-若年層から進行する動画視聴のデジタルシフトとテレビ離れ-NHKとサイバーエージェントの調査から改めて浮き彫りに
ユーザー動画視聴のテレビからデジタルへのシフトが若年層から進んでいることを示唆する調査結果を、NHK放送文化研究所が7月、サイバーエージェントが8月にそれぞれ公表した。
調査方法はそれぞれ異なるが、いずれの調査結果からも「若年層からのテレビ離れ」が、今回改めて浮き彫りとなった。
サイバーエージェントは、全国の15歳~69歳の男女30,000人を対象にテレビ、PC、スマートフォン3ヶ月あたりの平均視聴頻度を調査した結果を公表した。
調査手法はインターネット調査によるものであり、調査期間は2015年6月9日から6月11日。
調査結果の一部であるメディア別動画接触率に関する結果を見ると、1週間のうち週一回以上、接触している「動画メディア」に関する質問の回答結果からは、テレビへの接触率が最も高いのは60代で93%であり、年代層が下がるにつれ低下しており、10代(15才-19才)では85%となっている。テレビへの接触率は、どの年代でも依然として高水準であるが、若年層がより接触率が低いことが示されている。
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<出典:サイバーエージェント>
次に、NHK放送文化研究所が7月に公表した(PDF)「日本人とテレビ 2015」調査結果 について。こちらも調査結果の一部を抜粋して紹介する。
同調査は全国16歳以上の男女3600人を対象に実施されたものであり、調査手法は配付回収法を採用している。調査期間は2015年2月27日から3月8日。
まず、ふだん1日にテレビを見る時間についての年代別回答結果のうち「ほとんど、まったく見ない」(下記グラフグレーの箇所)の割合が、10代を除くと若年層ほど大きくなる傾向がみられる。
<出典:NHK放送文化研究所>
また、テレビへの毎日の接触率についても、類似した結果となっており、20代~60代にかけては若年層の接触率が低く、2010年の前回調査時の接触率とのマイナスかい離が大きい傾向がみられる。
<出典:NHK放送文化研究所>
次に、インターネットで動画を見る(「毎日のように」、「週に3~4日ぐらい」、「週に1~2日ぐらい」、「月に1~2日ぐらい」を合わせた)動画視聴者は、50%と全体の半数であり、「テレビよりインターネット動画のほうが面白いと思う」ことがある人(※)は27%(動画視聴者以外も含めた全体の割合)、「時間があるときは、テレビよりも動画のほうを見る」ことがある人は17%(同上)であった。
(※「よくある」、「ときどきある」を合わせた割合)
これら、“テレビよりも動画”に対する嗜好性が高い回答者は、やはり若年層の割合が高いことが結果として見て取れる。
<出典:NHK放送文化研究所>
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。