無視できないデジタル化への対応
(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)
デジタル化は、多くの人々にとって多くの物事を意味する。デジタル機器の普及に伴い、デジタル化への対応が、いかにアナログの世界から抜け出すのかという点を意味するのは明確になっている。機械化、スクリーン、自動化、ロボット、AI等、未来は今だ、とも言えるポイントに私たちはいる。しかしながら、機械化が全てではない。Sprinklr社のCMOであるThomas Butta氏は、顧客第一の姿勢が最重要であり、デジタル化の根元にあるのは、いかにソーシャルメディアを通じて、ユーザーのエンゲージメントを引き出すかに依存する点について、ExchangeWireに語ってくれた。
全ての世界的な企業で、組織のデジタル化への対応が行われています。しかしながら、そのうちの80%は当初期待していた結果を果たせないままです。
ビジネスにおいて、長い間、多くのデジタルに関するギャップを目の当たりにしてきました。消費者は素早くデジタルテクノロジーを利用する一方で、企業がそれに追いつかないような状況です。デジタル化は何も新しいことではありません。
しかしながら、デジタルへの対応は、全ての人にとって重要な項目でありながら、それが何を意味して、どのように行われるべきかについての明確な基準はありません。私が考えるのは次のようなものです。
デジタル化の本当の意味
デジタル化とは顧客第一を意味します。どんな時であれ、全てのことにこの点は集約されます。スクリーンやデバイスのことではないのです。
顧客中心に考えることは全く悪いことではありません。過去の小規模のビジネスは、意味のある体験を顧客にもたらすことで確立されてきました。これらのビジネスが成熟するにつれて、より拡張性をもった対応が必要です。自動化、プロセス化、効率化などによって、顧客を重視した姿勢が忘れ去られてきました。また、組織のサイロも生まれています。企業は顧客一人一人にとってのサービスを提供しなくなっています。
現在では、多くの点が異なっています。今日のユーザーは、以前にない程にコネクテッドな状態にあります。彼らは自分達の声が影響力を持ちうることを知っています。そして彼らは自分たちの生活において、企業と生産的な関係を築いてききたい、と考えています。
企業はこの点への対応が必要で、「顧客第一」での行動が必要なのです。
進むべき方向性
顧客第一の企業に生まれ変わる必要性は、ソーシャルメディアの著しいインパクトによるものです。今日のソーシャルメディアは10年前には不可能な形での顧客との接点の持ち方を可能にします。この点が全てに影響を与えています。
ソーシャルプラットフォームの爆発的な人気により、ほとんどの顧客とのやりとりは、台本に従ったようなものではなく、非構造的で、個々の企業が管理できる範疇を超えています。企業とのやりとりは、写真、ポスト、コメント、チャット、ツイートといった形で行われます。これらのやりとりは企業と消費者の間で行われることもありますが、多くの場合、消費者の間で、それぞれの体験が語られています。
これらの情報の多くは、消費者の動向や、ブランド体験に関する非常な重要なもので、ソーシャルメディアの中に多くの情報が隠れています。これらの情報によって、ソーシャルは消費者を知る上で最も重要なメディアになっています。
ソーシャルメディアにより顧客とのエンゲージメントを確立することが、顧客第一の組織になるための第一歩です。
社内にチャンピオンを見つけ、権限を与える
あなたが組織を新しい時代に沿った形で作り変えたいと考えるならば、ソーシャルが変化の軸となり、そのための第一歩を踏み出す必要があります。
組織における機能的な変化を実現するためには、ソーシャルメディアチームに必要な人物を探すことが重要です。これらの「チェンジエージェント」はすでにマーケティングや、カスタマーサポート、分析などの分野で、最前線で働いていることでしょう。彼らは消費者の生の声やソーシャルエンゲージメントの価値を理解しています。彼らは、消費者は体験したことを決して忘れないことを理解しています。そして、全てのタッチポイントにおける体験の積み重ねによってブランドが成り立っていることも理解しています。
チェンジエージェントに、変化を引き起こす為の役割を与える事が、デジタル化を推し進めるための非常に良い一歩となるでしょう。如何に成し遂げていくのか?については次回にでもお話をしていきましょう。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。