先週のアドテクシーン:ネット広告費2兆円超、広告費全体の3割に-電通「2019年 日本の広告費」
広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。
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ネット広告費2兆円超、広告費全体の3割に-電通「2019年 日本の広告費」
電通は「2019年日本の広告費」を公表した。
2019年の日本の総広告費は、新たに「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント」領域を追加推定し、6兆9,381億円。前年同様の推定方法では6兆6,514億円で前年比101.9%となった。
ネット広告費はテレビメディア広告費を上回り2兆1,048億円、総広告費に占めるネット広告の比率は、30.3%に達した。なお、前年と同じ定義においては前年比113.6%となった。
マスメディア4媒体は、2兆6094億円で、前年より932億円減少。一方でマスメディア由来のデジタル広告費は前年から133億円の増加で、715億円(前年比122.9%)に達した。
4媒体の広告費に占めるデジタル比率を計算すると、それぞれ以下のようになる。
4媒体合計:2.7%(デジタル715億円/2兆6094億円)
新聞: 3.2%(デジタル146億円/紙4547億円)
雑誌:24.2%(デジタル405億円/紙1675億円)
テレビ:0.8%(デジタル154億円/放送1兆8612億円)
ラジオ:0.8%(デジタル10億円/放送1260億円)
出典:同社プレスリリース
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広告主のインフルエンサーマーケティング利用実態調査
デジタルインファクトは、インフルエンサーマーケティングの実施経験がある広告主・広告会社の関係者106名を対象に、インフルエンサーマーケティングの利用実態を調査したレポートを発刊した。
広告主のインフルエンサーマーケティングの利用状況の詳細を、全20項目についてアンケートを実施した結果を取りまとめている。
【 インフルエンサーマーケティングの活用チャネル(MA、N=106)】
【新サービス・新機能】
Teads、広告主のソーシャルキャンペーン強化フォーマットを発表
Teadsは、ソーシャルメディアキャンペーンでのクリエイティブ素材をそのままTeadsのプレミアムパブリッシャーに配信が可能な新フォーマットinRead Social(インリードソーシャル)を発表した。
ブランド(広告主)は、TeadsのinRead Socialを活用することにより、ソーシャルメディアクリエイティブをより効果的で大規模に、そして円滑に配信ができるように設計されている。
出典:同社プレスリリース
「クラシル」が新型コロナウイルスの影響を受けた飲食店をECで支援
レシピ動画サービス大手 「クラシル」を運営するdely は、新型コロナウイルスの影響を受けている飲食店への支援を開始した。
同社が展開する食品ECサイト「クラシルストア」を活用し、飲食店の逸品を顧客に届けするという取り組みをおこなう。
コンテンツスタジオ「BitStar Studio」が企業向けライブ配信事業を開始
インフルエンサーマーケティングのBitStarは、YouTube番組制作に特化したコンテンツスタジオ「BitStar Studio」(ビットスタースタジオ)において、多種多様な動画配信プラットフォームに対応した、企業向けライブ配信事業を開始した。
近年、EC販売やファンサービス、イベントなどの動画を生配信するライブ配信サービスが急成長しており、これらのサービスでライブ配信を行うインフルエンサー「ライバー」にも注目が集まっており、同社はこれら企業ニーズに対応する。
【サービス連携・業務提携】
ヤフー、C Channelと新動画広告商品の提供を開始
ヤフーとC Channelは、女性の共感を得るクリエイティブを活用した、新動画広告商品「CANDY Promotion AD(キャンディー プロモーション アド)」の提供を開始した。
動画広告の企画・制作から配信、効果測定まで一気通貫で実施可能。広告主は、C Channelが制作した動画コンテンツを、国内最大級の訪問者数を誇る注目度の高い「Yahoo! JAPANトップページ」(スマートフォン版/PC版)に掲載される動画広告枠に配信でき、多くのユーザーに動画を通して、商品やサービスの訴求ができる。
出典:同社プレスリリース
CyberZ、SaaS領域に特化したマーケティング組織「SaaSマーケティング戦略室」を設立
CyberZは、SaaS領域に特化したマーケティング組織「SaaSマーケティング戦略室」を設立した。
BtoBサービスが中心のSaaSのプロモーション活動について、これまで培ってきたデジタル領域での運用ノウハウを活かし、最適な広告運用を目指したマーケティング支援をおこなっていく。同社では「新R25」のコンテンツを活用したスポンサードメニューの提供も開始しているとのこと。
ヒットとジーニー、大阪道頓堀の日本最大級LEDビジョンにてプログラマティックOOH広告配信開始
ジーニーとOOH広告代理店大手のヒットは、 ヒットが大阪・道頓堀に保有する大型屋外広告ビジョン「ツタヤエビスバシヒットビジョン」への、 プログラマティックOOH広告の配信を開始した。
両社は2020年1月以降、 ヒットが首都高速道路沿いに展開する「首都高速デジタルLEDボード」(12面ネットワーク)、 渋谷の「シブハチヒットビジョン」、 大阪の「新御堂筋デジタルLEDボード」(4面ネットワーク)にて、 プログラマティックOOH広告配信サービスの展開を進めてきた。
【資本提携・買収】
博報堂、インドの フルサービス・デジタルエージェンシー「AdGlobal360」を買収
博報堂は、インドのデジタルエージェンシー、AdGlobal360 India Pvt. Ltd.の株式を取得した。
AGL社は2009年の設立以来、順調に成長を遂げているフルサービスのデジタルエージェンシー。現在約460名のスタッフを擁し、デジタルマーケティング戦略の構築から、システム開発に至るまで、幅広いサービスをワンストップでインド国内外のクライアントに提供。博報堂グループとは既に4年以上、複数の協業実績があるとのこと。
【調査】
THECOO、エンタメ ファンテック カオスマップ 2020を公開
ファンコミュニティアプリ「 fanicon 」を運営する、THECOO が、「 エンタメ業界のファンテックサービス カオスマップ 」を公開した。
ファンテックとは「 ファン 」と「 テクノロジー(技術)」を組み合わせた造語であり、ファンサービスとIT技術などを結びつけた新しいサービスや動きのこと。
出典:同社プレスリリース
パブマティック、動画広告における新たな収益化戦略の日本語版調査レポートを公表
パブマティックは、グローバルにおける動画広告による収益化傾向に関する調査結果を公表した。調査はForrester Consultingが実施。日本のパブリッシャーからも回答を得たとのこと。以下はそのサマリーとなる。
・「動画のヘッダー入札から得られるメリット」に関するトップの回答は、「デマンド最適化の改善」(63%)。次に、「広告収益の最大化」(61%)、続いて「新しいデマンドソースへのアクセス」(58 %)という結果であった。ヘッダー入札は効果的な収益化施策のベストプラクティスになり、動画広告枠の管理を必要とするパブリッシャーにとっても期待されていることがわかった。
・「モバイルへのヘッダー入札の実装計画についての質問には、今後12カ月間で、33%が「実装利用を拡大」、37%が「初めての実装を計画している」と回答。アプリ開発者が動画ヘッダー入札の実装において直面する技術的な課題にもかかわらず、来年はモバイルにおけるヘッダー入札の実装が大幅に増えることが予測される。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。