セプテーニが語る動画マーケティングの最前線-第三回:「”動画広告=ブランディング”だけじゃない!ダイレクトレスポンスマーケティングにこそ、活用すべき動画広告」 |WireColumn
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on 2018年2月07日 in
デザインやコピーはもちろん、尺の長さやエフェクト、カメラアングルなど、非常に要素が多く、勝ちパターンのマニュアル化が難しいとされる動画広告。
きちんとコンバージョン獲得に結びつける動画広告クリエイティブの生み出し方とは?
ダイレクトレスポンス動画の需要と役割
2020年に次世代携帯電話サービス「5G」の開始が迫る中、動画広告の需要と存在感が高まっています。
セプテーニにおいても現在制作物の半数以上が動画広告となっており、取扱高も年々増加しています。
「動画広告=ブランディング」とイメージする方も多いと思いますが、セプテーニでは、ダイレクトレスポンス目的の動画制作も数多く手掛けています。
ダイレクトレスポンス動画は文字やストックフォト素材で構成を組み立てることができ、比較的短期間での制作が可能です。そのためPDCAサイクルも早く回すことができます。
コンバージョン獲得という指標の中でPDCAを高速で回し、成果に繋げていくダイレクトレスポンス動画は、インターネット広告において重要な手法の1つとなっています。
第一回目、第二回目のコラムでは、潜在層へのアプローチ手法やブランディング施策に関連する動画広告についてお送りしてきましたが、今回は「ダイレクトレスポンスを目的とした動画制作」に特化した内容を紹介していきたいと思います。
制作を進めるに当たって気をつけるべき3つのこと
①コミュニケーションプランニング
動画制作と聞くと少しハードルが高く感じるかもしれませんが、全体のデザインやコピーにおいては静止画制作と同様の考え方で進めていきます。
私がダイレクトレスポンス用の動画を制作する際に初めに行うことは静止画制作と同様で、コミュニケーションプランニングです。
商材の優位性や訴求したいターゲット像を理解した上で、適切なメッセージを、狙ったターゲットにどのように伝えるかを考えます。
そのために一番初めに行うことがターゲットの要素分解となります。
例えば、洗濯洗剤という商材におけるターゲットの要素分解をおこなう場合、男性か女性かという性別軸の他に、洗濯洗剤に対するユーザーのモチベーションまで掘り下げて考えます。普段から洗濯洗剤に拘る人向けなのか?(顕在層)、もしくは拘りがなく特売品を買う人向けなのか?(潜在層)
ユーザーのモチベーションによって、当てるべきメッセージは大きく異なります。
出典; セプテーニ
上記は訴求メッセージの一例になりますが、コミュニケーションプランニングは広告クリエイティブの基本であり軸になる部分ですので、私はここに時間をかけるようにしています。
「何を」「誰に」「どのように」伝えるかが重要であり、配信物が静止画でも動画でも広告フォーマットは1つのアウトプットでしかないので、ぶれない軸を決めた上でデザインや動画の尺、エフェクトなどの細かい部分を詰めていきます。
②検証のための動画クリエイティブの要素分解
PDCAを回す上で必ず必要になってくるものが動画クリエイティブの要素分解です。
広告効果の高いクリエイティブも低いクリエイティブも要素を分解し、「何が良かったのか?何が悪かったのか?」を正しく理解しなければPDCAは回せません。
静止画では当たり前に行っていたことも、動画では変数が多く、「どうしたらいいのだろう?」と思う方も多いのではないでしょうか。
その場合、まずは要素をシンプルにしてみます。
私の場合、大きく「冒頭」「メイン」「締め(Call To Action)」で要素分解しています。
デザイントンマナ、エフェクト、尺など変数の多い広告フォーマットだからこそ、まずは大枠の要素を固める。その上で①で考えたコミュニケーションプランニングが正解だったかどうかを検証します。
出典; セプテーニ
まずは上記のような粒度で大枠の要素についてPDCAを回していき、広告効果の高いクリエイティブを安定的に配信できるようにします。
コミュニケーションプランニングの適切な設定、そして「冒頭」「メイン」「締め(Call To Action)」の勝ち要素を発見することで、それに基づき効果の高いクリエイティブを数多く作ることができるようになります。
