Google&Facebookと真っ向勝負!ついに動き出した米国テレビ広告業界の"デジタル"化
by Global Adtech on 2015年10月30日 in ニュース
デジタルへの広告予算移行が止まらない中、ついに米ケーブルテレビ最大手コムキャスト(Comcast)が動き始めました。同社の持つセットトップボックスとケーブルテレビ加入者によって利用されている同社ストリーミングアプリから得られる視聴データのライセンス提供に関して、ニールセンや大手テレビネットワークと交渉を進めているとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えています。
画像:TV Ads Are About to Get Personal With New Targeting Tools - Bloomberg Business
Magna Globalによれば、2015年のテレビ広告予算は昨年比3.5%減の633億ドル、一方のデジタル広告は17%増の577億ドルになると予測されています(上画像参照)。また、Magna Globalは2017年までにデジタル広告がテレビ広告の予算を上回ると見ています。
この状況に対し、ブルームバーグは先月末、NBCユニバーサル、ターナー・ブロードキャスティング、バイアコムといったテレビ広告業界の大手が、セットトップボックスのテレビ視聴データや、クレジットカードデータ、オートモービルデータなどを利用し、適切なオーディエンスにターゲティング広告を届けられるようにすることで、GoogleやFacebookといったデジタル広告大手と真っ向勝負を仕掛け始めていると伝えていました。
それに続く形で、先週火曜日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、コムキャストが同社の持つテレビ視聴データ提供を開始するべく動き出していることを伝えました。コムキャストはニールセンを始めとするオーディエンス計測会社、コムキャスト傘下のNBCユニバーサル、ウォルト・ディズニー・カンパニーのESPNやターナー・ブロードキャスティングといったテレビネットワークと、データ提供のライセンス契約に関して取引および協議を進めています。
ここ数ヶ月間の間で、コムキャストはニールセンによる1億ドルでの独占的ライセンス契約の申し出を断ったと言われていますが、両社は現在も他の形でのパートナーシップの可能性をさぐっているようです。
数十年の間、視聴率調査といえばニールセンでしたが、そのパネル調査数は25,000世帯。一方のコムキャストは全米で約1,800-2,200万世帯の受信契約者を抱え、そのうちの約1,200-1300万世帯がより詳細な視聴データを集めることのできる高度なセットトップボックスを利用していると見られています。
「高度なセットトップボックスのデータによって、プレミアムなテレビ広告在庫のマネタイズを改善できるでしょう。広告予算がオンラインに流れたのは、デジタルの計測とターゲティングが優れているからで、テレビ広告はどちらも大きく遅れをとっています。」と語るのは、Starcom MediaVestの広告バイイングのエグゼクティブVPであるTracey Scheppach氏。
セットトップボックスによるデータは全人口をカバーしているわけではなく、また誰が実際に見ているのかや、OTT(ブロードバンドインターネット経由で見る動画サービス)が利用されているのかがわからないといった批判もありますが、テレビ視聴データのポテンシャルが非常に高いことは間違いありません。
コムキャストは現在進行形で、料金およびテクノロジーを含めたデータ戦略を練っているようですが、これからの同社の動きがテレビ広告業界にもたらすインパクトは計り知れません。
参考:
Comcast Seeks to Harness Trove of TV Data - WSJ
TV Ads Are About to Get Personal With New Targeting Tools - Bloomberg Business
Comcast Finally Looking To Share Its Valuable Set-Top Data? 10/21/2015
Comcast reportedly in talks to sell set-top data - FierceCable
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編集長 八田 浩(Hiroshi Hatta)氏 株式会社オプト 取締役
2004年株式会社オプト入社。電通との資本業務提携において 協業責任者として同社へ出向。
オプト帰任後、広告代理事業に加え、アドテク事業、動画事業、オムニチャネル事業のメディア/商品開発を担当。
2015年4月より現任。