×

「顧客の体験価値をいかに高めるか」オラクルが説明会を開催

日本オラクル株式会社は2月8日、アフターサービスにおけるDXをテーマとした説明会を開催した。

 

顧客体験にどう向き合うか

冒頭、同社執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部 桑野祐一郎氏(写真右)がアフターサービスにおけるトランスフォーメーションの概況を説明した。

 

コロナ禍以降、サブスクリプション型のビジネスが増加しており、「所有する」から「利用する」に顧客意識は変化している。それに伴い、ビジネスでの顧客体験にも大きな変化が現れている。今後は一様なサービスではなく、それぞれの顧客にパーソナライズされたアフターサービスが必須であるとの見解を示した。

 

また、Gartnerの調査によると、全ての顧客とのやりとりのうち、サポートに関するものが85%を占めてくるとのこと。今後のCX領域の期待値は非常に高く、サービス提供を収益源として確立していく必要があるとした。この点に関連して桑野氏は、製品やサービスはコモディティ化していくことが避けられないとし、「パーソナライゼーション」、「サービスの多様化」、「as a serviceモデル」の3つのキーワードを用いてCX領域での差別化の重要性を述べた。

 

まずは、顧客の意図を汲み取り、適切なサービスを適切なタイミングで当てていくという「パーソナライゼーション」。次に「サービスの多様化」で、顧客ニーズの細分化に対応していく。顧客の選択肢が増えると、企業側の管理は煩雑になる。しかし、選択肢の多様化は他社との競争優位性に繋がるとした。最後に、「as a serviceモデル」として、通常のサービスからサブスクリプション型サービスへの移行を挙げた。サブスクリプション化により収益が予測しやすくなる中で、この分野は今後のテーマの1つであるとの見解を示した。

 

オラクルが提供する6つのソリューションフレームワーク

これらの現状を踏まえ、オラクルはCX領域でどういったソリューションを提供しているのか。後半では、同社理事 クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング本部 本部⾧ 竹内尚志氏(写真左)より、オラクルの6つのコアコンポーネントとその重要性が示された。

資料提供: 日本オラクル株式会社

 

①サービス・リクエストおよびケース管理

受付から顧客とのやりとり、ケースの管理、エンジニアの派遣を含むサービス・リクエストの管理を手掛ける。また、今後はIoTセンサーや5Gにより、顧客に提供しているハードウェアからの情報取得が加速していくことが予想される。オラクルではPaaSでIoTをサポートするソリューションもセットの中に組み込んでいる。

 

②契約・保証・サブスクリプションの管理

契約内容の管理のみならずプロモーションに繋がるマーケティングとの連動、契約更新のタイミングでの案内、上のグレードへのサービス変更の案内などを支援。AIや機械学習で分析の上で顧客に合わせて自動的にオファーも行う。

 

③フィールドサービス計画と実行管理

実際に現地で修理を行う際の領域になる。トラブルのタイプや顧客の住所から、「どのチームが派遣されるべきか」、「どういったルートで回るのが最も効率的であるか」といった支援を行いながら、フィールドサービスの効率化に繋げていく。

 

④サービス在庫・物流管理

受付、診断のもとに在庫の管理から発注を支援する。パーツのリクエストや返品手続きの管理のみならず、サービスエンジニアの訪問日程とも連動しながら、パーツが必要な日時の管理など、包括的なソリューションを提供する。

 

⑤デジタル・プロモーションおよび注文管理

アフターサービスの収益化を目的とし、顧客の利用状況や、行動履歴から適切なオファーを提供していく。Webページでは画一的な情報が提示されるのではなく、パーソナライズされた情報を顧客に合わせた一貫性のあるメッセージで出していくこととなる。「顧客の属性に合わせてどのようなオファーを出すのが最適なのか」、この部分をサードパーティを使わず自社で実現していくためにはCDPが不可欠である。

 

⑥請求と入金の管理

サービス自体の料金から、パーツの費用や手数料、そういったアフターサービスに伴う様々な費用を集計し、顧客に紐付けての管理・請求をサポートする。保証範囲の確認と特定も行い、無償対応、有償対応を相殺しながら顧客にわかりやすく請求をしていく。

 

多様な領域を1ベンダーで提供出来ることが鍵

また、製品導入事例として、カナダの土壌掘削会社Badger Daylightingが紹介された。コスト削減や業務効率の向上、バックオフィス業務など多様な領域でのデータ統合が必要だったという同社。競合他社もいた中で、これらの領域を統合的に1ベンダーで提供できるという部分が大きな要素だったとしてオラクルの採用に至った。竹内氏は「インサイトを取得する際、様々なベンダーが入っていると、データをシームレスに分析することが難しい。大事な部分がシングルデータソースで繋がっているということが評価されての実装になった」と述べた。

 

続けて、「オラクルは「全てを統合する」といったビジョンを掲げている。同時に、現在稼働しているシステムや業務プロセスを維持していく必要性があることも認識している。統一化されたプラットフォームによって、管理すべきベンダーが少なくなり、IT組織の効率化にも繋がるが、それを一気通貫で入れ替えることは現実的には難しい。オラクルは全てを入れ替えるという話ではなく、現在のシステムを残しつつ、重要な部分から段階的に入れ替えていくことが可能となっている。PaaSもSaaSも全てOracle Cloud Infrastructureの上で動いており、お客様のデータ量が増えていった際も、柔軟に対応できるスケーラビリティがある」と強調した。

ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当

立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。