×

「ERPとCXを統合最適化」-オラクルがCX製品説明会を開催

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)を始めとするデータテクノロジーを提供する日本オラクル株式会社は7月29日、同社のCX製品に関する説明会を開催した。

 

 

 

 

CXと業務管理データの統合

同社理事でクラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部本部長の桑野祐一郎氏は、同社が推進するデジタル・トランスフォーメーションの概要を「①データドリブンCX」「②新たな収益源の創出」「③最新テクノロジーの活用」の3項目に分けて説明。フロントオフィスとバックオフィスそれぞれが保有するデータをつなげることで、新しい収益源を発掘し、AIと機械学習を通じてパーソナライズ技術を極限にまで高めていく意向を示した。

 

とりわけ①に関しては、これまでは広告、マーケティング、セールス、サービスなど消費者やユーザーとのタッチポイントを支えるシステムと、財務や会計といった業務管理システムが分断されていることが一般的であったと指摘。個別最適ばかりが進み、また各部署でデータの管理方法が統一されていないために統合作業に多大な手間を要するといった状況が続いていた。

 

そこで桑野氏は、フロントオフィスとバックオフィスをまたいでかつ各部署が保有するデータを統合することで機械学習の対象となるデータの質と量が各段に増えると主張。その結果、データの利便性が飛躍的に高まるとの見通しを述べた。

 

CXとは縁遠い経営陣の理解が必須

フロントオフィスとバックオフィスのデータが統合されると、何ができるようになるのか。この疑問に対して、同理事でクラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング事業本部本部長を務める竹内尚志氏は、近年注目されているサブスクリプション事業への転換に関わる課題を具体例として取り上げた。一つの商品ごとに見積もり作成→受注→調達→出荷を行う既存の業務フローは、サブスクリプション事業モデルを導入した途端に大幅な変更を余儀なくされる。さらにサブスクリプションの契約内容を例えば限定利用から「使い放題」サービスにアップグレードなどした際にも、変更すべき内容は多岐にわたる。異なる複数のシステムを統合させることで、これらの変更作業にかかる人的負担を最小限の留められるのだという。

資料提供: 日本オラクル株式会社

 

さらに竹内氏は、バックオフィスで更新されたデータをCXの最適化に生かす手法についても紹介した。とりわけ大企業における各部署のサイロ化がかねてから問題視されてきたが、最近では企業資源計画(ERP)データに基づき、ウェブサイトやアプリをリアルタイムに自動最適化する事例が海外では出始めてきていると報告。顧客生涯価値(LTV)の最大化に向けて、クロスセルやアップセルまたは離脱しそうなユーザーに対して魅力的なオファーを提示してつなぎ止めるといった施策を大規模な事業においても効率的に実現できる環境が整備されていると伝えた。

 

終盤の質疑応答においては、説明会の聴講者を交えて、ベンダーロックインへの問題意識や、統合システムを活用し得る企業体質などについての議論を展開。CX側に蓄積された知見を全社的に活用するには、システムの統合だけでなく、消費者との接点とは縁遠くなりがちな経営側の理解が必須といった見解が示された。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。