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GumGum×TimeTree対談―ユーザーの「今」と「未来」に基づくターゲティングで切り拓く新境地[インタビュー]

ウェブとアプリで広告の配信面こそ異なれど、Cookieレス、独自の広告クリエイティブ、ブランディング広告といった共通項を多く持つGumGumとTimeTree。オンライン広告の新境地を切り拓く両社の対談をお届けする。

(Sponsored by GumGum Japan)

 

今と未来のモーメントを捉える

 

奥村氏:今回は、まだ具体的なお取引こそないものの、共通点を多く有するGumGumとTimeTreeの対談の機会を設けさせていただきました。まずは各自の自己紹介から始めましょう。

 

新保氏: カレンダーシェアアプリの運営・開発を行う株式会社TimeTreeにて執行役員 マーケティングソリューション本部 本部長を務める新保 周と申します。約6,000万人のユーザーに対してカレンダー上で任意の日付を訴求できる広告商品「TimeTree Ads」を中心とした広告事業全体を統括しています。

 

 

村上氏 :同じく株式会社TimeTreeのマーケティングソリューション本部に所属する村上 安人です。広告事業との兼務でデータ・アナリストを務めています。

 

 

奥村氏 :改めまして、2024年11月にアカウントディレクターとしてGumGum Japanに参画した奥村 愛来留です。当社はコンテクスチュアルデータを活用したブランディング広告プラットフォームを世界的に展開しており、2021年にPlayground XYZ社を買収後はアテンション計測及び最適化サービスを併せて提供しています。

 

イ氏 :同じくGumGum Japanでアカウントマネージャーを務めるイ ジョンウクと申します。主にクリエイティブ制作やレポーティングを担当しています。

 

 

 

奥村氏:先ほどGumGumとTimeTreeでは共通点が多くあると申し上げましたが、最大の共通点は、現在のオンライン広告業界で主流となっているCookieを用いた過去のオンライン行動履歴に基づくユーザーターゲティングを行っていない点ではないかと思います。過去のオンライン行動履歴を依存すると、例えば3歳に成長した子どもを持つ親に対して新生児商品の広告を表示してしまうということが起こり得ます。

 

一方で、GumGumはコンテクスチュアルターゲティングを通じて「今」のユーザーのマインドセットに適した広告を、またTimeTreeはユーザーがカレンダーに記した「未来」に関連する広告を配信しているという点で大きく差別化できているのではないでしょうか。

 

新保氏:仰る通り、TimeTreeが2023年9月にリリースした「ターゲットデイ」は日付訴求を行うための広告商品であり、ECモールのセール開始日や映画の公開日といった未来の特定の日に合わせて広告が配信される仕組みです。

 

過去のオンライン行動履歴に依拠しないという点に加えて、適切なモーメントを捉えるターゲティング手法である点もGumGumとの共通点かと思いました。

 

奥村氏:日付訴求という独自の仕組みを通じて、広告主様にはどのような新しい価値を提供できるとお考えですか。

 

 

村上氏:潜在層に対して広告を配信できる点が特徴的です。多くの獲得系広告は商品やサービスを今にも購入しようとしているユーザーを刈り取る際に活用されていますが、日付訴求であれば購入検討前にユーザーに接触できるので、助成想起に相当するブランド認知を得やすいです。

 

イ氏:「ブラックフライデーにEコマースの広告が出る」というのが典型例ですよね。加えて、例えばお花見を想定して「桜の開花日にビールの広告が出る」とか「七五三の時期に合わせて小学生未満は無料となるレストランチェーンの広告が出る」といった組み合わせも面白いのではないかと思いました。

 

村上氏:「車検期間に合わせてタイヤ交換を案内」といった組み合わせもあり得ますよね。一口に「モーメント」と言っても、世の中全体のモーメントと個々人のモーメントがあります。前者に相当するカレンダー情報を主に扱うTimeTreeとユーザーごとのコンテキストを理解するGumGumのデータを掛け合わせると、日付訴求の活用法は広がっていくように思います。

