ナショナルクライアントが、デジタルエージェンシーを一社にした理由とその成果とは?! [インタビュー]
by ニュース
on 2022年6月16日 in「お口の恋人」のキャッチフレーズを誰もが知る大手お菓子メーカーのロッテ。そのブランドは数多くにわたり、我々の生活に日常的に溶け込んでいる。
同社では昨年、これら数多くあるブランドごとのデジタル広告運用を、一社集約化することで効率化を目指し、そのパートナーとしてセプテーニを選んだ。
パートナーの一本化によるこれまでの成果や今後の新たな取り組みについて、株式会社ロッテ マーケティング本部 情報クリエイティブ部 宣伝企画課 古野 小百合氏、Septeni Japan株式会社 パフォーマンスグロース本部 第二部 チーフパフォーマンスリード 一柳 俊輔氏にお話を伺った。
(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)
(ライター:同 渡辺 龍)
(Sponsored by Septeni Japan)
代理店の一社化で横並びの検証が可能に
―自己紹介をお願いします
古野氏:株式会社ロッテの古野 小百合です。当社のマーケティング本部には情報クリエイティブ部という部署があり、デザインや宣伝を総合したコミュニケーションを担当するセクションになっています。その部内にある宣伝企画課で、ブランド戦略に基づいた広告の企画制作やメディアのプランニング、バイイングをトータルで担当しています。
一柳氏:Septeni Japan株式会社の一柳 俊輔です。私はパフォーマンスグロース本部という部門に所属しており、チーフパフォーマンスリードというプレイヤーのエキスパート職として、主に大手クライアント様を担当しています。デジタルプロモーション全般の支援ということで、主な業務として運用の体制構築や進行管理、パフォーマンスの管理を担っています。
―どういった経緯で代理店を一社にすることにしたのでしょうか
古野氏:元々当社はAE担当制で、代理店さんごとにブランドを預けて、広告の企画制作からメディアのプランニング、バイイングまでお願いしていました。また、外部からデジタルアドバイザーを呼んでいた時期もあったのですが、ここ数年はリソースの問題もあり、企画制作担当者がプランニングから検証までをAE代理店さんと行っていました。そんな中で課題も浮き彫りになっていき、例えば各AEさんによってデジタルメディアのリテラシーの差を感じる場面が多々ありました。また検証時も、1キャンペーンや1ブランドごとのミクロな視点で見がちになってしまい、ロッテのデジタルメディア全体としての検証が足りていなかったという側面もありました。そのようなこともあり、代理店を一社化して効率化と標準化を図る方向へ舵を切りました。
―具体的な成果についてお聞かせください
古野氏:横並びでの検証ができてきているのが一番大きな成果です。また、デジタルメディアをセプテーニさんに一括でお願いしていることで、運用も効率的になり、検証のスピード感も上がりました。前回の数字や、他のブランドキャンペーンの数字も見ながらプランニングしていただいているので、多角的な側面から設計、検証まで可能になったのも新たに得られた成果の1つです。
一柳氏:ロッテ様で考えられていた課題が複雑で、様々な要素が絡んでいたので、当社側でポイントを絞って、まずそこを整理する必要がありました。その上で、レポートフォーマットや、代理店に依頼をする際のオリエンシートの統一化を図りました。また、前回のキャンペーンと比較する際、数字をすぐ参考にできるように、過去数年分のレポートを一元管理し、過去実績を蓄積していった点なども成果に繋がったのではないかと思います。併せて、定期的な勉強会も実施しております。
―勉強会ではどのようなことをされましたか
一柳氏:内容はロッテ様とお話をする中で、優先度の高いものから行っています。これまで計5回実施しており、初回に「デジタル広告とは」といった教科書的なお話をしたのを皮切りに、YouTubeやLINE、Twitterなどの主要媒体に関しての勉強会を開催しました。また、当社が行っているセミナーはもちろんのこと、媒体側が定期的に行っているセミナーへのご招待もさせていただいております。
―セプテーニさんと取り組まれた実績を受けてどのように感じていますか
