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アフィリエイトはデジタルパートナーへと進化している。Performance Horizon社のErik Mikisch氏とのQ&Aセッション

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

アフィリエイトマーケティング。デジタル広告全体の成長により、デジタルパフォーマンスチャネルに対して、継続的な成長が見込まれる効果的なデジタルチャネルとして注目が集まっている。このチャネルはどのように進化し、テクノロジーの変化は、進化にどのような影響を与えているのだろうか。ExchangeWireはPerformance Horizon社のマーケティング部門バイスプレシデントであるErik Mikisch氏にインタビューを実施した。アフィリエイトマーケティングがいかに「デジタルパートナーマーケティング」に変化し、デジタルへの変化が伝統的なパフォーマンスチャネルにどのように影響を与えるのかについて話を聞いた。

― デジタルパートナーマーケティングとはどのようなもので、これは標準的なアフィリエイト広告とどのように異なるのでしょうか?

元々、アフィリエイトマーケティングは企業に対して、ウェブトラフィックや購入を促進する目的としてアフィリエイトマーケターに限定されたもので、彼らはそのリターンとしてコミッションを得ていました。

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私たちの経験から、このパフォーマンスを軸としたチャネルは、現状のビジネスモデルの形態を元としながら、通常のアフィリエイトプログラムの枠を超えて発展しています。私たちはこの更に大きな市場を「デジタルパートナーマーケティング」と称して、現状のアフィリエイトに加えて、比較エンジン、アグリゲーター、アプリ、ブログ、メディアパートナーたちとの非伝統的な関係を築いています。これらのマーケティング活動を追加することで、通常のアフィリエイトマーケティングの支出よりも、更に多くの支出を獲得することが可能です。

この巨大で、成長の速い市場を正しく理解することが重要です。主に、この成長は、パートナーマーケティングが、他のデジタルマーケティングチャネルと比較しても、非常に高いROIが獲得できる点が再認知されてきたことによります。

Forrester社のアフィリエイトマーケティング業界の予想によると、米国のアフィリエイトマーケティング支出は2015年から2020年にかけて年10%の成長を遂げ、68億ドルもの市場になると予想されています。

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2016年のIABとPwCのレポートによると、英国でのアフィリエイトマーケティングの支出は2015年で13億ポンドで、アメリカの1/4程度です。しかしながら、PwCのマーケティング支出における経済インパクト調査では、それ以上だと見込んでいます。PwCはアフィリエイトマーケティングによる支出は売上で177億ポンド、または英国のGDPの1%程度と見込んでいます。

アフィリエイトを経由した売上が大きい点は、パートナーマーケティングを通じて高いROIが実現できる点を示唆しています。同じPwCのレポートではROIが15対1に至るとの見方を示しています。これは1ポンドのマーケティング支出が15ポンドの売上を生むという見方で、極めて効率的なチャネルだと言えます。

― 誰がこれらの活動を管理するのでしょうか?企業が直接管理を実施するのですか?

歴史的に、企業はアフィリエイトプログラムの管理を、それぞれの地域別に、サードパーティのアフィリエイトネットワークにアウトソースしていました。これらのネットワーク企業が、アフィリエイトを見つけ、ブランドに代わってプログラムを管理します。

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しかしながら、企業はこのモデルから徐々に離れるようになり、テクノロジー企業との作業を好むようになりました。これらの企業の持つプラットフォームを経由して、企業(もしくはエージェンシーやコンサルティングチーム)がインハウスでパートナーマーケティングやアフィリエイトプログラムの管理を行えます。これは特にトップ企業の間で人気のあるやり方で、単一のプラットフォームでプログラムを展開し、グローバル且つ過去の履歴を含めた全てのパフォーマンスの管理が可能になります。

私たちの観点から見ると、このような変化を生むいくつかの要素があります。例えば、多くの企業がテクノロジーの進化によって、粒子データを活用するようになりました。企業が直接、パートナーとキャンペーンのパフォーマンスやカスタマージャーニーなどの顧客インサイトまでを管理できると、パートナーの活動を戦略的なビジネスゴールに合致させて業務を進めることができます。

テクノロジーを活用できると、比較エンジンやアプリパートナーのような以前はパフォーマンスを元にトラックしたり報酬を支払ったりできなかったような新たなパートナーとの関係を構築できます。これらのパートナーのプログラムを積極的に管理することで、企業は新たな顧客売上や既存顧客維持をサポートしてくれる主要パートナーとの関係を改善できます。

― モバイルウェブやアプリの増大はパートナーマーケティングに影響を与えますか?企業はこの変化にどのように取り組んでいるのでしょうか?