 

奥村氏:GumGumが提供する予測データエンジンである「マインドセット・グラフ」を使えば、ブランドがどのような文脈で多くメンションされているのかを把握できます。例えば、スマートフォンメーカーの中でも、「カメラ」という文脈でたどり着く傾向のあるブランドと、「PC」に付随して連想されがちなブランドがあります。こうしたデータが日付訴求にも活用できるのではないでしょうか。

 

従来の効果指標は課題だらけ

 

 

奥村氏:TimeTreeでは「ターゲットデイ」の広告効果をどのように評価していますか。

 

村上氏:ブランドリフト調査を付帯しており、ブランド認知、日付認知、好意度、推奨度などを計測しています。一般的なブランディング広告であればブランド名や商品名などを対象とすることが多いと思いますが、ナショナルブランドの場合は既に十分に認知されているのでそれ以上はリフト値がなかなか向上しないといったことが往々にしてあります。

 

翻って、当社は日付とブランドをセットにして認知を広めることを目的としているので、ほぼ確実にリフト値が向上します。また日付に伴う具体的な行動につながりやすいブランディング広告という意味でも差別化できていると思います。

 

奥村氏:GumGumが注力しているアテンション指標についてはいかがお考えですか。

 

 

新保氏:CPAやCPIといった獲得指標と、認知度や好意度といったブランディング指標の間をつなぐ中間指標は確実に必要とされています。より正確には、いくつかの中間指標は存在しているものの、デファクトスタンダードがないというのが現状だと理解しています。

 

CPAやCPIといった獲得指標自体が、オーガニックでも獲得できていたユーザーをも計上してしまっている可能性があり、本当の意味で広告効果を示しているかというと疑問点が残ります。またブランドリフト調査はアンケート方式を採用するため、一定の費用と実施期間を必要とします。これらの課題を解決し得る新たな指標として、アテンション指標には注目しています。

 

イ氏:ブランドリフト調査結果とクリック率または視聴完了率の相関性が全く見い出せないような場合も少なくありません。またブランドリフト調査はキャンペーンが終了してから結果が出るまでに時間がかかるという課題があります。

 

アテンション指標はブランドリフト調査における好感度向上などとの相関性が高いことが分かってきており、またブランドリフト調査の結果を待たずともクリエイティブや運用の最適化に活用しやすいという特長があります。

 

奥村氏:中間指標としてはこれまでビューアビリティが用いられてきましたが、あくまでも広告が表示される可能性を測るための指標であり、広告が実際に見られたかどうかまでは分かりません。実際にはユーザーの目には留まりにくいサイズの小さな広告のビューアビリティが高くなる傾向にあるといった問題があります。一方のアテンション指標であれば本当にユーザーが目にしたかどうかを計測することができます。

 

 

村上氏:結局のところ、ブランドリフト調査は結果論または答え合わせなんですよね。アテンション指標を活用することで最適な広告クリエイティブやモーメントを発見できるようになれば助かります。

 

奥村氏:GumGumでは異なる広告クリエイティブごとのアテンションを計測するCreative Attention Tracker(CAT)というツールをご用意しています。TimeTreeでは、広告クリエイティブについて特にどのような点に配慮されていますか。

 

新保氏:ユーザー体験に悪影響を与えないという点には相当こだわっています。不快な広告を出しても良いことは何もないですよね。配信面としてはユーザーは減るし、広告主は嫌われてしまうし。

 

またこれだけオンライン広告が溢れていると、普通のバナー広告はユーザーの目に入りません。少し凝ったクリエイティブの方が受け入れられやすいと思います。

 

ちなみにTimeTreeで、ある大手ゲームアプリのイベント企画に合わせてキャラクターのアニメーションを表示したところ、Xで「これは本当に広告なのか、すごい」といった好意的なコメントが50件ほど投稿されました。このようにユーザーが積極的に受け入れてくれるような広告クリエイティブが理想的です。

