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フィードフォースのデータフィード統合管理プラットフォーム 「dfplus.io」が目指す運用負荷からの解放 [インタビュー]

2016年12月、データフィード業界をリードするフィードフォースが、データフィードサービスをクラウド上で提供するデータフィード統合管理プラットフォーム dfplus.ioの提供を開始した。

これまでの取り組みや、本サービスの提供に至るまでのマーケットの流れ、リリースの経緯について、ビジネスディベロップメントチーム マネージャー/ DF PLUS 事業責任者の川田 智明氏および、dfplus.ioのプロダクトマネージャーでマーケティング担当の谷垣 進也氏にお話をうかがった。

(聞き手: ExchangeWire Japan 野下 智之)

― 自己紹介をお願いいたします。

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川田氏(写真右) ビジネスディベロップメントチームという、事業開発系チームのマネージャーをしています。Google、Criteo、Facebookといったプラットフォーマーとの連携などを行い、データフィードがよりスケールするためのモデルづくりを担当しています。

谷垣氏(写真左) DF PLUSというデータフィード最適化サービスのマーケティングを担当していて、FeedTechのイベント責任者などを一手にやっていました。今回サービスリリースした、dfplus.ioのプロダクトマネージャー兼マーケティング担当として、開発側とビジネスの間に立ってプロダクトを進めていく責任者を務めています。

― まず、これまでのデータフィード市場の流れと、貴社がこれまで事業で取り組んでこられたことについて、お聞かせください。

谷垣氏: データフィードが市場に認知され始めたのは2011年頃です。Criteoが日本に上陸してダイナミックリターゲティング広告という分野が徐々に花開きました。ダイナミックリターゲティング広告を実施する上でデータフィードが必要となり、一部の先進的な、特にeコマース系のお客様中心に導入され始めます。2012年頃には、Googleショッピング広告(旧Google商品リスト広告)がリリースされ、Google検索結果のトップに画像ベースの広告が出始めました。そこから、Googleも動的リターゲティング広告をリリースして、EC業界だけではなく全業種で使えるようになりました。それが13年から14年にかけてだと思います。2015年にFacebookがダイナミック広告をリリースし、主要なプラットフォームであるGoogle、Criteo、Facebookにおいてデータフィード広告のメニューが揃いました。モバイルに強いFacebookでダイナミック広告がリリースされたことは、大きなインパクトだったと感じています。

川田氏: 当社は2012年9月頃にデータフィード事業を開始しました。広告代理店や広告主も、データフィードって何?本当に必要なの?というようなところからのスタートです。

― 貴社はなぜデータフィード事業を立ち上げられたのですか?

川田氏の写真

川田氏: 理由は2つあります。1つ目は既存事業との親和性です。当社は元々お客様の商品データをサイト制作に使っていました。サテライトサイトみたいなものです。ただCriteoが上陸し、商品データを広告に使うというのが2011年頃出てきて、当社が取り扱っているお客様の商品データも使えるのではと考えました。
2つ目は、特にアメリカではデータフィード型のメニューが右肩上がりで伸びていたことです。しかも、デバイスはどんどん小さくなり、PCからスマートフォンへシフトする中で、アイテムベースで画像を訴求するというのが一般的になり、商品データをマーケティングに活用することが重要になるのではという考えに至り、2012年9月頃にデータフィード事業を立ち上げました。

― データフィード広告の、広告主への普及状況について現状のご認識をお聞かせください。

川田氏: 大手企業のほとんどが利用されていると思います。特に、多品目・多商材のEC、人材、不動産、旅行のお客様はマストな施策として実施されていて、中堅企業のお客様も利用するケースが増えてきていますね。

谷垣氏: 2015年頃は、データフィード広告を実施しているのは大手企業が中心で、他はまだこれからという印象がありました。2016年にすそ野が大きく広がり、大手だけではなく、中堅企業もやっていて当たり前、単にやるというより、どううまくやるかという考えになってきていると思います。実践的なフェーズに移ってきているイメージです。
2回目の開催となったFeedTech2016では、前回と比べて広告主の方に多くご参加頂きました。データフィード広告のすそ野が広がって、身近になってきているのではと感じています。

WEB管理画面上でデータフィードを作成できるセルフサーブサービス

― 今回リリースした、dfplus.ioとは、どのようなサービスでしょうか?特徴についてお聞かせください。ユーザーはどのようなメリットを得られますか?

【dfplus.io 管理画面】

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谷垣氏: 当社が提供しているDF PLUSや、同様に他社が提供しているサービスは、一括でデータフィードを代わりに作成して運用する、アウトソーシングのサービスが主流でした。今回リリースしたdfplus.ioはセルフサーブの製品で、SaaS・月額課金型になっています。ユーザー様自身がWEBの管理画面上でデータフィードを作成できるサービスです。

DF PLUSと大きく異なるのは、広告運用担当者が、データフィードを作成して運用できるという点ですね。広告代理店向けだけではなくインハウスで広告運用を行っている広告主向けのプランも用意しています。

谷垣氏の写真

ただ、メインのターゲットはやはり広告代理店様です。広告代理店の広告運用チームの担当者が、日々の運用改善を行っていく中で、データフィードも込みで運用していくというのが理想だと思っています。というのも、データフィード広告はキャンペーン設計・入札をどうするかという運用の話と、データフィードの調整の二軸をどう上手くバランスさせていくかが重要です。二軸のどちらが欠けても上手くいかないので、両方を運用担当者がトータルでコントロールできる方が、より成果に繋がると思っています。

― アウトソースのサービスとの住み分けはどう考えているのでしょうか?

