進めた構造改革、ネット広告事業売上前年比9.2%増-サイバーエージェント20年1-3月期決算-
サイバーエージェントは、2020年9月期第3四半期(対象期間:2020年1-3月期)の決算を発表した。
該当四半期の連結売上高は1291億円で前年比10.1%増。営業利益は124億円、前年比45.3%増。代表取締役社長 藤田晋氏は「非常に好調な四半期であった」と全体を振り返った。
主力事業の内訳は、メディア事業が138 億で前年比18.8%増、営業損失が42億円。ABEMAのユーザー数に関しては、巣ごもり需要がプラスに働きWAUのベースが大幅にアップした。
ゲーム事業は、大きなタイトルの周年が重なり、新規タイトルが好調な立ち上がりを見せた。売上高は448億円で前年比12.4%増、営業利益が104億円で前年比39.8%増。
出典:同社IR資料
インターネット広告事業は、新規開拓をした広告主の売上を伸ばすことに成功。広告需要を取り込み、売上高は727億円で前年比9.2%増。営業利益は67億2000万円、前年比23.7%増。営業利益率も前四半期の8.4%から上昇し、9.2%に達した。
藤田氏は「1-3月期は元々良い期であることに加えて、長年仕込んできた新規(顧客)の開拓と、一つ一つの顧客を丁寧に大きくするという戦略がちょうど花開きかけていたところもあり、好調に推移した。」と振り返った。
出典:同社IR資料
新型コロナウイルスの感染拡大による広告事業への影響については、「3月に入った段階から、出稿控えやキャンセルが発生し始めた。4-6月以降には当社も影響を免れないという形になる。どのくらいの影響が出るかは今の段階で全く言えないが、広告の需要は明らかに減退している。リモート体制を構築して営業は継続している。全体的には検索エンジン回りや、ベースとなるような広告は大きな影響は受けていない。大きなキャンペーンが控えられているという傾向がみられる。」(藤田氏)とのこと。
インターネット広告事業の今後については、「新型コロナウイルスの影響を受ける状況がいつまで続くか現時点ではわからないが、これが収まった際には、構造改革により非常に伸ばせる体制の準備が出来たと考えているので、しっかりとこの時期を耐え抜いて、また伸ばしていきたいと考えている。」(藤田氏)と述べた。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。