データフィードが変える広告の未来~多次元データベースとは?(第2回)~マイクロアド~ |WireColumn
第1回目ではデータフィード広告の中でも主に、リターゲティング広告について仕組みや実施意義等をお伝えさせて頂きました。今回はそれに加えて今後、データフィードの扱いがどのようになっていくであろうかについて、またあらゆるデータとの連携の可能性について、お伝えさせて頂きます。
PLA(Product Listing Ads)について
前回も少し触れましたが、今日データフィードを扱うEC業者のオンラインプロモーション施策において、無視することができなくなってきているPLAの仕組みについて、少しお話させて頂きます。
ユーザーがGoogleで興味がある商品等を検索した際、検索窓の直下に配信されるテキストの広告があり、その横に「画像+価格」で異なるショップで同じような商品が並んでいる広告枠がPLAで配信される枠です。(※下図赤枠)
PLAは、検索ワードに対して適した商品が画像付きで表示されるのが特徴であり、その配信はデータフィードを活用することにより可能となります。よく勘違いをされやすいのが、PLAは検索ワードを買うリスティング広告とは異なり、検索ワードに対してフィードの中のマッチした商品が配信されるという点です。
PLAの入札はキーワードに対して行うのではなく、フィードに登録してある「商品カテゴリ」や「商品」に対して行います。以下に簡単な例を挙げておきます。
(例)
・リスティング広告
検索ワード「Tシャツ 通販」→この検索ワードに対し「50円」の入札で配信。
・PLA
検索ワード「Tシャツ 通販」→このワードにマッチする商品がフィードにあり、Tシャツカテゴリに「50円」の入札
PLAは、特定の検索ワードにマッチングさせた広告を配信できるのではなく、検索ワードとフィードの内容とのマッチングをさせて配信となります。Tシャツを扱っているのにもかかわらず商品名や商品説明にTシャツという文言がなかったり、商品カテゴリがTシャツになっていなければ、入札金額を高く設定しても、広告は配信がされないという事が起こります。
PLAの最大の利点は、検索して何か商品を探している能動的なユーザーに対して、直接自社の商品を広告によりアプローチできる点です。そして様々な課題を解決する施策を打つ事が可能です。
例えば、「商品を満遍なく売りたい」と言った課題に対しては広告を打たなくても売れる人気商品は消極的に入札をし、あまり人気がない商品の入札を積極的に行う事で偏りなくユーザーにアプローチできます。
他には、「広告施策のROASを改善したい」等の課題に対しては高単価商品の入札を積極的にする事でユーザーの購入単価を上げるきっかけが作れます。
オンライン広告でのユーザーへのアプローチ方法は、フィードを活用し始める事で大きく変化しました。PLAに関しても2012年頃に国内でリリースしてから大小様々な広告主が活用しています。
フィード広告市場は順調に拡大してきていますが、今後はただフィードを作って、入稿して配信する、というような活用の仕方ではなくどの商品をどのユーザーに、どのタイミングでアプローチするかが重要になってくると私は思っております。
ユーザー階層別によるフィード活用
では、データフィードは今後どのように扱っていくべきなのでしょうか。まだ業界内で一致した明確な答えは導き出される過程ではありますが、Web広告運用による知見を用いた私なりの考えを共有させて頂きたいと思います。
ユーザー層を下記の図のようにカテゴライズし、大量の商品を持つEC業者がどのようにコミュニケーションをとるべきかを考えてみます。
まず、①の一度来訪したユーザーに対して。前回の掲載で説明したダイナミックリターゲティング広告がマッチします。このカテゴリーのユーザーに対しては、後述する②や③のユーザーに対しての施策により来訪したが購入には至らなかった商品とレコメンド商品を配信する事になります。
次に②の検索して商品を探しているユーザーに対して。この階層はPLAでの配信になります。
欲しい商品を検索する、等の能動的なアクションをしているユーザーに対してなのでアテンションは良い事を前提にEC業者が推したい商品を配信可能です。前述の「高単価」の商品を優先的に配信したり、その他KPIに合わせて表示させる商品を選んで配信できます。
そして③はまだ顧客のサイトには訪れていない新規ユーザーです。ただ恐らく顧客の商品には興味があるであろうユーザーに対して。このようなユーザーにはなるべくアテンションの高い商品を表示させ、サイトへ来訪させる事を目的とします。例えば、「送料無料」「セール中」「低単価」等の商品を選び、広告を配信する方法が適しています。
配信手法としてはダイナミックオーディエンスターゲティング、アフィリエイト等が適しています。
このように、ユーザーのカテゴリを分けて考えると、フィードを使う中でも様々な配信手法が考えられます。
ユーザーデータとデータフィード
それでは最後に、ユーザーデータとデータフィードとの連携に関して、特にオーディエンスターゲティングでの活用をメインにお伝えします。
Web上での行動履歴からユーザーそれぞれが「何に興味がありそうか」という推測を立てそのユーザーにマッチした広告を配信する手法がオーディエンスターゲティングです。
