2022年予測:メディアバイイングとブランドマーケティング
by ExchangeWire.com / Supported by CARTA HOLDINGS on 2022年1月07日 in ニュース
ExchangeWireによる2022年予測シリーズの第1回では、メディアおよびマーケティングの業界関係者に、メディアバイイングとブランドマーケティングの状況が、今後1年間でどのように変化するかについて予測を語ってもらった。
アテンションが主流に
2022年は、広告業界でアテンションエコノミーが主流となる年になるでしょう。
アテンションは価値のある指標かどうか、また既存の広告エコシステムにとってどんな価値があるのかを検証し、一般化するために、長年、重要な研究と基礎作業が行われてきました。よって2022年は、アテンションに基づく指標が広く業界で受け入れられるようになるでしょう。
広告主とパブリッシャーは、2021年の多くの時間を費やして、アテンションデータを積極的に調査し、2022年の計画に統合してきました。今後、プランニング、バイイング、測定等のソリューションが次々発表されるでしょう。
マーケターは警戒することも必要です。近い将来、業界は多様なアテンション指標を売り込むベンダーであふれかえることでしょう。
しかし、適切なアテンション指標と不適切なアテンション指標の違いをどうやって見分けるのか? 当然の話ですが、広告に対する人のアテンションを測定する最良の方法は、実際の人のアテンションを追跡することです。したがって、もし実際の人間の視線を測定に用いていないベンダー企業があるなら、それは避けるべきです。何であれ、新しい測定カテゴリーを開発するには、手間のかかる研究と厳密なアプローチ、強力なソートリーダーが必要です。手っ取り早く解決する方法はありません。
アンプリファイド・インテリジェンス 創業者兼CEO、カレン・ネルソンフィールド(Karen Nelson-Field)教授
ファーストパーティデータとクリエイティブの覚醒
2021年、私たちは覚醒を目のあたりにしました。Cookieレスな未来に向けて、ファーストパーティデータの真の価値が高まっています。
ブランドはすでに、ファーストパーティデータを用いてユーザープロファイルやオーディエンスリストを構築し、ターゲティング、デジタルアクティベーション、最適化といった目的に活用しています。
実際、2022年に成功するブランドは、顧客インサイトを解き明かし、データをアクティベートし、強力なクリエイティブを活用し、統合されたメディアチャネルを革新的かつタイムリーに利用して、ターゲットオーディエンスに的確にリーチする方法を知っている企業になるでしょう。
コンテンツの最適化は、マーケターの武器の中でも最も過小評価されているテクニックの一つですが、私はデータとクリエイティブの連携が、今後より一層深まることを確信しています。メディア、データ、クリエイティブをそれぞれ個別に最適化する現在のプロセスは、より効果的なマーケティング戦略へとブレークダウンされ、そのそれぞれがリアルタイムで相互に学習するプロセスへと変わるでしょう。
tmwi デジタルアクティベーション部門ディレクター、ジェイムズ・レオナード(James Leonard)氏
パーソナライズ広告が新たなレベルに
ユーザーIDをメディアバイイングにおける最も価値のある要素と考える、ユーザー中心の意思決定は、データプライバシーに関する規制が強化されるにつれ、アクセス可能な個人IDのプールが減少していくため、まもなく消滅することでしょう。
オーディエンスプールの縮小という課題に対処するため、業界はコンテキストとセマンティックデータに基づくソリューションの構築を急いでいますが、これらはオーディエンスインテリジェンスを欠いています。
一方、旧来のターゲティング方法を温存し、まだIDやCookieに固執したパーソナライズを実施している企業もあります。
2022年、メディアバイヤーはユーザーのプライバシーを尊重しつつ、広告主が求めるパフォーマンスに応えられる、新たなレベルの技術を採用する必要があります。ブランドやバイヤーがこの課題を克服するための最もサステナブルな選択肢の一つは、私たちの擬人化データによる広告です。これは、ユーザーを特定するために個人データに依存するのではなく、オーディエンスのインプレッション評価に基づいたインタレスト(趣味趣向)データを用いるというものです。
オグリー 北欧マネージングディレクター、ハベン・ベレケ(Habenn Bereket)氏
業界の再調整
質の高いインベントリとデータへの大転換は、今後も続くでしょう。私たちはこれまで多くの誤った未来を見てきました。大手クライアントが口先だけのサービスに支出しても、実際の顧客の購買行動には何の変化もありませんでした。
ウェブのロングテールは、何年にもわたって、制約がなくコスト効率の良いインベントリを提供し続けてきました。
環境から切り離され、サードパーティCookieを介してウェブ上でユーザーを追跡できるデータが利用できるようになったことで、このアプローチはさらに加速し、将来にわたって持続することが不可能な目標を毎年立てることになったのです。
しかし、そうした状況は次第に変わりつつあります。クライアントは、この変化の原因として、サプライパス最適化(SPO)、同意の尊重、オンラインの有害性、さらにはCO2排出量の削減を挙げることでしょう。私は、アップルやグーグルの発表にも一因があると思っています。しかし、コンテキストと環境の力、ファーストパーティデータとサードパーティデータの質、アドフラウドに対する認識の拡大、不透明で無駄の多いサプライチェーンに関する最近の衝撃的な調査、といったさまざまな要因が、広告費が投入される場に影響を与え、変化を促してきました。
質の高いインベントリが無限にあるわけではないことがわかり、CPM単価はすでに上昇しはじめています。ATT(App Tracking Transparency)とマルチミックスのアトリビューションモデリングにより、広告主の金銭感覚も変わってきました。純粋なパフォーマンスから、ブランディングとインパクトに基づく指標へと移行するにつれ、そうした傾向はますます加速するでしょう。戦略、計画、測定、最適化、パートナーシップ、キャンペーン後の分析など、すべてが重要になってきます。これを一歩後退と評する人もいますが、再調整という表現の方が適切でしょう。
ニューズUK オーディエンスおよびデータ部門責任者、ベディル・アイデミル(Bedir Aydemir)氏
パーソナライズされたエモーショナルマーケティングの台頭
私たちDanAdsによる予測は、主に以下の3つです。
- エモーショナルマーケティング。広告主は、もはや商品を覚えてもらうだけではなく、ユーザーが商品について考えるとき、商品を手に取ったとき、「エモーション」を感じてもらい、「購入者」がより親近感を抱くブランドになりたいたいと考えるようになるでしょう。2022年には、より多くのエモーショナルマーケティングが実施され、結果を測定するためのよりスマートなアドテクが登場すると確信しています。
- パーソナライズされたダイレクトマーケティング。すべての人に同じメッセージを送るような「万人向けの広告」はもはや終わりました。ブランドは、パブリッシャーのファーストパーティデータを活用して、パブリッシャーと緊密な関係にあるオーディエンスにダイレクトキャンペーンを行うようになり、地域限定と全国規模の両方でパーソナライズされたキャンペーンを実施するようになるでしょう。
- 測定。2022年中にすべては達成できないかもしれませんが、クリック数やコンバージョン数にとどまらない要素も測定されるようになり、アイフォーカスやサウンドフォーカスなどのエモーショナルな反応も測定されるようになるでしょう。私たちDanAdsが、2022年に担うべき最も重要な役割の一つは、パブリッシャーがスマートかつブランドセーフな環境でデータを収集し、パッケージ化して、販売できるよう支援することだと考えています。
DanAds 共同創業者、ペオ・ペルソン(Peo Persson)氏
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株式会社CARTA HOLDINGS
2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。