YouTube、サードパーティーDSPへの動画広告インベントリーの開放を年内で終了
広告主は来年以降サードパーティーのDSPを通してYouTube 動画広告の購入が出来なくなる。Googleは、現行のYouTube販売形態を見直し、これまで外部のDSPにDobuleClick AdExchangeを通して行っていたYouTube動画広告インベントリーの開放を、年内で終了することを、ブログで明かした。
このトピックスに関して欧米メディアや業界関係者の間では大きな反響を呼んでいる。
同社によると、来年以降のYouTube動画広告の買い付けは、Googleによる直接販売、あるいはGoogle Adwords、またはGoogle自社DSPのBid Managerを通してのみ可能とするとのことだ。その理由として、同社はYouTube動画広告フォーマットや販売チャネルの新たな開発に集中することを挙げている。
今回の決定そのものが業界に及ぼす経済的なインパクトは限定的であるようだ。実際、YouTubeにとりサードパーティーDSPからの動画広告の売上は、5%程度にすぎないようであるし、グローバル大手DSPの取引総額に占めるYouTubeの割合は一部に限定されているとの報道もみられる。
だが、グローバル大手DSP各社は現在広告主に対して提供している動画広告の新たなバイイング先の開拓を含め、今後の戦略を見直す必要に迫られそうだ。
今回の決定は、Googleが作り上げたオープンなマーケットプレイスにおいて、将来サードパーティーのアドテクベンダーにより大きな影響が及ぶカードを切る可能性をあるということを、改めて業界内外に対して知らしめられたということや、現在Googleを中心に構築されているディスプレイ広告のエコシステムに関する様々な議論を呼び起こした点においても、大きなトピックスである。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。