。テレビCMを放映する時期に合わせて、効果的なデジタル施策を実施するなど、データ統合までいかずとも、オンオフ連携での効果の最大化を目指していくイメージです。

そしてフェーズ3が、各データ連携を含めた最終的な総合マーケティングです。一歩ずつ段階を踏むことで、広告主様や代理店など関係者が自分達の現在地を把握した上でオンオフ統合を進めていくことができます。

 

―その次の「5つのCに分ける」とはどのようなものなのでしょうか

神蔵氏:統合マーケティングに必要な要素を5つに分類し、その要素の頭文字を並べると5つのCで表現することができます。各要素は「Core(戦略・配信・指標の設定)」「Co Creation(組織的なオンオフ共創体制)」「Communication(統合コミュニケーション設定)」「Cost Control(オンオフ予算配分最適化)」「Connect(オンオフデータ統合)」と定義しています。

また、フェーズによって5Cで実現すべき状態は異なるので、3つのフェーズと5つのCを掛け合わせた戦略が必要になってきます。普段からオンライン、オフラインを意識していない生活者にとってのブランド体験がより良くなることが、結果的に広告主様の事業貢献になると考えており、そのための枠組みが5Cモデルになっています。

 

 

ポイントの3つ目では、要素を定義しても、各フェーズで必要なアクションが紐づいていないと実践まではいけません。

そこで広告主様と当社で共通の指標を持ちながら、アクションに紐付けられるように、5Cとアクションを紐づけた「5Cモデルチェックリスト」というものを作りました。各フェーズで5つのCの実現に必要なアクションを紐づけています。例えばフェーズ2で「Core」に当たる部分としては、「オンオフで連携したプロモーションを設計、実行できていますか」といった質問を設定しています。要は、オンとオフでの施策においてタイミングを合わせて計画することができているかという意味合いですが、このように各フェーズでアクション項目を定めて、次に取るべき施策を明確化できる状態にすることを目指しています。

また、チェックリストは現状確認の目安としても活用しています。統合をしていく上で、より重点的に取り組むべき項目に重みづけをしてスコアリングできるようになっています。このスコアを基に、重要項目で抜けている部分がないか等、アラート的な意味合いでも活用しています。この3点を軸にすることで、統合マーケティングを広告主様と同じ目線で推進していくことができるようになります。

 

 

「3つのフェーズ」×「5C」で、全ての広告主に対応可能

―5Cモデルはどのような広告主に有益なのでしょうか

松浦氏:結論から言うと全ての広告主様に対して活用していただけます。やはりフェーズを分けているというのは大きなポイントで、まずはオンオフ両チャネルへの配信にチャレンジしたいという広告主様にも、より高度な予算配分やコミュニケーション融合に取り組みたいという広告主様にも対応できる枠組みになっています。

オンオフ統合は、特定のツールを入れることが本質ではありません。5Cモデルは実践型のフレームワークになっているので、フェーズごとに5つのCが達成されているかをチェックしつつ、次にやるべきことをどのフェーズの広告主様とも話を進められる点が強みです。

 

 

「最も需要に応えられる代理店でありたい」から始まった5Cモデル

―5Cモデルを作るまでの背景はどのようなものだったのでしょうか

神蔵氏:広告主様の需要に最も応えられる代理店でありたいというのがそもそもの根底にありました。電通との協業から4年ほど経つ中で、広告主様から求められることや課題は日々変化していると感じています。その中でいかに要望に応えつつ、一緒に成長していくかを考えたときに、オンオフ統合は目を背けられないキーワードでした。ただ、これまで実を結ばなかった事例もあったので、より当社の価値を発揮して広告主様に貢献できる部分を強くしていきたいという思いがありました。

また、実践的に統合マーケティングを実行できるパートナーとして、広告主様には最初に「電通×セプテーニ」を思い浮かべてほしいという気持ちもありました。5Cモデルという分かりやすいモデルを作ることで、セプテーニなら成果を出してくれそうだというイメージを持ってもらえれば嬉しい限りです。

 

甲斐氏:いまの話を背景に、統合マーケティングのニュースタンダードを作るというスローガンを立てていました。当初はソリューション開発を始めとした実行ケーパビリティづくりを中心とした戦略を練っていたのですが、俯瞰して自分たちの活動を考えたときに、もう少し大きな枠組みからサービスを提供していくことが重要という結論に達しました。そこから事例の分析を始め、最終的に5Cモデルというフレームワークづくりを起点とすることに至りました。

 

松浦氏:広告主様側から見たときに「分かりやすい」というのは大きなポイントだと思っています。「オンオフ統合をサポートします」と言っても、いったい何をしてくれるのかは、広告主様の中でもイメージが湧きにくいのではないかと常々感じていました。その複雑な領域をモデル化して言語化することで、少しでも分かりやすく伝えたいと思った結果の1つとしてこの5Cモデルという形に行きついたのだと思います。

 

 

―この分野におけるセプテーニの実行力についてお聞かせください

甲斐氏:この領域には多くのリソースをかけており、広告主様との取り組みとしても以前にExchangeWireに記事としてご紹介させていただいた事例があります。

 

 

また、統合マーケティングを進める中で必要な実行力を引き上げるため、シーンに合わせてどのソリューションを使うことが効果の最大化に繋がるかを想定した開発・外部調達をしています。

フルファネルで取り組む中で、「プランニングの際にはこれが必要」、「ユーザー獲得の際はこのデータの突合が必須」、「CRM活動で分析しなくてはならない指標はこれ」といったことを踏まえて、様々なシーンでソリューションを複合的に組み合わせることで、最終的には実行力の引き上げに繋がっていると感じています。広告主様にはその辺りに期待をかけていただければ幸いです。

 

セプテーニへのお問い合わせはこちら

https://ln.septeni.jp/XenG7B5

ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当

立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。