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エスワンオーインタラクティブトップインタビュー【前編】目指すは事業支援型トレーディングデスク [インタビュー]

トレーディングデスク事業会社エスワンオーインタラクティブの代表取締役に就任後、わずか1年で事業を急成長させた高瀬大輔氏。

国内外を問わず広くプログラマティックの領域に知見を持つ同氏が語る、同社の過去1年の振り返りと今後、そして同氏が見る直近の業界動向について、全2回にわたりお届けする。

第1回目は過去1年を振り返った同社のこれまでの取組みと今後について。

(聞き手:Exchange Wire Japan 野下 智之)

投資の効果が出て、業績は順調

― 改めて貴社の概要と特徴についてお聞かせください。

弊社はプログラマティック広告の運用機能に特化したトレーディングデスク事業を展開している会社です。1年半ほど前からアドフラウド領域に着目し、運用機能に組み込んでいます。直近はオフライン・オンラインを跨ぐ分析を展開しています。弊社の特長としては、プログラマティック・バイイングに特化した運用機能がそのまま事業会社となっているトレーディングデスク専業であること、オンラインに閉じずオフラインも含めた分析領域まで担っていること、主に広告主のインハウス化支援を行なっていること、の3点です。

― 昨年高瀬さんが経営を引き継がれて以降の1年を振り返ってみていかがでしたか?

創業以来業績は右肩上がりでしたが、広く投資していたので一時的に落ち込んだこともあります。ただ、昨年のタイミングで業績は順調に復調しました。代表として自ら表に出ながら視点を上げなくてはいけませんでしたし、結果として非常に多くを学ばさせていただいています。業績を伸ばすことは勿論ですが、組織を強くしていくことや、パートナー企業とのアライアンス強化を強く意識して動くことが出来た1年でした。

コアは変えずに、オフライン・オンラインをまたぐ分析業務を強化

― 会社の形や組織として大きく変えられたことはありますか?

写真1

これまでやってきたことの軸足は変えていません。
お取引の規模が大きなお客様を増やしていくように努めた結果、ブランド広告主様とのお取引が増えました。そして各社様の課題に向き合った結果、オフライン・オンラインを跨ぐ分析を提供する事に繋がりました。

引き続きブランド広告主様の課題解決を担っていけるような存在になっていければと思っています。

業績が伸び続けるための組織マネージメントにフォーカス

― 全体的に、この1年間は一言でいうとどのような年でしたでしょうか?

「ジャンプアップをするために苦労をした一年」だったと感じています。私が代表に就任したのは5期目に入って少し経ってからです。個人的にベンチャーとしての踊り場であり転換期を迎えていると感じていました。戦略は大きく変えていませんが、その転換期を受け入れ、大きくジャンプアップするために人を中心とした組織のマネージメントにかなりの時間を割きました。これは想像以上に大変な経験でしたし、引き続き継続して取り組んでいきます。

また先述の通り、より多くの大手広告主様との関係性が強化できた一年でした。まだまだではありますが、結果的に業界の中でも当社の認知が進んだ一年だったのではないかなと感じています。

デジタルに閉じない分析などの運用に注力

― 直近で貴社がクライアントサービスとして特に注力していることがあればお聞かせください。

運用というコアコンピタンスを軸にデジタルに閉じない領域の分析、そして広告主様を中心とするインハウス支援サービスに注力しています。特に昨年から取り組んでいた分析領域では多くのお問い合わせをいただいています。一方で、大手ブランド広告主の皆さまからアドフラウド対策を評価していただいていますが、これは当たり前のこととして取り組んでいます。

目指すはトレーディングデスク領域のナンバーワン企業

― 日本でのトレーディングデスクという業態の定着状況について、どのように見ておられますか?

まだまだ定着していないというのが私の印象です。

同じ業界に身を置いているエージェンシー、ソリューションベンダーの皆さまの間ではトレーディングデスクという言葉自体は当たり前のように認識されていますし、業態そのものの認知もあります。

しかし、マーケティング全般に携わり、プロモーションのデジタル化を推進されている広告主の担当者様とお話した時に、そもそもトレーディングデスクという言葉が通じないケースがまだまだありますので、定着したとは言い難いですね。
今後もトレーディングデスクの価値を啓蒙していきたいですし、トレーディングデスクといえばエスワンオーインタラクティブだと思われるようにしていきたいですね

将来の構想は、広告主と媒体社とを繋ぐこと

― 今後の事業目標とサービスの方向性についてお聞かせ下さい。

写真2

引き続きプログラマティックバイイングを主としたトレーディングデスクの事業をより拡大していくのが一つの軸です。その周辺領域として強化したいのが、分析領域とコンテンツ制作領域です。バナー制作や記事風広告を大量生成するなどではなく、しっかりとコンテンツを作り込むということです。「コンテンツがアド化する」という捉え方を一つのテーマとしています。コンテンツありきで広告活動をすべきだと思っていますので、弊社では広告フォーマットを限定した価値提供はあまり考えていません。そもそも市場に特定の広告フォーマットにフォーカスした素晴らしいベンダーの皆様が既にいらっしゃるので、そういった方々と連携していければと思っています。

そして、媒体社様向き合いの活動を強化していこうと思っています。当社では「事業支援型トレーディングデスク」という構想を描いています。将来の構想としては広告主様と媒体社様とを繋ぐことで事業支援を行なう新たなトレーディングデスクの形を創り上げたいと思っています。この辺りの詳細は徐々に発信していければと思っています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。