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ブロックチェーンゲームの進化:シュラプネルのドン・ノーバリー氏に聞く

2021年11月、1050万ドル(約12億円)の資金調達ラウンドを実施したシュラプネル(Shrapnel)。同社のスタジオ責任者であるドン・ノーバリー氏にインタビューを行い、ゲーム開発企業としてこの資金をどう使うのか、ブロックチェーンゲームがどう進化していくかについて話を聞いた。

 

今回の調達資金は、シュラプネルの開発にどのように使われるのでしょうか。ブロックチェーン対応のゲームタイトルの制作および開発サイクルは、従来のゲームとどう違いますか?

 

グリフィン・ゲーミング・パートナーズポリチェイン・キャピタルフォルテといったトップクラスの投資会社から1050万ドルを調達したばかりで、彼らは当社のチームに技術サポートも提供してくれています。この資金を利用して、シュラプネルが、いわゆるAAA(大作)ゲームを再創造できるよう、チーム編成や技術開発の遂行に注力する計画です。当社の主な目標は、可能な限り最高のユーザー体験を提供することと、多様なプレイヤーのニーズに合わせた多彩なエンゲージメントを保証することです。チームは豊富な経験を持つ素晴らしい人材で構成されており、今後数カ月でこのチームをさらに成長させることを目指しています。

 

ブロックチェーンゲームの制作および開発サイクルが、他と大きく異なるのは、アセット開発やNFT取引に関する投票機能を特徴とする、コミュニティへのはるかに多くの関与がある点でしょう。当社は、コミュニティが開発プロセスに大きな役割を担うことにコミットしており、ゲームが完成したときも従来型の大々的なリリースを行うのではなく、コミュニティがクリエイティブチームと議論し、その発表に貢献できるよう尽力しています。従来のAAAゲームの発表ロードマップを一新したいのです。

 

 

暗号ベースの資産は、プレイヤーのゲームプレイやユーザー体験をどのように変化させるのでしょうか。そうした資産が提供する、従来のゲームでは提供できない新たな機能とは何でしょうか?

 

ブロックチェーンや暗号ベースの資産は、ユーザーが獲得した資産や資本をゲーム外にも解き放つことを可能にするため、ゲーム業界を変革するポテンシャルを秘めているといえます。従来、プレイヤーはゲームの外で、フォーラムやソーシャルメディアを通じて現実世界のお金をやり取りすることが多く、ゲームの価値を損ねていました。シュラプネルでは、ゲーマーのために現実の世界を再創造したいと考えています。

シュラプネル スタジオ責任者、ドン・ノーバリー氏

 

従来のゲームと同じように、アップグレードやバイイン(参加料)する方法もあります。しかし、暗号ベースの資産は、プレイヤーのゲーム内体験に価値を加えるだけでなく、NFTを通じて急成長するクリエイター経済を活性化させ、これまでのゲーム業界では見られなかった、より永続性のある真の所有感を実現します。これは、ゲーマーとクリエイターにとって新たな可能性を開くものであり、すぐに受け入れられる注目すべき開発だと考えています。

 

シュラプネルは、他のブロックチェーン対応タイトルや、従来のAAAシューティングゲームとどう違うのでしょうか?

シュラプネルは、プレイヤーが好きなようにゲームを改変したり、形を変えたりすることができる、エクストラクションスタイルのゲームになります。過去のゲームを振り返ると、改変(MOD)は一貫して極めて人気が高いものであり、当社はこのアイデアを現代化し、新しく改良された方法で復活させたいと考えました。シュラプネルでは、パッチやNFTの作成など、ユーザーが自分だけのバージョンを創作することを可能にする開発に注力しています。これは、他の追随を許さないユーザー体験という当社の目標に基づくもので、プレイヤーがシュラプネルに参加した際、さまざまなスタイルのエンゲージメントが生み出されることになるでしょう。

 

他のブロックチェーンゲームとは異なり、シュラプネルは、プレイヤーが暗号資産やブロックチェーン空間について深く理解していなくても楽しめるようにします。暗号資産ウォレットなど、プレイヤーが抱く懸念を取り除くため、ブロックチェーンインフラに全力で取り組んでいます。この分野における他のゲームメーカーはたいてい、ブロックチェーン技術そのものではなく、NFTに注力しています。それを変えるのが当社の存在意義であり、そうすることでプレイヤーにより多くの楽しみを生み出し、同業他社のような間接的なファネルではなく、自立したエコシステムを創造したいのです。

 

ゲーム業界や他の分野で、ブロックチェーンを利用したテクノロジーはどんな課題に直面していますか。開発者たちは、どのようにして暗号資産エコノミーをサステナブルなものにできるのでしょうか?

 

現時点で最大級の課題は、ブロックチェーンと暗号資産の世界に対する理解不足です。ブロックチェーンを広く普及させるためには、ブロックチェーンが提供するものをより深く理解する必要があり、そうすれば不安は解消されるでしょう。ブロックチェーンゲームについては、まだ初期段階なので、当然ながら学習曲線が存在します。こうした課題に取り組むため、戦略的パートナーやフォルテのような投資家を通じて、コンプライアンスや暗号資産ウォレットの設定など、ゲーマーによっては理解しにくいかもしれない部分を解消していきます。ブロックチェーン分野への関心は世界中に広がりつつあり、特に過去1年は拍車がかかりました。シュラプネルは、すべてのプレイヤーとエコシステム参加者に暗号資産の学習機会を提供することにより、これを基盤にしてブロックチェーンゲームを発展させていくことを目指しています。

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS

2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。