谷垣氏: 複雑・大容量のデータを扱う場合や社内の運用人員を確保することが難しい場合は、アウトソーシング系のサービスが向いています。そちらはDF PLUSで引き続きサービス提供していきます。それほどデータ量が多くなくデータソース自体はシンプルで、広告用にどう対応させていくかにフォーカスできるのであれば、dfplus.ioを使って頂くのが良いと思います。

1か月の作業時間を1日に圧縮も

― 導入するまでの流れ(利用料金、導入するために必要なこと、要する期間)についてお聞かせください

【dfplus.io 管理画面】

谷垣氏: 無料のトライアル期間を用意しているので、資料で見るより実際に触って頂きたいです。トライアルで機能を確認していただいて、本契約に移行していただく形になります。準備していただくものは、データフィード広告の元になるマスターデータです。マスターデータがあって、どの広告に出すか、どのように運用するかという方針が決まっていれば、基本的には管理画面で操作できるツールになっています。

作業時間は、データフィードのルール設定にもよりますが、シンプルなものだと10分程度で終わります。ベータ版のご利用企業様からは、今まで調整も含めて1か月位かかっていたものが、作業時間を1日に圧縮できたという声も頂きました。これまではどうしても多くのやり取りが発生していましたが、例えばdfplus.ioの広告プレビュー機能を使えば、データフィードをこう修正すると広告クリエイティブはこう変わりますというサンプルイメージも見ることができます。それ以外にも管理画面上で一緒に作成していくことで効率よく進められる部分もあると思います。何度もやり取りをする期間が圧縮され純粋な作業時間だけになるので、30日が1日になるというのも十分可能な結果だと思います。

― 販売目標や事業目標を教えてください。

谷垣氏: 半年後には、例えるなら「タグマネージャーと言えばGoogleの、Yahooのタグマネージャーだ」と言われているように、「データフィードのツールだったらフィードフォースだよね」と言われるよう浸透させたいと思っています。
dfplus.ioがあることで広告代理店様がデータフィードを作成でき、データフィード広告を広告主に提案しやすくなる、というようになると、データフィード広告自体の認知が広がり、そこから派生して、自分たちでデータフィードをやってみようかとインハウス志向の広告主様からも我々に声がかかる。そんなサイクルができるといいなと思っています。

― 実際のところ、アウトソースにお客さんが出された場合と、今回のdfplus.ioを使う場合とでは、お客様にとっても新しいプロダクトのほうがコストセーブ可能なのでしょうか。

谷垣氏: データフィードのアウトソースサービス(DF PLUS)だと、1フィードで月額5万円ですが、dfplus.ioはミニマムのプランで2フィードが月額3万円なので、単価でいうと1フィードあたり1万5千円で使って頂けます。
ただ、私たちとしては全てのお客様に、dfplus.ioを使っていただきたいということではなく、お客様にとって使い勝手が良い方を選択していただければと思っています。自分たちでやった方が速いけれど、他にやることがいっぱいあるのでプロに任せてしまったほうがトータルで得という判断もあると思います。先ほど申し上げた通り複雑なルールでのデータフィード構築や大容量のデータなどであれば、従来のDF PLUSを使っていただく方がいいと思います。

データフィードを手軽に改善してほしい

― 今後どのようにサービスを展開させていくのかについてお聞かせください。

谷垣氏: 広告運用担当者が簡単に使えるという点は大事にしていきたいので、使いやすいUIをより意識して提供していきます。また、一つのマスターデータをFacebookにもGoogleのショッピング広告にも使うというところを統合管理できる点は、今後重要になっていくと思うので、データフィードのプラットフォームとしての価値をもっと強化していきたいですね。
後は、今まで画像をちょっと調整する時に、マスターデータそのものを修正しなければならないものが、dfplus.io上で調整できるようになるなど、処理できる範囲を広げることは大事だと思っています。広告効果を上げることが広告運用者のミッションで、データフィードを調整すること自体に労力を割くのは違うと思うので、使いやすく広告成果にフォーカスできるような機能を企画して、今後どんどん機能追加をしていきたいですね。

データフィードは「知恵を絞って成果を上げられる」広告

― 何かメッセージがあればお願いします。

谷垣氏: データフィード広告という便利な広告をもっと皆様に使っていただきたいですね。自社の商品データという資産を活用して、マーケティング上の接点を広げ、効率よく成果を上げることができる広告なので、多くの企業にどんどん活用して欲しいです。今までだとデータフィードの作成で敷居が高い部分もありましたが、dfplus.ioを多くの企業に使ってもらうことで、市場自体を広げていければと思います。

川田氏: 最近米国Googleは、PCでもテキストのAdWords広告よりショッピング広告の出稿金額の方が高いという発表がありました。モバイルは既に逆転しているのですが、PCでも逆転が起きたというのは、ショッピング広告が本流になるという、決定的な出来事だと思っています。データフィード広告をやらない理由はないですし、可能性が非常に大きくある分野で、知恵を絞って戦えるのがデータフィード広告の良さでもあります。出稿金額・入札単価がすべてかというと決してそうではありません。データをどのように見直せばインプレッション、表示回数が増えるのか、あるいはユーザーにとって最適なクリエイティブとはどういう風にあるべきか、という点も突き詰めて工夫すれば、より成果を上げられる広告になります。

当社のお客様だと商品データの中身、タイトルやディスクリプションを見直したり、サイトがしっかりしていないと駄目だよねという原点に立ち返るお客様も多いです。そのようなところも踏まえて最小限のパワーでいかに最大のパフォーマンスを発揮するのかという視点で取り組めるのがデータフィードのいいところだと思います。今あるものをいかにフル活用していくのかという視点ですね。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。