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AppsFlyer、プライバシー保護を目的とした規制の影響について調査結果を発表

モバイル広告効果計測プラットフォームとマーケティングアナリティクスを提供するAppsFlyer Japan株式会社は、プライバシー保護を目的とした各種の対策や規制が与える影響についての意識調査レポート「プライバシー保護強化がデジタル広告業界に与える影響」を発表した。本レポートは、国内のデジタル広告業界関係者を対象に実施した調査の結果をまとめたもの。主な調査結果は次の通り。

 

■デジタル広告関係者の過半数がIDFA制限による悪影響を実感

ATT機能が実装されたiOS14.5のリリースから約1年が経過し、IDFAの利用制限による影響が明らかになっている。IDFAの利用制限及びATT施行が自社のマーケティング関連機能および施策に与えた影響について「多大な悪影響」または「多少の悪影響」を感じた回答者の割合は55.5%に達した。

 

■Cookie制限においてもターゲティングと計測への悪影響が目立つ

サードパーティCookieの利用制限による悪影響は、IDFAよりも広い範囲で確認されている。SafariにおけるサードパーティCookieの制限が自社のマーケティング関連機能及び施策に与えた影響について「多大な悪影響」または「多少の悪影響」を感じた回答者は62.3% に上る。その中でも「多大な悪影響」を感じた事業者の割合は、IDFA利用制限の場合よりも大きいことが明らかになった。また、2023年後半に予定されているChromeにおけるサードパーティCookieのサポートの完全廃止によって、マーケティング関連機能及び施策に何らかの悪影響を被ると予測した回答者が全体の70%を占めた。中でも「多大な悪影響」があると見込む事業者が31.3%いることが明らかになった。

 

また、「サードパーティCookie利用制限が自社のマーケティング関連機能および施策のどの領域に影響を及ぼしたか(複数回答可)」、という質問に対しては、「リターゲティング」が63.2%、「コンバージョン計測」が52.1%と半数以上の回答者に影響がみられた。有効なインプレッション計測を始めとするその他の機能や施策についても、IDFAとサードパーティCookieの利用制限では同様の影響があったことが伺える。

 

■パブリッシャーはIDFA制限による収益減及び投資減少を確実視

IDFAの利用制限により「広告収益が減少する」と予測するパブリッシャーの割合が94.1%を占めた。また「新たなコンテンツへの投資を行うのが難しくなる」という回答は70.6%。多くのパブリッシャーが、IDFAの利用制限によって事業に多大な悪影響を受けると予測している。

 

お、サードパーティCookieの利用制限においても同様に、長期的な影響として「広告収益の減少」と予測するパブリッシャーが94.1%、「新たなコンテンツへの投資が難しくなること」を予期するパブリッシャーが70.6%を占めた。これらの結果から、パブリッシャーを取り巻く環境がいかに深刻な事態に陥っているかが伺える。

 

■広告主の6割以上がモバイル広告予算またはウェブ広告予算の配分を見直し

IDFAの利用制限が課されてから約一年という、その影響の度合いが十分に把握できていない現時点において、33.1%の広告主または広告代理店がモバイル広告に関連した予算配分の変更を実施していることが明らかになった。またこの制限を機に、モバイル広告だけに限らず、それ以外のチャネルを含めた予算配分の見直しを行った事業者が34.6%いることも注目に値する。

 

なお、サードパーティCookie利用制限に伴うウェブ広告関連の予算配分の見直しを行った事業者も33.1%存在する。またSafari上でのサードパーティCookieを通じたサイトトラッキング抑止機能であるITP(Intelligent Tracking Prevention)が施行されてから既に一定期間が経過したものの、「何も対策を実施していない」事業者が39.8%いることも明らかになった。

 

■プライバシーに配慮した計測環境の整備が急務

業種を問わず、IDFAやサードパーティCookieの利用制限による悪影響が確認されている。このような新たな環境下では、ユーザーのプライバシーに十分に配慮した上で、以前と同じように正確にコンバージョン計測が行える機能が求められている。このような環境下で「どのようなアトリビューション関連ソリューションが必要か」という質問に対し、回答者の75.8%が「プライバシーに配慮したうえで、引き続き正確な計測が行えるような機能」と答えたことからも、その需要の高さが分かる。また、IDFAに依存せずリターゲティングに活用できるデータの抽出方法についても回答者の56.1%が高い関心を寄せていることが調査結果から明らかになった。

 

また、IDFAやサードパーティCookieの代替手段として、IPアドレスを始めとする確率論的(プロバブリスティック)データをより積極的に活用するようになった回答者の割合が全体の40.1%を占めた。プライバシー保護の強化が確実視されている現在の環境下では、この割合はさらに増大することが見込まれる。

 

■確率論的データの有効性を一定度まで評価

IDFAやサードパーティCookieの利用制限が課されたことで、IPアドレスやユーザーエージェントといったその他の情報に基づきユーザーを推定する手法に新たな注目が集まっている。確率論的データと総称されるこうしたその他のデータが「ある程度まで有効である」または「非常に限定的に有効である」と回答したのは、ターゲティングにおいては92%、アトリビューション計測においては89.6%に上った。

 

AppsFlyer Japan株式会社のカントリーマネージャーを務める杉原眼太は次の通り述べている。「特定型データが取得できない状況下では、推定型とも呼ばれる確率論的データの重要性が増します。端末に関する一時的な設定値を通じてユーザーを推定するこの手法は、機械学習を最大限に活用することで、ユーザーのプライバシーを侵害せずに、広告キャンペーンの効果に関する計測などを行うことが可能です。ただし、IDFAやサードパーティCookieを通じた計測と比較して、技術的難度が高いという課題があります。しかし、技術の進化により、現在では特定型データと先進的な技術に基づく確率論的データの精度にほとんど違いはなくなりました。ユーザーのプライバシー保護の必要性が高まった現代においては、安全かつ安心であることに加えて、正確でもある確率論的データをいかに取得し、活用していくかがデジタルマーケティングの成否を分けます。一方で、技術的な課題などもあることから、安全かつ安心で正確な確率論的データを保有するプラットフォームや事業者は決して多くありません。デジタル広告業界関係者にとっては、この分野において信頼できるパートナーを見つけ出すことが課題となっていくでしょう」。

 

本レポートは、こちらから確認できます。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。