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CMO 2.0: デジタル時代に求められるCMOの役割とは? [アドテック東京2013レポート](Day1 後編)

(ライター:中村研太)

ベッキー・セイガー氏_マーケティング・ストラテジスト 今回のレポートでは、世界的なマーケティング・ストラテジストであるBecky Saeger(ベッキー・セイガー)氏がスピーカーを務めた初日のキーノート後半の模様をお伝えする。

 

 

 

 

 

 

 

キーノート2デジタル時代のCMOとは?~CMO2.0~」

ベッキー・セイガー氏
マーケティング・ストラテジスト/アドバイザー

 

デジタルマーケティングにおけるRTBやDSP、トレーディングデスクなどの機能や手法が新しく生まれ、「マーケティング」のあり方は完全に変わった。CMOというポジションは、1980年代までこの世に存在しなかったが、現在では全米の23%の企業が取り入れるようになってきている。しかし、CMO 1.0とも言うべき従来のCMOの取り組みにおいては、分析手法やテクノロジーなどが確立されておらず、直接的な成果につなげることが難しい状況にあった。2006年におけるCMOの平均在任期間が2年以下だというデータがこれを如実に示している。

 

近年、CMO2.0の動きが加速化することにより、この状況が変化し始めている。本日のキーノートでは、このCMO2.0促進に必要なものについて最新の事例に基づいてお伝えする。

 

後編 

 

 

データアナリティクスが求められるCMO2.0の役割

 

まずCMOの役割を考える上では、マーケティングの役割を再定義することが重要だ。

マーケティングの役割は、会社のビジネスモデルによって異なる。ビジネスの目的に対して「マーケティング部門」がどう貢献するかを明確にすることで、経営に対して説明責任を持ち、成果につなげることができるようになる。

 

バズワードである「ビッグデータ」への取り組みも重要だ。テクノロジーの進化により、いろいろな切り口で取得されたビッグデータを扱うことは今やマーケティングにとって不可欠だ。そういう意味で、CMO2.0は、Analytics2.0と置き換えられるかもしれない。CMOには、「アート」と「サイエンス」の両方の能力が求められるようになっている。

 

この現代のCMO2.0の役割を踏まえて、CMOとしての取り組みを成功に導くための7つの鍵が存在する。

 

1.マーケティング組織を変えること

スキルセットの多様化により、今日ではマーケティングに臨む体制が重要性を増している。社内だけのリソースで全てを賄うわけにもいかないため、代理店やパートナーシップなどを適切に活用することが求められる。

 

2.マーケティングの統合を推進すること

マーケティングには、商品開発からプロモーション、サイト制作など、社内のあらゆる部門が関わる。各部署の足並みを揃え、効果的にマーケティングを進めることが必要だ。

 

3.ビッグデータとアナリティクスへの門戸を開くこと

テクノロジーの進化により、マルチチャネルマーケティングに対する分析が可能になってきた。これにより、施策へのROIに関する説明責任もより求められるようになる。

 

4.経営幹部(C-suite)として会社の経営に寄り添うこと

マーケティングのROIが見える化されることは、マーケティングの重要性が増すとともにその成果に対する責任が増すことを意味する。CIOとの連携も重要になってくるだろう。

 

ベッキー・セイガー氏_マーケティング・ストラテジスト_25.最新のカスタマーエクスペリエンスについていくこと

テクノロジーの進化は、ユーザエクスペリエンスにも変化をもたらしている。ユーザーの企業に対する期待値も高まっており、それに応え続けることが必要だ。

 

6.カスタマーインサイトに届くブランディングを行うこと

ブランディングに重きを置いたマーケティングも進化を遂げている。今後は、ウェブを使った適切なコンテンツで、いかにユーザーの「感情」に訴えかけらえるかが鍵を握るだろう。

 

7.継続的に実践し、テストし、改善を続けること

ユーザーに向き合うためには、継続的にユーザーテストを実施することが重要である。

 

 

これらのポイントを実践することで、CMO2.0 として企業のマーケティングにおける成功への道筋が見えてくるはずだ。

 

 

 

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。