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Teadsがイケア・ジャパンとのCookieless実証実験の結果を発表[ニュース]

著名ゲストが多数登壇

 

グローバルメディアプラットフォームであるTeadsは、5月31日、東京の六本木で開催されたAdvertising Week Asia 2022にて、「イケア・ジャパンのCookieless時代でのアプローチとは?」と題したパネルディスカッションを実施した。

 

リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド形式での開催となった本イベントには、キーノートスピーカーとしてミュージシャンのAI、俳優の別所哲也氏、ロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリストの村田諒太選手などが登壇。3日間にわたる同イベントの初日を飾った。

 

日本国内のトラフィックの半数にはCookieが使えない

 

Teadsによるパネルディスカッションでは、日本市場のSales Account Executiveを務めるボルワニ・ラヴィン氏が進行を担当。冒頭では同社プラットフォームの特性として、①プレミアム在庫でありながらリーチを確保、②クリエイティブ制作ツールを提供、③Cookielessに対応したデータ環境を整備、④KPIに合わせたフルファネルでのメディアソリューションを完備、などを挙げた。とりわけ同社が開発したコンテクスチュアル・ターゲティングやファーストパーティデータの有効活用を可能にする技術は、サードパーティCookieの利用制限が強化された環境下においてより大きな強みになるとの見方を示した。

 

さらには主要ブラウザの一つであるSafari上でのトラッキング防止機能(ITP)などを要因として、既に日本国内のトラフィックの55%にはCookieを通じたターゲティングができなくなっている状況にあることを指摘。Cookielessターゲティングの必要性が高まっているとの現状を伝えた。

 

イケア・ジャパン株式会社のCountry Marketing Managerであるシンハ・ムリナル氏は、多様な消費者がいる中で、それぞれの消費者の関心に沿ったソリューションやコンテンツを提供することは必須であると強調。Cookieless環境下でターゲティング精度が低下すれば、消費者との関係性を構築する上で大きな障害になると述べた。そしてEU一般データ保護規則(GDPR)が施行されて以降、プライバシー保護の流れはやがて世界中に波及すると見込んで、早期から代替ソリューションの模索を始めたと振り返った。

 

MediaCom JapanのManaging Directorであるシュウ・ウェンディ氏は、これまでオンライン広告業界がCookieに依存し過ぎていたきらいがあり、消費者の反感を買ってしまった可能性があると述懐。この状況を正す良い機会であると述べた。

 

実証実験の結果とは

 

パネルディスカッションの終盤では、Teadsとイケア・ジャパンが実施した実証実験の結果を公開。第1段階として、①Cookieベースのターゲティング、②コンテクスチュアル・ターゲティング、③独自のCookielessターゲティングによる広告配信を実施したところ、②と③が、コスト、ビュースルーレート、ビューアビリティのすべてにおいて①を上回ったと報告した。さらにはCookielessターゲティングにおいてはCookieデータを用いないため費用が比較的安く、またCookieベースではリーチし得ないユーザーにアクセスできたなどの効果も確認できたという。

 

イケア・ジャパンのシンハ氏は、今後もCookieに限らず、様々なデータ利用規制が強化される可能性について言及。ただし、消費者に対してデータ共有の可否に関わる選択権が与えられるのであれば、代替ソリューション開発の余地はあるとの考えを示した。

 

またMediaComのシュウ氏は、ターゲティングだけでなく、効果測定や広告クリエイティブの最適化といった領域においても、Cookieの代替ソリューションが求められていると指摘。インターネット利用に際して生じる様々なシグナルの中で、何が有効活用できるかについての研究は今後も続くとの見通しを伝えた。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。