そうすると、インターネット広告を運用していく上で必ず壁となる、クリエイティブ素材が原因の「ユーザーの飽き」による効果減少を未然に防ぐことも可能となります。これにより、ユーザーを飽きさせることなく継続的かつ効果的に訴求していくことができます。
③メディア特性を踏まえたクリエイティブ制作
動画広告と一括りに言いますが、配信先となるメディアの特性によって、制作すべきクリエイティブは全く異なります。
テレビで見るのか、映画館で見るのか、デジタルサイネージで見るのか。
想像すると、見る場所や状況によって、情報の受け取り方が全く異なるのがわかるかと思います。広告も同じ考え方であり、音声を聞きながら見ることが前提のYouTubeと、音声を聞かずに見ることが多いFacebookやTwitterでは、同じ動画を見る場合でもユーザーの受け取り方が大きく変わってきます。
さらに言うと、FacebookやTwitter等のSNSメディアはユーザーがタイムラインをスクロールしていく仕様のため、そこで配信する動画クリエイティブには、より視認性が高く、気づきを与えるような要素も必要となります。
またフォーマットや音の有無に加えて気をつけるべきことは、ユーザーのモチベーションコントロールです。
昨今情報は取捨選択する時代になっています。
例えば、YouTubeを利用するユーザーは、能動的に特定の情報を得るためにアクセスするユーザーが多いですが、そこに広告色が強い動画広告が流れたらどうでしょう。ユーザーのモチベーションを下げてしまうのではないでしょうか。
目的の情報に辿りついたユーザーのモチベーション下げずに、興味を持ち、楽しめるような動画広告を作ることは、メディアの質を上げるだけでなく、広告効果にも影響を及ぼすと考えています。
ブランディングなのかダイレクトレスポンスなのか?
ここまで、ダイレクトレスポンスに関する動画制作についてお話してきましたが、いざ制作するとなると、その作りたい動画はブランディング目的なのかダイレクトレスポンス目的なのかがわからない、という悩みを多くの広告主からよく聞きます。
「動画広告だからこそ、多くの要素を見せたい。」「動画広告を通してサービスに対する様々な理解を得たい。」「そしてせっかくだから、スタイリッシュでかっこいい動画にしたい。」「でもきちんとコンバージョン獲得は担保したい。」
これらはどの広告主も持つ、共通の要望だと思います。
どういった方法をとるにしても、広告主が広告に対して一番何の効果を求めているのかを明確にし、その指標に対する広告効果の最大化が最終的な目的となるので、基本的には、メディア特性やターゲット層によってブランディング動画とダイレクトレスポンス動画はうまく使い分けるべきだと私は思います。
但し、ブランディング動画で獲得を最大化することができれば、これまでのインターネット広告の概念が変わるかもしれません。
これを実現するためには、ダイレクトレスポンス動画の勝ちクリエイティブを少しだけブランディング動画に歩み寄せることが有効なのではないかと考えています。
出典; セプテーニ
上記にあげた洗濯洗剤を例でいうと、最も獲得に貢献したダイレクトレスポンス動画のメイン訴求「香りそのまま、洗浄力2倍(例)」と言う表現を、ブランディング動画用に撮影をして幅を広げるということです。
これまでダイレクトレスポンス動画として宣材写真や機能的なコピーだけで表現していたものを、演者を使い演出を追加、更に特殊効果を加えることで、ブランディング動画用としてより情緒的に表現することが可能になります。
また、「香りそのまま、洗浄力2倍(例)」と言うダイレクトレスポンス向けのコピーをより情緒的に、「あなたの毎日を2倍美しく(例)」と表現するだけで、同じ動画でも印象は大きく異なります。音声だけでなく、テロップを使用するなど、様々な方法で表現の幅を広げることも可能です。
ユーザーが豊かな気持ちになれる動画広告。
おもしろいと思って誰かに話したくなるような動画広告。
ダイレクトレスポンス動画で得た知見を使って、効果を担保したままユーザーの気持ちを動かすことができる。これが動画という、無限の見せ方ができる広告フォーマットの魅力であると思います。
ABOUT 古川 徹
Septeni Japan 株式会社
クリエイティブ本部 第一ディレクション部 クリエイティブディレクター
2015年セプテーニ中途入社。入社以来、ディレクション業務に従事し、特に大手の広告主を担当。優れたコミュニケーション能力とデザイン力でクリエイティブチームを引率し、課題解決に貢献。現在はディレクション業務だけでなく、プロデュース業務にも従事。クリエイターとして更なる飛躍を目指している。