デジタルライブエンターテインメント市場、2024年には約1000億円へ
サイバーエージェントグループのCyberZとOEN(オーイーエヌ)は、デジタルインファクトと共同で、デジタルライブエンターテインメントの市場規模を予測。その結果を公表した。
デジタルライブエンターテインメントとは、アーティストが音楽ライブや演劇などを主にステージ上で演じ、ライブ配信で提供されるコンテンツのこと。
ぴあ総研によると、2019年には、ライブエンターテインメント市場規模は過去最高の6,295億円に達するも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年は約7割減の1836億円になる見通し。すなわち、1年で約4500億円の市場が消失してしまうということになる。
これに代わり、これまでプロモーション目的において、一部のアーティストによる大手動画配信サイトでの配信や、ミュージックビデオの配信などにとどまっていたライブコンテンツのデジタル活用が、本格的な収益獲得を目指す取り組みとして急速に進んでいる。
2020年春以降、デジタルならではのライブ演出をおこなう「SUPERLIVE by OPENREC」や、「ABEMA PPV」、次世代チケット販売プラットフォームの「ZAIKO」といった動画配信サービスをはじめ、多くの事業者がライブ動画配信を開始、2020年の夏には大型音楽アーティストによる興行が増えた。音楽から演劇、ドームからライブハウスまで、多様で幅広い動員観客規模のライブがデジタル化された。
このようなことから、2020年のデジタルライブエンターテイメント市場規模は、140億円、翌2021年には、前年比約2.2倍の314億円規模と急拡大すると予測している。
2021年以降は、新型コロナウイルス対策が進み、リアルライブ需要は2019年以前の水準に向けて緩やかな拡大基調を続けることが予想される一方で、今後は感染症対策を前提にした物理的な収容人員の抑制などによる収益機会の減少が予想される。これを補う手段として、デジタルライブ配信による収益拡大を図る取り組みは、不可逆的に進む。
デジタルライブエンターテインメントは、単にリアルライブの代替手段にとどまらず、CG合成技術の活用による新しいユーザー体験や、収容人数の制限なく幅広いファンに提供できることなどの強みを生かし、新しいライブエンターテインメント需要を生み出すことにより、2024年には984億円規模に達すると予測している。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。