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ライオンがマーケティングプラットフォームとしてプライベートDMPを構築、新たな生活情報メディアを開設

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(ライター:柏木 恵子)

ライオンは、生活者の変化に対応したコミュニケーションを実現するため、マーケティング基盤としてのDMPを構築し、新生活情報メディア「Lidea」を開設した。Lideaは、LionとIdeaを組み合わせた名称で、「くらしとココロに、彩りを」をコンセプトとしたスマートフォンに最適化された会員制サイトである。

 

 

くらしに役立つ情報サイトで消費者とのコミュニケーションを図る

 

Lideaは、毎日のくらしに役立つ情報と、毎日が楽しくなるような生活エンターテインメントコンテンツを提供する生活情報サイトである。最近増えているスマートフォンやタブレットで見やすいように設計され、会員情報を元に、トップ画面にはユーザーにとって関連性の高いコンテンツが表示される。役立つ情報は検索サイトからの流入を、エンターテインメント系コンテンツはソーシャルメディアでの拡散を狙ったもので、動画も積極的に活用している。

 

役立つ情報を提供するのは「くらしのなるほど!コンテンツ」で、ライオンの快適生活研究所やLION暮らしのマイスターが、お洗濯、オーラルケア、ヘルスケアについての疑問や悩みに答える。また、ユーザーからの疑問にも答えていく。「いろどりプロジェクト」では、現代科学を駆使して「おばあちゃんの智恵」として言い伝えられる家事情報を暮らしのマイスターが徹底検証する「智恵袋LABO」や、なかなか聞けない身近な疑問などを調査する「くらしのなるほど調査隊」などがある。他にも、家事や美容、マナーなどの検定、保育園レシピなど、今後もコンテンツが拡充される予定だ。

 

 

ライオンのデジタルマーケティング戦略

 

ライオンは、これまでもコーポレートサイト以外のブランドサイトや情報サイトを多数運営している。そのなかで、新たな生活情報サイトを立ち上げた背景には、生活者の変化やコミュニケーションの質的変化がある。

 

博報堂の調べによると、1日のメディア接触時間で見ると未だにテレビが多いものの、PC、スマートフォン、タブレットの合計はテレビを上回るようになっている。特徴的なのは、ソーシャルメディアの急成長で、SNSでシェアされたコンテンツがよく見られるという現象が起きている。また、デジタルメディアの接触時間トップは、検索サイトである。重要度を増してきたデジタルメディアについて、検索エンジンとソーシャルメディアからの流入を想定したサイト設計が必要となっているのである。

 

一方で、ライオンのデジタルマーケティングについては、生活情報サイトを多数運営しているが故に、逆に情報が散在、重複しているという課題があった。これを整理統合し、見やすく回遊しやすい構造にするとともに、「説得する時代」から「共感する時代」へ変化が遂げるコミュニケーションに対応する。今後は、一方通行の情報提供だけでなく、消費者とのコミュニケーションの接点の場としてLideaの開設へ至った。

 

ライオンのデジタルマーケティング全体構想では、

 

・オウンドメディアの再構築

・SNSなどアーンドメディアを活用した生活者とのコミュニケーション

・ペイドメディア(ネット広告)効果的運用

・社外パートナーと連携

 

といった取り組みを進めており、これらを支えるプラットフォームとしてDMPを導入した。また、自社サイトで情報を発信するだけでなく、それ以外のサイト(メディア、生活情報サイト、メーカーのサイト、ECサイトなど)にも情報を積極的に出すことにより、自社サイトへの接触機会を増やすとしている。

 

 

マーケティングプラットフォームのテクノロジー

 

DMP構築は、オンライン、オフラインにかかわらず、データを統合するための取り組みである。これまで、いつどのような商品の広告を見たか、どのような場面で検索をして情報を得たか、どのような商品を実際に購入したのかは、テレビの視聴率やウェブのアクセス解析データ、POSデータにより把握できていた。しかし、それぞれのデータは分断されており、影響度、相関、効果はブラックボックス化していた。DMPの構築は、これらのデータを取り込むと同時に、第三者データも統合したうえで分析し、PDCA精度を高めた状態で1to1に近いマーケティング施策を打つためのものだ。また、必要情報をリアルタイムで見える化することで、営業の施策や意思決定のサポートツールとして活用していくという。

 

DMPはロックオンの「アドエビス」をコアとしたプライベートDMPで、フリークアウトの提供するDSPサービス「FreakOut」、シナジーマーケティングの提供するクラウド型顧客管理システム「Synergy!」及び、顧客分析データ「Societas」、データアーティストの提供するLPOツール「DLPO」と連携している。これにより、ユーザーの行動履歴や態度変容を分析し、広告配信、メール配信、コンテンツ配信までをシームレスに行える統合基盤を実現した。

 

DMPにより、さまざまなデータが統合され、出口はマルチに展開される。ユーザーのインサイトを分析して可視化、グルーピングし、コンテンツの配信を最適化する他、これまでは全て同一内容だったメール配信をターゲットごとに最適化していく。また、分析に基づいて広告を配信することにより、ユーザーにとって関連性が高く、ノイズにならない広告配信を実現する。近い将来には、取得したデータや分析をオンライン施策だけでなく、販売店への情報サポートにも利用したいとしている。例えば、コンテンツのエリアごとのアクセスデータや、天気によるアクセス変化などを売り場の参考にするようなことを検討している。

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(編集:三橋 ゆか里)

 

 

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。