オーディエンスターゲティングはまだサイトに来訪していないユーザー且つサイト毎に興味がありそうなユーザーをターゲティングするので、ECサイト事業者が求めている「新規顧客」はこのターゲティング方法でアプローチする事が可能です。
オーディエンスターゲティングで重要なのは、ユーザーの精度です。例えば、服の購入を検討しているユーザーはファッション情報のサイトを訪問する事が多いですが、同時に今度行く予定の旅行の情報サイト等を閲覧していたりと、1つの興味に絞られているとは限りません。
しかし昨今ではコンビニエンスストアでの購入履歴データなど、リアルでの購買データを活用したターゲティングが可能です。購入時に使ったポイントカードから買った商品のデータをWeb上に蓄積できます。オーディエンスユーザーの精度は、この購買データとWebでの行動履歴データを紐付ける事でより高めていく事が可能です。
例えば「朝かならずコンビニでコーヒーと新聞を購入する、男性ファッションサイトを良く閲覧するユーザー」等です。恐らくこのユーザーはおしゃれなビジネスマンであろう事が推測されます。
このようなデータを複合的に分析し、オーディエンスのペルソナをより明確にしようと進めているデータベースを、弊社では「多次元DB」と呼んでいます。
ではこの多次元DBに対し、データフィードをどのように活用すべきかを例を出しつつ説明します。
例えば先ほど例に挙げた「朝かならずコンビニでコーヒーと新聞を購入する、男性ファッションサイトを良く閲覧するユーザー」に対してはファッションECのフィードの中でも「フォーマル」や「少し高額」な商品を配信した方が良さそうと考えられないでしょうか。逆に「大学生」等には「カジュアル」や「低額」の商品の方がアテンションは良さそうです。
今まではダイナミックオーディエンスターゲティングと言っても、例えば売上げランキングを商品リストに出す等しか手がなく、EC業者が最も獲得すべき層(オーディエンスユーザー層)に対して適切な広告が打てていなかったのが現状です。
ですが上記のように、ある程度属性が特定されたユーザーに対しそのユーザーに合う商品を出す事で獲得効率は高められると考えています。
そしてオーディエンスターゲティングはフィードを活用する事で更に進化した配信が可能です。
広告クリエイティブから見たオーディエンスターゲティング広告の未来
前述したGoogleのPLAでは、Googleが決めた商品属性に自社の商品を当てはめてフィードを作成する必要があります。これは検索ワードに対し「複数の広告主の商品」が配信されるからです。フェイスブックのダイナミックサービスもGoogleの属性を利用して配信が可能です。
オーディエンスターゲティングでも同様に、広告主が活用しているデータフィードを集約し、多次元DBでユーザーが本当に何を必要としているかを分析できれば、広告主とユーザーのコミュニケーションは深まります。例えば「朝かならずコンビニでコーヒーと新聞を購入する、男性ファッションサイトを良く閲覧するユーザー」に対してファッションに興味があるので「アウター」、恐らくビジネスマンなので「ネクタイ」、少し物へのこだわりを刺激する「万年筆」等、1社ではなく複数の広告主の商品が出せる事がダイナミックオーディエンスターゲティングでは理想の形ではないかと考えています。
この実現には、様々なデータの集約・分析・複雑な仕組みを要するのでそう簡単ではないですが、広告主がユーザーに対して最適な商品を提案するアプローチが出来る未来は近づいていると私は思っております。
様々なデータを組み合わせる事でユーザーが本当に興味を持っているもの、必要としているものが見えてきます。Web閲覧履歴、Web購入履歴、店舗購入、行動領域、分析できるデータの幅は広がる一方で、それらの分析は広告主にとってもユーザーにとっても今後重要なファクトになると考えています。そして、データフィードは多次元DBの情報元の一つなのです。
この度、マイクロアドではデータフィード領域により力を入れるため、データフィード広告マーケティング専門の子会社「株式会社MICROAD DFs」を11月11日に設立致しました!
BLADEDynamicのリリース時からデータフィードには携わり、その可能性を感じてデータフィード事業部を立ち上げた自分もスタートアップメンバーとして関わっております。
新会社ではデータフィードの作成・加工における最適化から、データフィード広告の運用に関してもトータルでサポートする機能を持っておりますので、国内・海外でのインターネットマーケティング実績を活かし、国内拠点、海外現地法人と連携しながら市場の拡大に貢献すると共に、フィード広告の未来を切り開いていきます!
ABOUT 井上 茂樹
株式会社MicroAd DFs 取締役
1985年11月12日生まれ、奈良県出身。
2011年株式会社マイクロアド入社後、新規顧客開拓の営業に従事。
2012年クォーターMVPを2Q連続で獲得、2013年セールスリーダーに昇格。
CPA領域をメインとするグループで2年のリーダー活動中、BLADE Dynamicの立ち上げチームにジョイン。
2015年データフィード事業部の責任者として現在活動中。