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5秒動画広告の利点を解説する

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

何故30秒広告はデフォルトとなり、5秒広告は将来の大きな可能性を秘めていると言えるのであろうか。OpenXのEMEA地域のモバイルビジネスデベロップメント部長であるMike Nicholson氏はExchangeWireに対して、5秒広告がビデオ消費の潮流に合致しており、サプライ及びデマンドの観点からもビジネス需要が高い点について説明してくれた。

適者生存 - 最もその環境に合致したものだけが、繁栄できるというのが根本的なコンセプトです。しかしながら、モバイル動画広告に関しては様相が異なります。

モバイル向けの動画広告は、ほとんどの場合、30秒のテレビ向けに作られた広告が使われており、デバイス、コンテンツ、コンテキストなどの面から不適当であるのに関わらず、企業は高いパフォーマンスを期待しています。

モバイル動画は、企業にとってユーザーとのエンゲージメントを高める非常に高い潜在性を占めています。しかしながら、広告主が30秒の動画広告を利用し続ける限り、ユーザー・パブリッシャー・企業の3者にとって最悪の結果が待っている形となります。

それでは、どうして広告主はなぜ30秒広告への依存をやめるべきで、その場合、モバイル向けにどの程度の長さが適任なのでしょうか?

30秒広告は1950年に発明され、その時代にはテレビ広告を邪魔するような存在はほとんど何もありませんでした。リモコンもなく、スマートフォンもなく、ゲームコンソールもなく、インターネットもなかった時代です。30秒広告を閲覧しないようにするためには、立ち上がってテレビに向かって、番組を手動で変更する必要がありました。

しかしながら、今日では、オンラインで学習したり、エンターテイメントを楽しんだり様々なことが可能です。消費者の関心を集めるのは以前より難解です。電子メールがあり、Facebookメッセンジャーがあり、IMがあり、スカイプ、WhatsApp、Viber、プッシュ通知、極めて多くのアプリがあり、通知音が鳴り、最近ではポケモンGoまでが集中を遮ります。30秒の広告へのエンゲージメントを期待することは、現実的ではなく、IABのガイドラインによると、閲覧を期待できる動画の長さは2秒程と言われています。

今年初頭に、PepsiCoのプレシデントであるBrad Jakesman氏は次のように述べています。「私はプレロール型の広告にイラつきを覚え、この広告を非常に嫌っています。私が嫌悪している点は、広告制作者が、私がこの広告を嫌いなことを知っていながら広告を配信している点です。なぜそんなことが分かるのでしょうか?何故なら、彼らは私がどのくらいの間、広告に耐え忍ばなくてはならないかを伝えてくるからです。30秒・・20秒・・15秒・・。このくだらないコンテンツに後10秒耐えれば、やっと本来閲覧したいコンテンツにありつけるのです。これはサステイナブルな形のコンテンツモデルとは言えません」。

プレロール型そのものが問題というわけではありませんが、モバイル上のプレロール型広告の長さは問題となります。モバイルは「小さく、利用頻度の高い」媒体です。企業は、1つのことを、簡単に、何度も繰り返すように伝えることで、モバイルモーメントを創造する必要があります。

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Mike Nicholson氏、OpenX社
Director of Mobile Business Development, EMEA

クリエイティブ界の重鎮であるMaurice Saatchi氏やDave Trott氏は「少ないことは良いことだ」という格言を使うようになっています。30秒広告にキャリアの多くを費やしてきたTervor Beattie氏でさえも、Advertising Weekコンファレンスにおいて、30秒フォーマットの終焉について話をしています。彼は、今後は5秒が最適な広告の長さとして捉えられるべきで、消費者、パブリッシャー、企業の3つの視点から考えると、5秒広告が動画広告の未来となると述べています。

以下に述べるいくつかのことが、5秒広告が優れていると考える理由です。

消費者が5秒広告を求めている

Snapchatを思い浮かべてください。YouTubeで、ユーザーが広告スキップを行うまで5秒間や、Facebookのニュースフィードでスクロールする前の自動再生の時間を考えてみてください。これらのプラットフォームはモバイルデバイスの消費者の期待値を形成しており、私たちもこれに追随するべきです。

5秒間であれば、プレミアムや非報酬型の環境であれもスキップされない

当たり前であるが、企業は、自社のメッセージが最初から最後まで届いて欲しいと感じている。しかしながら、30秒の広告で100%のビュースルーレートを期待できるのは、報酬型の閲覧方式や、クローズボタンを表示しない強制閲覧を強いる場合だけに限定されます。The Telegraph社やGuardian社のようなプレミアムメディアの企業は、ユーザーエクスペリエンスを大切にするため、30秒動画をクローズボタンなしで配信したりはしません。

多くの企業が30秒のストーリーを10%のユーザーが閲覧するのであれば、5秒のストーリーを100%の人に見てもらう形を選択するでしょう。5秒間の広告であれば、これらのプレミアム環境であっても、クローズボタンが押されたり、ユーザーエクスペリエンスを損ねることなく、閲覧してもらえる可能が広がります。

5秒広告は軽く、再生も早い

3Gや4Gの環境で動画広告を閲覧する際には、ユーザーはデータ利用にお金を払う形でコンテンツをダウンロードしています。5秒広告であれば、30秒広告よりも軽く、データコストも少なくて済みます。ビデオはより早く再生され、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。

5秒広告はアドブロックの利用減退につながる

スキップができない広告は、広告のルールに逆らってパブリッシャーにて配信されることがあり、ユーザーの広告への悪い感情を促進しています。もし広告業界として、モバイル広告ブロックの利用を減退させたければ、企業からのコミュニケーションに関して媒体にあった形での調整が必要です。

全ての物事と同様、モバイル動画広告も成功のためには、その環境に準拠しながら変化する必要があります。非常に成長の速いモバイル環境において、高いパフォーマンスを勝ち取れるのは、短いながらも力強いストーリーを、5秒の間で伝えることができる人々となるでしょう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。