KINTO・TVer・セプテーニに聞く、動画広告におけるTVerの位置付けと役割[インタビュー]
動画広告市場が拡大を続けており、広告主にとっての媒体の選択肢も増えつつある。近年はそのなかでも、OTT媒体が提供する動画広告への需要がますます高まっている。OTT媒体において、特に注目を集めているTVer広告であるが、今業界では動画広告媒体の中でTVer広告をどのように位置づけ、どのように活用しているのか。
直近でテレビCMと動画広告を活用したプロモーションを実施した、トヨタ自動車グループでクルマのサブスクリプションサービスを展開する株式会社KINTO マーケティング企画部 小池 瑛之氏、民放公式テレビ配信サービスTVerを運営する株式会社TVer 広告営業部 伊藤有弥氏、および今回電通とともにTVerを活用してKINTOのプロモーションを支援した、Septeni Japan株式会社 パフォーマンスグロース本部 中島彩也香氏に、お話を伺った。
(Sponsored by Septeni Japan)
特色のある媒体特性
―動画広告におけるTVerの位置づけについて、小池さんはどのようにご認識されていますか
小池氏:TVerはサービス特性が非常に面白いと感じております。広告をスキップする機能がないことから、動画広告の完全視聴率が非常に高くなる傾向があります。ユーザーが全てをしっかり見てくれるといった面があり、サービスを理解していただきやすいので、当社ではよく出稿しています。
―貴社では動画広告媒体ごとに目的を分けて使うこともありますか
小池氏:はい、出稿目的に応じて動画広告媒体を使い分けています。また、クリエイティブも目的に応じて使い分けしており、例えばYouTubeへの出稿時にはYouTube用の動画素材を活用しており、TVerではTVer用といった形でやっています。
―直近で実施されたプロモーションにおいては、TVer向けにより理解を深めるための長尺のクリエイティブを作られたそうですが、これはまさに他媒体とのクリエイティブとの使い分けということでしょうか。
小池氏:そうなります。スキップ機能がないといった点や長尺にできるということを生かしTVer向けのクリエイティブを考えました。このように、TVerやABEMA、YouTube、TikTokなどそれぞれ媒体特性が違うと認識しているので、パターンを複数用意しながら各媒体にフィットする素材を作っています。
―動画広告におけるTVerの位置づけについて、中島さんはどのようにご認識されていますか?
中島氏:TVerはユーザー数の伸びが近年目覚ましく、ユーザー数の増加に伴って広告の視聴数・表示回数も増えているので、私たちも非常に注目している媒体です。また、小池さんがおっしゃるとおり、ユーザーの視聴態度が能動的でありしっかりコンテンツを見ようとしているため、その間に流れるCMも完視聴されやすいと認識しております。したがってTVerは、企業の商材への利用意向や興味関心を高めていくことを目的とした場合に非常に有効な媒体だと思っております。
―伊藤さんはいかがでしょうか
伊藤氏:まず、お二人がTVer広告の特徴を正確に捉えてくださり、詳細をご存じだという点が非常に嬉しいです。TVer広告を本格的にリリースしたのは2021年4月ですので、実はまだ1年ほどしか経っておりません。乱立する動画配信プラットフォームの中でTVerはそもそも有料サブスクサービスですか?と誤認されることもまだまだありますが、その中でリリース間もないタイミングから且つ継続的にTVer広告を活用いただいていることに感謝いたします。
TVer広告の特徴に関しては、お二人がおっしゃった通り、視聴態度や完視聴率といった点はTVer広告の特徴として重要なポイントです。
手前味噌で恐縮ですが、まだ他にも沢山良い特徴があり、例えばブランドセーフティの面です。昨今、ファスト映画などの違法動画でUGCの投稿者が逮捕される事案が増え、世の中に広告主様の広告掲載面として懸念されるコンテンツが少なからずあります。ただTVerの場合は、違法動画は無く、権利処理が整備されたテレビ局が制作するコンテンツ群ですので、広告掲載における抜群の安心安全面が強みと自負しており、広告主様や広告会社様からご評価いただいているポイントです。
動画広告キャンペーンで求められた、広告会社の役割
―直近で実施されたプロモーションにおいて、電通・セプテーニの協業チームに任せて良かったと感じておられる点についてお聞かせください
小池氏:良かったと感じていることは2点あります。1点目はクリエイティブです。電通さん、セプテーニさん両社ともクリエイティブに関して非常に強いプロ意識を持っており、何のためにこれをやるのかが明確になった上で提案をいただいたので、納得のいくクリエイティブが作れました。2点目がBLS(Brand Lift Survey)に関係する業務で、セプテーニさんにはデータの整形に多くのリソースを割いていただき、私たちの作業を支援いただきました。このため、非常にスムーズに次のアクションに繋げることが出来ました。
―電通・セプテーニのチーム内での役割分担はどのようになっているのでしょうか
中島氏:もともと電通社がKINTO様とテレビCMをはじめ多くの部分で深い取り組みをしており、その中で今回セプテーニを紹介いただきました。今回のプロモーションでは、電通社が全体統括およびテレビCMを手掛け、デジタル広告はセプテーニが中心となり電通社と一緒に取り組んだという形です。
―TVerは媒体社として、色々な広告会社と取引されていると思いますが、今回の電通・セプテーニチームと一緒に取り組みをされて良かったと思われる点についてお聞かせください
伊藤氏:私は放送局で10年ほどテレビ広告の営業業務に従事してきました。昨年2月に希望が叶いテレビ東京からTVerに出向していますが、現在所属しているTVerの営業チームは本来競合社である各放送局から1人ずつ集まって結成されたチームです。特に私はインターネット広告や動画広告の領域においてまだまだ勉強中な部分があります。
その中で、TVer広告創設期にこの業界をリードし、前線でご活躍されている、電通様・セプテーニ様チームに専門的な知見や文化など色々とご教示いただきながら一緒にリレーションしてきたこと自体が非常に貴重なリソースとなりました。私たちだけでは知り得ない動画広告媒体としてのポジショニングを客観的にお聞きすることで改めて自社商品の現況を多面的に捉えることができています。
我々TVerも開放性や柔軟性を持って一緒に学んでグロースする意思がありました。2社には一緒にTVer広告自体を作っていき、商品を育ててもらっている印象で、我々としても非常にありがたかったです。
セプテーニがTVerに注力する理由とTVer活用で活かせる強み
―セプテーニとしてTVerに注力しているという話を伺っていますが、その理由についてお聞かせください
中島氏:大きな理由としては、ユーザー数が伸びているという点がひとつ。もうひとつが市場としても動画広告の注目度が高まっており、コロナ禍という状況もあり、よりコネクテッドTVや見逃し配信などのニーズが高まってきている点です。また、ユーザーの視聴態度の観点からもメディアとしての強みを感じているので、当社としてもそこを活かせるように注力しています。
―動画広告のプロモーションにおけるセプテーニらしさや強みはどのようなところにありますか
中島氏:セプテーニはデジタル広告をメインに手がけていますが、今回のプロモーションは電通グループとして取り組んだことで、電通社側の統合マーケティング知見と当社のデジタル広告の知見をミックスさせることができました。このように、テレビCMとデジタル広告両方の視点を踏まえ、その間のポジションにあるTVerではどのようにできるかを提案できることが強みだと思っています。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。