2016年は、モバイル及びモバイル広告が劇的に成長する年です。eMarketerによるとモバイル広告支出は1000億ドルにも及び、全体のデジタル広告市場の51%を占めるそうです。企業もまた、モバイル広告においてパートナーマーケティングのようなパフォーマンスマーケティング手法を適応することで、大きなリターンを得ています。

例えば、有料サービスへのリンクがあるネイティブアプリは非常に多くのトラフィックを誘導する可能性があり、有効なマーケティングパートナーです。最も適当な例が、アーティストとファンを音楽の発見を通じて結びつける世界中で非常に人気の高いShazamです。リンクからユーザーがダウンロードしたりコンテンツを購入したりといった関連サービスの利用が可能です。もしあなたが、デジタルコンテンツ業界のマーケターならば、Shazamは重要なオーディエンスと、モバイルデバイスからの関連収入を提供してくれます。消費者はApple WatchやAndroid Wearのようなモバイルデバイスを利用するため、マーケティングパートナーにとってのアプリによる機会はただ増える一方です。

― テクノロジーやビッグデータによって、デジタルパートナーマーケティングはどのような影響を受けましたか?どんな機会とチャレンジがあるのでしょうか?

データ活用及び洗練されたテクノロジーによって、デジタルパートナーマーケティング業界は成り立っています。しかしながら、プログラム上のパフォーマンスに対する透明性の欠如や、時代遅れなパフォーマンスを元としたモデル、多くの広告主が引き続き利用している古いテクノロジーなどが障壁となっています。

(アドエクスチェンジ、検索、ディスプレイなど)他のチャネルが「ビッグデータ」を活用し、オンライン広告市場を促進しているのに対し、伝統的なアフィリエイトマーケティングにおいては、昔からある静的なパフォーマンス計測によって、多くの場合コミッションが決定されます。データを活用し、パートナーマーケティングの支出を最適化したいと考える広告主は、徐々にExcelベースの古いデータプロセスの方法から、リアルタイムのプロアクティブな手法へと移行し、数字の整理に苦慮していた状況から抜け出し、広告へのフォーカスを高める動きを見せています。

広告主による優先決定や、データのフィルタリングなどの効果的な分析によって、企業は自社のデータの解釈及び分析を容易にできるようになり、効果的な決定に繋がります。そうは言いながらも、広告主にとってシステムから意味ある分析を引き出すためには、非常に多くの要素が存在しています。

広告主はレポートの粒度に気を配る必要があります。ラストクリックによる報酬のメカニズムは徐々に非効率なものと考えられるようになっており、企業は(コンテンツとのエンゲージメントや滞在時間といったような)多くの意味を持つデータポイントや、カスタマージャーニーに関わるインサイトにアクセスできるのが望ましいのです。

加えて、多くのソフトゥエアやサードパーティシステムを利用する広告主は、他のシステムでのデータ利用を有益に考える場合が多いです。レガシーへの投資が当たり前のように行われている市場においては、互換性は核となる強みと言えます。

予想分析や、マシーンラーニング、その他の企業の決定プロセスに変化を与えるようなテクノロジーには大きなチャンスがあります。これらのデータを活用することで、企業は過去の顧客の活動についてより優れた情報を管理し、将来的な行動を予想することができます。

データを蓄積することで、広告主は顧客の好みや商品のパフォーマンス、顧客セグメントに至るまで、様々なパターンを認知することができます。マシーンラーニングのアルゴリズムと予知モデルにより、広告主は顧客の好みに関しての商品カテゴリーをより適した形で行うことができ、より望ましい顧客からの反応を得ることができます。

企業、エージェンシー、パートナーの全てが顧客の細分化による効果を理解し始めると、コンバージョンはそれに応じて高まっていくでしょう。

― デジタルマーケティングの問題点である、信頼や透明度の問題はパフォーマンスを軸としたマーケティングチャネルにおいても同様に存在しますか?その場合、この問題にどのように取り組むべきでしょうか?

様々な広告詐欺が起こり得るオンライン環境においては、企業はいかに効率的、かつ倫理的に広告を行うべきかという質問に直面しています。パフォーマンスマーケティングチャネルやパートナーマーケティングにおいても、これらの問題は逃れられません。しかしながら、テクノロジープラットフォームの活用により、企業、エージェンシー、パートナーの間の信頼及び透明性の確保が担保されるべきで、これはどんなパートナーマーケティングやアフィリエイトプログラムであっても重要です。

テクノロジーの提供者が、パフォーマンス測定及びコミッション調整に関する透明性を確保することで、企業とマーケティングパートナー間の信頼を確保する役割を担うべきです。このような透明性によって、広告主とパートナーの関係は改善し、より利益の高い商品による顧客収入の向上に繋がるでしょう。

正確な測定結果をもたらすことに加えて、企業とマーケティングパートナーが信頼するプラットフォームを得ることで、システム上でのコミッションの管理が可能になります。企業はパートナーのキャンペーンのパフォーマンスを正しく理解し、必要に応じてコミッションの金額に変更をかけます。一方で、パートナーは信頼できる財務報酬を、自国の通貨で受け取ることができます。

パートナーの貢献度と報酬の直接的な関係を構築すると、ブランドとマーケティングパートナーの協力関係が生まれ、広告主にとって最も利益のあがる商品の促進に繋がり、結果的に両者に利益がもたらされます。企業側が高収益を得れば、パートナーにも分け前が渡ります。現状、パートナーマーケティングによる信頼、透明性、財務報酬の組み合わせにより、旅行、小売、ファイナンスといったブランドのトラクションは国内外に増加しています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。