×

Facebookが1日に10億ログインを達成、Criteoは初めて10億ユーロの売り上げを達成

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

11月4日にパフォーマンスマーケティングテクノロジー企業のCriteoが過去最高の結果を2015年9月30日に終了した第3四半期に関して報告した。CriteoのCFO兼副CEOのBenoit Fouilland氏がExchangeWireに対する独占インタビューで、イノベーションがどのようにリターゲティング広告費支出の成長を牽引しているか、また広告ブロッキングが差別化の機会となっているかについて語った。
 
 
また、Facebookが1日で10億ログインという画期的な成果を達成した後で、堅調な結果を報告している。

これに関してTeadsのJustin Taylor氏 (UK MD)、Generoのマネジング・ディレクターDarren Khan氏、Car Throttleの創業者でCEOのAdnan Ebrahim氏がそれぞれ、ExchangeWireに寄せてくれたコメントも、合わせて提供する。
 
 

Criteo史上初めて、売上が10億ユーロを超え、過去12ヶ月トレンド基調では11億ユーロに到達

財務ハイライト

– 2015年度第3四半期の売上は54%増加 (通貨の為替変動を考慮しない場合46%) し、2億9千9百万ユーロに達した。2014年度第3四半期は1億9千4百万ユーロだった。

– トラフィック獲得コストを除いた売上 (ex-TAC売上) は2015年度第3四半期に55%成長 (通貨の為替変動を考慮しない場合47%) し、1億2千万ユーロに達した。2014年度第3四半期には7千8百万ユーロであった。

– 2015年度第3四半期の純利益は5百万ユーロであった。2014年度第3四半期は、千百万ユーロであった。

– 2015年第3四半期の調整EBITDAは3千百ユーロで、58%の増加 (通貨の為替変動を考慮しない場合55%) の増加であった。2014年第3四半期では2千万ユーロであった。

– 2015年度第3四半期では、ex-TACグローバル売上の36%超を南米アメリカが占めた。

– 2015年第3四半期では、ex-TACグローバル売上の43%をEMEAが占めた。

– 2015年第3四半期では、ex-TACグローバル売上の約21%をアジア太平洋地域が占めた。

– ex-TACマージンは、2015年第3四半期では40.2%であり、これはこれまでの四半期同様。

Benoit-CriteoCriteo CFO兼副CEOのBenoit Fouilland氏 (写真) はExchangeWireとの独占インタビューで、第3四半期の結果を「とても堅調である」と表現、Criteoの「テクノロジーへの投資を継続して行う姿勢が結果に出始めてきた。」 とコメントした。Fouilland 氏はまた、イノベーションが既存顧客の成長を牽引した主力であると述べている。

「顧客の90%がマルチスクリーン・ソリューションを活用してくださっているのは喜ばしいことです」と共同創業者兼CEOのJB Rudelleは語った。「私たちの『ユニバーサル・マッチ』クロスデバイス・ソリューションがとても早いスピードで活用され始めていることに興奮しています」とも述べた。
 

事業ハイライト

– 2015年度第3四半期にCriteoの顧客は720社純増。顧客の維持率は90%超で維持されている。

– 2015年9月に、顧客の90%がCriteoのマルチスクリーン・ソリューションを活用していた。

– 2014年度第3四半期と2015年度第3四半期の両方で活用していた企業は支出を増やした。結果、同期比で同じ顧客からのex-TAC売上が21%超増加 (通貨の為替変動を考慮しない場合)。

– 9月の時点で顧客の2/3が非特定化CRMデータをCriteoと共有している。

– 1,500社超のCriteoの広告出稿顧客が、9月30日時点でダイナミックプロダクトアドを活用し、Facebookモバイルに配信している状況となった。

– 9月のex-TAC売上のうち40%近くが当社の強力なCriteoのダイナミック・クリエイティブ最適化プラットフォームを使用している顧客によりもたらされた。

Fouilland氏はExchangeWireに対して、次のように語る。「ミッドマーケット(※ExchangeWire.Jp解説:大手広告主とよばれる顧客層の次のレイヤーの広告主層)が、今後の戦略的な成長領域であり、現在この領域で、多くの新規顧客を獲得しています。」同氏はまた、「当社は過去数四半期にわたり企業として速いスピードで成長してきました。企業規模を考えると、私たちはとてもグローバルな企業であるといえるでしょう。」とも述べた。

夜な夜な、Fouillandの頭を悩ませることとして、彼は「適切な人材を探し続けることが非常に重要です。」と述べた。また、「適切なペースで実行していくこと。」も、パフォーマンスマーケティング企業として成功し続けるために大切であると述べた。

広告ブロッキングが、広くデジタルマーケティング産業で脅威としてみなされている。消費者は広告をブロックするソフトウェアをインストールしている。広告が大量に表示されると顧客体験が台無しになる。広告ブロッキングを業界に対する脅威として考えているかについて質問をすると、同氏はCriteoの市場における立ち位置に関して前向きであった。同氏は「ユーザーは広告に邪魔されたくないのです。ただ私たちのビジネスに関していえば、これとは真逆であり、邪魔にならない関連性の高い広告をユーザーに提供しています。私たちはエンゲージメントが生じた時のみ支払いを受けている顧客の利益にも適したビジネスモデルなのです。お客様が苦情を述べている現状を、私たちは市場における差別化の良い機会だと捉えています。正しい専門技能があるプレイヤーが違いを生み出せると思っています」とも述べた。
 
 

