TVCMとWebとの統合プランニングが可能に-CMerTVに聞く電通STADIAとの連携- [インタビュー]
動画広告プラットフォームを展開するCMerTVは、今年4月に電通STADIAとの連携を開始した。
今回の連携の背景や内容、そしてこれにより広告主はどのようなことが出来るようになるのか。同社取締役COOの森 英次郎氏に聞いた。
(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)
― 今回の電通との提携の背景にある市場環境と広告主のニーズについてお聞かせください。
デジタルシフトと言われていますが、動画CMの最大のメディアはTVです。
しかしながら、ユーザーがデジタルに可処分時間を取られているのも事実です。
このため広告主様は、テレビCMとスマートフォンのリーチだけではなく、最適なブランドリフトのためのアロケーションを求められていました。
【電通STADIAとの連携図】
― 提携内容についてですが、配信先パートナーとしての連携と、データ連携という、大きく分けて二つの連携という理解でよろしいでしょうか。
配信先としては勿論ですが、データ連携をすることで、TVとデジタルのフリークエンシーをログベースで収集することが可能になりました。
― 貴社が今回電通のパートナーとなった理由は、どのような点にあるとご認識されていますでしょうか。
当社が連結させて頂いているメディアパートナー様は、全てプレミアムメディアです。
ガイドラインは、色々とありますが一つ挙げるとすれば、編成権、編集権を持たれていてコンテンツの裏取や権利を確りとクリアーしているメディアの皆さんと連携させて頂いております。
また、ブランドセーフティの概念から事件事故の記事面には出さない。フリークエンシー、リーセンシーを制御してユザービリティの確保もしております。
さらに音楽著作権管理団体(JASRAC)と包括契約をしていることも、安心・安全に配信できるメディアとして選定頂いた条件だと思います。
Viewableについては100%ファーストビュー指定で、かつ全てパートナーのメディアで16:9の動画フォーマットを導入しています。
よって、クリエイティブを極端に小さくすることなくブランドのメッセージを伝えることが可能です。また、高い完全再生率を実現していることもパートナーとなった理由です。
― この連携により、広告主に対してどのようなサービスを提供できるようになるのでしょうか。
既に、複数の広告主様が実施していますが、STADIAとの連携によって、テレビの視聴行動や番組の嗜好性などをベースとした広告のターゲティング配信を実施できるようになりました。
さらにテレビCMとスマートフォン向け動画を活用した広告の効果検証も可能になりました。また、広告配信後のカスタマージャーニーを解析し広告の効果検証を実施する機能も持ち合わせています。
TVCMとデジタルCMの最適なアロケーションもそうですが、今までは重複をアスキング(アンケート)調査に頼ってきたので多少ファジーな回答も含まれましたが、
STADIAとの連携によりログベースでの視聴KPI(完全再生率、CTRなど)が取得可能になりました。勿論、それに加えてブランドリフト調査などのアスキングも可能になります。
―この提携による事業や業績に対するインパクトを、どのように期待されていますか?
リーチだけではなく、色々なKPIに合わせた最適なアロケーションを導きTVCMとWebの統合プランニングが促進されると思います。
― サイネージへの配信においても、連携を想定されているのでしょうか。
弊社では、ヘアサロンやネイルサロン、歯科医院、ガソリンスタンド、カフェ、居酒屋などのパートナー様との間で、多くのサイネージを設置する連携をしています。
ユーザーの生活導線の中でブランディング可能なサイネージは複数存在しています。PC、スマホに限らず多くのメディアと連携することで更に効果的に配信することが出来るようになると思っています。
― 今回のリリースに関連して、その他に貴社からなにかお伝えしたいことがあれば、お願いいたします。
当社ではデジタルサイネージ放送局「BEAUTINISTA TV」を開局しました。
これは、日本全国の美容室で美に対しての意識が高いユーザーにリーチできるメディアです。
当社では現在、TV×スマホ×サイネージのマルチディバイスで配信できるプレミアムなプラットフォームを構築中です。ぜひこの先のCMerTVの未来にご期待ください!
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。