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自分を理解し、キャリアを繋げていく-第5回「MCA道場」が開催

一般社団法人マーケターキャリア協会 (MCA) は10月18日、都内にて、マーケターのキャリア育成を目的とした第2期「MCA道場」の第5回講座を開催した。
(Sponsored by MCA)

 

「自分を客観的に理解する中村式キャリアの棚卸し術」をテーマとした本講座を担当したのは、MCA理事でバリュエンスホールディングス株式会社執行役員マーケティング本部長を務める中村大亮氏。新卒でライオンに入社したのち、AllAbout、三菱電機、Supership、そして現在のバリュエンスホールディングスと5社を経験している中村氏は自身のキャリアの変遷を語り始めた。

 

マーケターとして5社を経験

7年間のライオン時代に世間ではブログが登場し、マス広告一辺倒のマーケティングコミュニケーションのあり方が新たな局面を迎えたことを感じた。そこでライオンの外でのトライを決意し、AllAboutへと転職することとなる。

 

WEB広告やデジタルマーケティングの基礎を学び、順調だった中村氏だが、この時期には家族の影響を大きく受けることとなる。長女が生まれたことでベンチャーに対して不安が募り始めたのだった。そこで、当時担当していた三菱電機に転職を決めた。新商品発表会で、三菱電機のマーケティング責任者が熱く製品を語っている姿に感動し、その人のもとで働きたいという思いが決め手になったという。しかし、転職後はデジタルの経験を思うように生かせず、自身の理想とのギャップを抱えていた。

 

そんな中、ライオンがスタートした退職者を再度中途採用するキャリアリターン制度がスタートし、キャリアリターン制度復帰第1号として中村氏は古巣に戻ることを決めた。

 

復帰後には、AllAboutで得たWEB広告の基礎知識を駆使し事業会社でPDCAを回すといった実務経験を培った。また、この頃は同級生のマーケターから刺激を受けつつ切磋琢磨していた時期でもあったという。その中で、中村氏のモチベーションも、ライオン社内でのマーケティングに留まらず「日本のマーケティング界を発展させたい」といったものに変わっていった。その意識が、ライオンを飛び出しSupership入社へと繋がっていくこととなる。

 

Supershipでは1年間マーケティング顧問を務めていた音部大輔氏(現クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役)との出会いが衝撃だったという。当時、戦略が分かった気になっていたと語る中村氏は、音部氏のメソッドに打ちのめされつつも、まるで大人と子供のように勉強させてもらったと述べた。一方で最終的には事業会社のマーケティングに戻ることは決めており、特にリテールに興味があった矢先にバリュエンスの社長から声がかかる。社長のビジョンに共感した中村氏はバリュエンスに入社し現在に至る。

偶然によって左右されるキャリアをどう繋げるか

多種多様な環境で揉まれてきた中で、やりたかったこと、獲得してきたスキル、モチベーション等が異なるフェーズ毎に変化してきたという中村氏。また、ライオンに入社当初、今のキャリアは全く想像していなかったという。そして、「キャリアは偶然に左右されている」とも語った。さらに中村氏は「計画的偶発性」という考え方をキーワードに挙げ、その偶然を自身のポジティブな動きでキャリアアップに繋げていくことの重要性を述べた。

 

計画的偶発性を発生させる上では、自身の強みが明確でありそれを理解していること、ポジティブな志向が必須となる。そこで自身への理解が第一歩となるが、自己理解はバイアスがかかっている可能性が高いと言う。「自分はこういったキャリアを歩んできたからこうあり続けなければいけない」と思い込んでいるケースや、そもそも理解が表面的な浅い部分で止まっており、深層まで達していないことが多い。

 

そこでまずは自身のキャリアや考えを一覧化し、「どうしてこっちからあっちへ行ったのか」、「そのときに何を理想としていたのか」、「理想と現実のギャップ」などを掘り下げていく。さらに、こういった要素を全て書き出した上で、「自分そのものが何者か」まで入り込んでいくことで自分そのものをクリアにしていく。

 

中村氏の現在のモチベーションは「社会課題の解決」ということだが、これもキャリアの棚卸しと他者との対話で掘り下げたものだと言う。

 

ワークショップで自身の本質に迫っていく

前半の中村氏のキャリアの棚卸し論を踏まえ、後半では聴講者自身がワークシートを記入し、2人1組でメンター、メンティー側に分かれやりとりするワークショップが行われた。ここでの目的は「客観的に自分を理解する」、「本質的に自分を理解する」こと。

 

初めにキャリアのハイライトを書き出し、さらに「幸福・生きがい」「仕事への考え方とアプローチ」「専門(得意)領域/業界」「自身の強み(特徴)」「理想的な仕事(会社)」の5つからなる自分理解シートを使い、聴講者は自身のキャリアを棚卸ししていく。

 

その後、2人1組でのやりとりではメンター側がメンティーを深掘りしていく作業に入っていった。ここで、「本質的に仕事に対してどういったやりがいを持っているのか」、「自身にとっての幸せのトリガー」といったことを炙り出していくこととなる。最終的には「あなたの幸せはこれではないですか」というところまで言えればいいと中村氏は語った。

 

15分かけてお互いでのやり取りを終えた聴講者からは「良くも悪くも他人に影響されているということに気づいた」、「自身が歩んできたキャリアと仕事への考え方にギャップがあった」といった感想が寄せられた。

 

最後に中村氏は、自身も現在受けているメンタープログラムの中でのエピソードを1つ挙げた。中村氏には自身のベンチマークとして思い描いていた人物がいたが、対話の中で、より的確な他の人物を提案されたという。「自分の憧れている人間と自分に近いタイプの人間は違う」ということすら自分だけでは気づきにくく、それだけ自分では自分のことを分かっていないものだと述べた。そして、「今日のご縁を繋ぎつつ、参加者の方々には今後もキャリアの棚卸しのサポートをさせて頂きたい」と締めくくり、第5回MCA道場は幕を閉じた。

 

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ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。