1日10億ログインという画期的事件を達成した後に、Facebookが堅調な結果を報告

同じ日、Facebookも2015年9月30日までの四半期に関して財務成績を報告した。「とても良い四半期で多くのことを成し遂げた」とFacebook創業者兼CEOのMark Zuckerbergは語った。「コミュニティのために、世界を繋げるために、長期的なイノベーションと投資に注力している」と述べた。
 

財務ハイライト

– 2015年第3四半期では、モバイル広告収入が昨年度同期よりも増加し、広告収入の約78%となった。2014年第3四半期では66%であった。

– 2015年第3四半期の設備投資は7億8千万米ドル。

– 2015年第3四半期末の現金および現金等価物、有価証券の残高は$150億8千3百万米ドル。

– 2015年第3四半期のフリーキャッシュフローは$14億1千万米ドル。
Screen-Shot-2015-11-04-at-17.29.05参照:Facebook PDFアイコン
 

事業ハイライト

– 1日のアクティブユーザー (DAU) – 2015年9月の平均DAUは10億1千万で、昨年同期比で17%増。

– モバイルDAU – 2015年9月の平均モバイルDAUは8億9千4百万で、昨年同期比で27%増。

– 月間アクティブユーザー (MAU) – 2015年9月30 日時点でMAUは15億5千万。昨年同期比で14%増。

– モバイルMAU – 2015年9月30日時点でモバイルMAUは13億9千万。昨年同期比で23%増。

グローバルでは、Facebookのユーザーあたりの平均売上 (広告から) は2.83米ドルであるが、地域により差が大きい (下記参照)。広告収入のほとんどが米国とカナダから来ている。
Screen-Shot-2015-11-04-at-17.34.36参照:Facebook PDFアイコン
 
Justin-TaylorTeadsのJustin Taylor氏 (UK MD) (写真 左) は「Facebookはまた堅調な四半期を見せた。1日10億ログインという画期的な成果を成し遂げただけでなく、継続的に売上を増加させている。特にビデオだ。IABの数字では、2015年上半期でUKの総ビデオ広告支出が2億9千2百万ポンドに達しようとしている。Facebookが、この拡大しつつあるパイの大きな分け前を手に入れようとしているのは明らかである」

「しかし、ブランドやクリエイティブを磨き上げてきた広告主にとっては、ソーシャルメディアはまだ広告を出す場所として一流ではない。ユーザーが生み出すコンテンツに依存してしまっている。FacebookがInstant Articlesを通じて、メディア企業に対してサイトに直接コンテンツを出すよう促してきているが、まだまだ最良の文章とジャーナリズムは一流のニュースサイトが主流のソースである」

ブランドはクリエイティブを単に多くの人に見てもらいたいと考えているのではなく、適切な文脈で適切な人々に見てもらいたいのだ。そういった理由で多くの顧客がソーシャルメディア上のキャンペーンと一流出版社のサイト上のビデオ広告スポットを組み合わせている。アウトストリームビデオ広告フォーマットの導入によって、こういったサイト上に新たに一流のインベントリーが生まれ、需要を満たすことになる。そして、これは規模と安全性を求めるブランドにとって人気の選択肢であり続けるだろう。

darren音楽ビデオとブランドビデオの制作会社であるGeneroでマネジング・ディレクターを務めるDarren Khan氏 (写真 左) は「Facebookの好調な結果は、広告利用の大きな増加が部分的にはInstagramのおかげであることを示している。

Instagramはより幅広い企業に対して広告出稿の門戸を開いた。モバイル広告収入が大きな役割を果たしており、これは広告クリエイティブセクターに対してより大きな意味合いをもっており、とても胸が踊る思いがする。マーケターにとり、リッチメディアは明らかに注目すべきものであり、ビデオの需要増は映像制作者の仕事が増えることを意味する。トレンドについていくために、マーケティング予算は拡大するだろう。ブランドはまた、質の良いコンテンツを効率良く供給する方法を見つけるだろう。これはつまり、こういった需要に対応するためにデジタル空間で革新的な技術プラットフォームがたくさん生まれていく可能性を意味する」

Adnan-Ebrahim-Car-Throttle車専門誌のCar Throttleを発行するCar Throttle社の創業者でCEOのAdnan Ebrahim (写真 左) は「Facebookの第三四半期での好調な業績はInstagramのマネタイゼーションとビデオの力によるもののようです。プリロールとロングフォームフォーマットが広告主に提供されました。これらはフィード中に現れるインフィード広告で目立ちます」

「現在180万のファンがいる私たちCar Throttle自身の調べでは、ビデオ投稿はリンク投稿よりも6倍のリーチがあり、画像投稿よりも3倍のリーチがあることが示されています。これは、Facebookがビデオコンテンツを好んでいることを示しています。Facebookのビデオビジネスは、YouTubeの競合として成長するでしょう。2015年10月の(私たちのコンテンツの)YouTubeのビデオ視聴数は1千万でしたが、一方でFacebookのビデオ視聴数は1億8千6百万でした。

「しかし、Facebookがトラフィックのソースとして貴重ではあるものの、広告出稿会社はトラフィックを牽引するためにFacebookに頼りすぎてはいけないでしょう。コンテンツの過剰供給によりリーチは必然的に下がってしまいます。したがって、広告主がトラフィックを維持し増やす唯一の方法はリンク型投稿のクリックスルー率を上げることです。これはFacebookがサイト滞在を伸ばす為にサイトを非常に魅力的にしていることを考えると、難しい仕事ではありますが。」
 
 
 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。