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ラストクリックに固執しすぎな、APACのアドテクノロジー [インタビュー]

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

APAC地域のアドテクベンダーは、あまりにもラストクリックに固執しており、より意義ある消費者とのやり取りを無視している。

Adaraの国際販売担当副社長とアジア営業担当副社長であるAnn Reilly氏とJonathan Hardy氏によれば、さらに重要なのは、ラストクリックのアトリビューションは主要ビジネス指標に沿うものになっていない点である。

これら2人の企業エグゼクティブが、アジア地域のマーケターは、プログラマティックの確たるメリットを享受するためには何を変えなければいけないか、また、どのようにプログラマティック2.0が形成される見込みかを議論するために、Q&Aに協力してくれた。

-ExchangeWire:APAC地域のマーケティング担当者は、プログラマティックを取りいれるのが遅れています。これらの地域がプログラマティックを採用へ向けての障壁は何ですか?ヨーロッパ、米国、オーストラリアのように挑戦的するに足りないと考えられる理由があるのでしょうか?

Ann Reilly

Ann Reilly氏

Anne Reilly/Jonathan Hardy:米国・ヨーロッパ・オーストラリアのマーケティング担当者は、市場がより発展し、同質的なメディア市場にいるため、一般的に大きな既存データとプログラマティックのエコシステムを利用可能なため、早期適用が容易になっています。こうした機会は、APAC地域のマーケティング担当者にはまだ与えられていません。また、欧米市場と比較して、新たな機会を評価するにあたって、APAC市場は文化的により慎重である場合があるとも言えます。

しかし、環境は急速に変化しています。データプールは増大し、エコシステムは急速に拡大し、クライアントは利用可能な新たなプラットフォームや機会を検討し始めています。2015年4月には、eMarketer社は、APAC地域の7割のマーケティング担当者がプログラマティックを現状使用している、または使用する計画があるとの調査を発表しました。つまり、広がりつつあるのです。

-アドフラウド、ブランド保護、およびビューアビリティは、マーケティング担当者にとって今も重要な問題のままです。プログラマティックによってこれらが解決されるのではありませんでしたか?何を間違ったのでしょう?

プログラマティックが約束するのは、適切なタイミング、適切なメッセージ、最高の価格に、適切なユーザーを一致させるということでした。プラットフォームは、これを提供しようと取り組んできました。しかし、市場が成熟するにつれ、実行における問題も解決されなくてはならないと認識されるようになっています。ツールやベンチマークが進化し、プログラマティックの機会を提供していますが、これが新たな期待を産んでいると言えます。これは、何かを誤ったというのではなく、むしろ市場拡大時に生じる問題に業界が積極的に取り組んでいると考えています。

-プログラマティックの領域で、アドテクベンダーかまだ対応に失敗している点は何ですか?

最大の問題は、アトリビューションです。アジア地域ではラストクリックへ焦点が当てられすぎていますが、これは購入のパス上にある消費者との意義あるタッチポイントを無視するものです。ラストクリックアトリビューションはまた、新規ユーザーの誘導などのビジネス指標とも一致していません。現在のアトリビューションモデリングは複雑ですが、業界ではこれを容易にするために技術をより良く活用する方法に取り組んでいます。

一般的なデータや、他社と重複したデータを持つアドテクベンダーは、市場に数多く参入しています。これは、ブロードリーチには役立つかもしれませんが、マーケティング担当者は、自社の特定の産業分野での専門知識を必要としています。

-次の段階に進むため、プログラマティックについて議論されているのはどのような点でしょうか?

マーケティング担当者にとっての主要ビジネス指標と、どのようにプログラマティックがこうした目標達成の助けとなれるのか、という点から始めるべきです。マーケティング担当者は、まずデータソースを理解し、購入経路上のタッチポイントについてインサイトやパフォーマンスを向上させる為に、それらをどのように利用するかを考えるべきです。

-この事は、APACを議論する場合にどう変わる必要がありますか?

Jonathan Hardy氏

Jonathan Hardy氏

プログラマティックにおいて成功するための根本的な要因は、各地域を通じて変わりません。明確かつ簡潔な目標を掲げ、ビジネス指標を追跡し最適化する為、(複数の目標を持つ代わりに)複数の広告手段をもち、レポートを共有し、継続に追跡を行うことが重要です。

APAC地域が他と違うのは、人口や言語両方の面で、非常に断片化された地域だということです。プログラマティックの規模は国によって異なりますし、マーケティング担当者は、適切なタイミングで適切な消費者に適切なメッセージでの配信が実行されていることを確認するために、利用データを理解し、評価する必要があります。また、消費者の一部が他よりも広告をクリックしていても、マーケティング担当者は、そのクリックが必ずしも自社のコアビジネス指標に該当しているわけではない点を理解する必要があります。

-プログラマティック2.0をどのように説明しますか?

プログラマティック2.0はつまり、過剰な在庫への高速アクセスから、大規模に良好な在庫を得るのに変化することです。高品質データとデータ連結の使用が、プログラマティック戦略成功への鍵です。ビューアビリティがより厳密に測定されており、マーケティング担当者はプログラマティックへの投資からより多くのインサイトと分析を求めています。

-この次世代プログラマティック・プラットフォームを具体化するため、今日しなくてはいけないことは何でしょうか?

完全にプログラマティックの力を活用できるようになるためには、マーケティング担当者は、明確に自社のコアビジネス指標とターゲットオーディエンスを明確にした上で積極的なアプローチを取る必要があります。一つの鍵は、自社のプログラマティック戦略の中で使用されているデータの種類を理解することです。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。