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APACのマーケターが知るべき、データターティングの5つのティップス

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

全ての消費者が同一ではないという点はAPACでも同様で、マーケティングにおける困難をもたらしている。しかしながら、多くのモバイルデータによって、企業はより賢明な方法でターゲットの特定を行うことができるようになっている、と語るのはNear社の東南アジア及び香港のジェネラルマネージャーを務めるNandita Pal氏である。今回のコラムでは、Pal氏がデータを重視したキャンペーンを実施する際に気をつけるべき5つの点について解説してくれている。

メディアプランニングは、マーケターやエージェンシーがよりデータの活用に賢明になるにつれて、難しいものとなってきています。

現在、彼らはモバイルデータからリサーチやインサイトを引き出し、キャンペーンを実行する前に特定のオーディエンスの確認を行います。これによって、より優れたプランニングが行えるだけでなく、より良い結果を産むことが可能になり、より消費者や競合についての細かなインサイトを理解することができ、優れたビジネス決定を行うことができます。

この点は、市場によってユーザーのニーズや行動、趣向、文化の異なるAPACにおいては非常に重要です。データを効率的に活用し、より優れた結果を得るためには、データ戦略において次の点を考慮することが重要です。

1) 新鮮なデータを活用すること

古くから集めたデータには使い道が当然ありますが、リアルタイムデータはよりパワフルです。というのは、リアルタイムデータは最新の消費者の趣向やトレンドに関する情報を提供してくれるからです。これによってマーケターは、消費者の好みを元に戦略を確立させることができます。

Nandita Pal氏、Near社東南アジア・香港ジェネラルマネージャー

Nandita Pal氏、Near社
東南アジア・香港ジェネラルマネージャー

リアルタイムデータを活用することで、企業は消費者のニーズにあった商品やサービスを提供することができます。更に、新鮮なデータを活用することで、消費者とのやりとりを改善させ、より高い売上を得ることができます。新鮮なデータを活用している企業は、競合に対して優位性を保つことができるのではないでしょうか。

新鮮なデータを活用することで、支出を最適化することもできます。例えば、古いデータを活用している小売店であれば、提供する商品ラインアップに費やす時間や費用に、既に顧客が必要としないものが含まれるため、無駄が発生します。

また、過去の購入履歴を元に、別のシーズンの顧客の好みの分析に活用した飲食店などでも、最新のデータを活用することで得られる消費者のダイナミックな行動趣向をつかむことができず、売上を損失してしいると言えます。

どういったビジネスであれ、リアルタイムデータを利用して、顧客の予測、分析、マーケティングを行うことで利益を得られない業種はないでしょう。

2) 正しい媒体を活用する

モバイルから得られるデータの量はあまりにも膨大なため、企業は全てを活用することはできないですし、その必要もありません。必要なのは、ターゲットとなるオーディエンスのプロフィール、顧客エンゲージメント、トラフィックなどの正しいインサイトです。

正しいデータを活用することができれば、オンラインとオフラインのそれぞれにどの程度支出すべきか、どこに次の店舗をオープンするべきか等のインサイトを得ることができ、商品開発チームに適切なインサイトに関するフィードバックを行うこともできます。メディア支出に関するインパクトを計測することによって、企業は自社の商品やサービスにどういったメディアが機能するかを学ぶことができます。加えて、消費者カテゴリーの違いによって、どのように異なる行動をするかについても理解することができます。

スマートフォンの全方位的な特長により、モバイルデータはこれらの顧客インサイトを入手するのに非常に価値があります。

3) 消費者を知る

顧客が求めるものを正しく理解することは、マーケティングやビジネスの成功において不可欠です。マーケターは、消費者がどうして競合ではなく自社の商品を購入し、購入時、及び購入前後にどのようなアクションを行ったのかを注意深く分析する必要があります。

カスタマージャーニーを理解することが購入経路に影響を与える上で重要です。ソーシャル、ロケーション、モバイル、TVデータなどのデータを収束することで、企業はユーザーのエンゲージメントに至るシナリオを知ることができます。これによって、企業は検討、認知、購入、支持のそれぞれの段階におけるオーディエンスターゲティングの活動を計画できます。この点においては、リアルタイム及び過去のデータの組み合わせが企業により優れたインサイトをもたらしてくれます。

APACにおいては、トレンドの移り変わりが激しいため、様々な消費者マーケットを理解することが必須です。例えば、香港で機能するマーケティング戦略が、マレーシアやタイでは上手くいかないかもしれません。全てに文化的な側面があり、それぞれの市場の消費者をしることが必須です。

4) データ製品に投資する

消費者は企業と様々なプラットフォーム、デバイス、チャネルを通じて交わります。これらの全てのポイントを繋げることによって、ブランドはオーディエンスに如何にリーチし、機会を増進させるかを理解することができます。

これは、企業が毎日もの凄い量のデータを収集しているため、非常に大変な作業です。しかしながら、新たなテクノロジーを活用して、デモグラフィック、興味、ロケーション、CRMなどの様々なデータセットを取り入れることができます。そうすることによって得られる利点は、テクノロジーへの投資費用と比較しても大きいはずです。

5) 戦略のインパクトを計測する

マーケターが戦略を実行する前に、手元のデータを活用し、マーケティングツールを活用し、テストを行うことができます。得られるインサイトによって、戦略がどの程度効果的なものかを決定することができます。

マーケターは、それぞれのキャンペーン、メディア、オーディエンス、地域に関して、なるべく多くのA/Bテストを実施する必要があります。キャンペーンの計測を行うことができ、他との比較ができれば、より多くのオーディエンスにリーチし、支出を削減するようなマーケティングプランの最適化をすることが可能です。

全体として、企業はデータから適切なインサイトを得ることで、消費者を理解し、ROIを最大限にするように努めるべきです。この点は、消費者の企業へのニーズや関わり方が大きくことなるAPACにおいては非常に重要です。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。