古野氏:今まではAE代理店さんだけで完結していたのですが、現在は制作担当者が内容を理解した上でセプテーニさんに課題と目的を伝えて、プランニングまで入り込むことになりました。そのぶん担当者には負荷をかけたと思いますが、それらの経験は確実に身になっており、社内でもリテラシーが上がりレベルアップに繋がっているのを実感しています。普段のコミュニケーションの中でも、「前回このブランドでこうだったから次はこうしよう」といったことをお互いにアドバイスし合う場面も見受けられ、やり取りが以前より活発になりました。
一柳氏:ロッテ様との取り組みはまだ1年弱ですので、今年達成できなかったこともあります。この1年は準備期間ということでやっとベースが整ってきたところなので、来期はさらに新しい取り組みを進めていきたいと思います。
異なる企業文化をすり合わせ配信事故撲滅へ
―業務を行っていく中で、意識されたことは何でしょうか
古野氏:コミュニケーションを密に図ることは意識していました。ロッテの文化とセプテーニさんの文化が異なっている部分が大きいのですが、同じ言葉を使っていてもその解釈に違いがあり、当初は伝えたいことが伝わっていなかったという場面もありました。それからは、メールや電話でのまめな連絡は欠かさないように努めていました。
というのも、以前当社では配信事故がまれに起きていました。その頃はAE代理店の営業さんと向き合っていたのですが、その先には社内のメディア担当の方がいます。さらにその先にメディアパートナーがいるといった枠組みだったので、体制が複雑で、連絡ミスにより想定していたメニューで運用されていなかったこともあります。経由する人間が多くなるほど連絡漏れが起きる可能性も高くなるので、その点は課題に感じていました。
一柳氏:配信事故の撲滅はロッテ様の大きな課題だったので、当社としても特に重点的に取り組んだ部分です。例えば、マス広告を実施されているロッテ様は朝4時に合わせた情報解禁が珍しくないのですが、当社ではあまり馴染みのないことで、「4時」と言われると夕方の4時と捉えてしまうことが多いです。そういったことを踏まえ、デジタル畑の当社とマスのご経験が多いロッテ様の慣習の違いをすり合わせながら、言葉の定義については基本的な部分から非常に細かく詰めていきました。
また、そのほかの案件でももちろんですが、打ち合わせの中で当然表には出せない情報も多く出てくるので、その取り扱いには留意していました。それに伴い、当社内であっても限られたチームメンバー以外はロッテ様の情報に触れないよう、Slackやデータを格納するクラウドも認証制に移行するなど細心の注意を払っていました。
古野氏:少し別の切り口になりますが、セプテーニさんに限らず全てのお取引先は、お取引相手である前に身近なロッテの商品のお客様の1人であるという話も、日頃から当社メンバーにはしていました。
一柳氏:こういった仕事をしていると発注側と受注側という立場に分かれてしまうことも少なくないですが、お客様でもあるという意識でお付き合いいただけたからこそ、パートナーである私たちにもとても丁寧にやりとりをしてくださいました。そういった企業様のプロモーションに携わることができているのが嬉しい限りです。
テレビデバイスを含む新たな面の開拓へ
―今後のお取り組みについてお聞かせください
古野氏:当社で顧客データベースの構築ができていますので、今後それを広告配信に有効活用していきたいと考えており、既にセプテーニさんにもご相談をしています。当社サイトにアクセスしていただいている方の情報や、オンラインショップで商品をお買い求めいただいた方など、その辺りのデータベースをうまく連携しながら、まずはロッテファンの方たちに情報が届くようにと検討しています。
一柳氏:これまでの業務を通じてようやく土台が整ってきたので、次のステップへ進む段階だと思っています。データ連携の部分はもちろん、CMプロモーションに関して、デジタルとマスの効果が最も発揮されるプランニングを行っていきます。そのためにCM素材とマッチするような配信面の開拓は必要不可欠です。例えば、昨今はテレビデバイスでYouTubeを見るユーザーも多いので、そこにCMを流すことで、地上波でテレビを視聴しているときと同様にYouTubeの視聴者層へCMを届けることができます。そういったテレビデバイスへの広告配信や、YouTubeに限らずTVerをはじめとしたキャッチアップ系と言われる面への広告配信は重要視しています。また、リーチを広げるため現在ロッテ様が取り組まれていない広告面に対しても積極的に広告展開をしていく予定です。
セプテーニへのお問い合わせはこちら
ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当
立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。