 

村上氏:私はデータ・アナリストを兼務しているので、ユーザーのセグメントを作成する業務にも携わっていますが、ユーザーにより良い広告体験を提供するために、広告商材と予定データが適切にマッチングできるかどうかは配慮しています。

 

イ氏:例えば人気キャラクターを動画広告クリエイティブに含める場合でも、動画の前半または後半に配置するかによってアテンションは大きく変わり得ます。そもそも広告枠の小さなスペースで表現すること自体が難しく、キャラクターを大々的に使えば良いというものでもない。良い案配を見つけるのは本当に難しいです。

 

オンライン広告の常識を覆す

 

奥村氏:ブランディング広告の役割についてご意見をいただけますか。

 

新保氏:クリック計測などが可能であるため獲得施策として活用されやすいデジタル広告ですが、本来は潜在層から顕在層への転換にも有効活用し得ると考えています。

 

奥村氏:CPAやCPIといった指標ばかりを追い求めると、ヘビーユーザー層の刈り取りばかりを行うようになるので、ユーザー規模が一向に拡大しません。その結果として、CPAなりCPIはいずれ上振れしていくことになります。だからこそ、ブランディング施策も同時並行的に実施する必要があります。

 

 

イ氏:テレビCMや新聞広告でマスリーチが取れなくなってきたので、代わって大量のユーザーが集まるSNSや動画共有プラットフォームがブランディング目的にも活用されるようになってきました。またこれらウォールドガーデンが有するユーザー情報がターゲティング手段として高く評価されていますが、お父さんのアカウントを使って子どもが動画広告を視聴しているといったような例も多くあると言われており、不透明感はぬぐい切れません。

 

実際にはユーザーは一日の半分以上の時間をそれ以外のオープンウェブに費やしています。中でもTimeTreeのようなカレンダーは老若男女問わず誰もが利用し得るものなので、広く認知を獲得する上では非常に有効なのではないでしょうか。

 

奥村氏:これまでの常識を覆す広告の在り方を目指す中で、特にどのような点で苦労されましたか。

 

新保氏:最近になってようやくいくつかの広告主様の取り組み事例が出てきたので、その他の広告主様にもご案内がしやすくなってきましたが、やはり事業立ち上げ時に日付訴求という新しい枠組みをご理解いただくまでには苦労しました。

 

広告主様や広告代理店様に50社ほどヒアリングを実施したのですが、20社を超えたあたりからご要望やご意見の共通性を見出せるようになってきて、ある程度の見通しが立ってきたような気がします。

 

奥村氏:今後はどのような展開を行っていく予定ですか。

 

 

新保氏:やはり当社にしかできないサービスを生み出していきたいです。一例として、ビールメーカーが「毎週金曜日をビールの日」として訴求する場合などに活用できる「習慣化広告」の実証実験を行っている最中にあります。またSNSで活用されるスタンプ機能のような、ユーザーがカレンダーをデコレーションできる「ステッカー」を開発し、カレンダーの日付上にイラストで表現するマーケティングソリューションも今後はご提供できたらと思っています。

 

村上氏:加えて外部データ連携を進めていき、今後はGumGumを含めた他の広告プラットフォームへ外部配信する仕組みも整備していきたいです。

 

新保氏:GumGumもアテンションという新たな指標を啓蒙していくのはきっと大変だと思いますが、新たな中間指標は確実に必要とされています。ぜひとも頑張っていただきたいです。

 

奥村氏:本日の対談を通じて、TimeTreeの取り組みには多くの共感を覚えました。ユーザー体験を最優先に考えた広告のあり方や、モーメントを大切にした独自の発想は、私たちGumGumの目指す方向性とも深く通じ合っています。

 

特に、GumGumが注力するアテンション指標は、広告が本当にユーザーに見られているかを測る新しい基準として、広告の質を向上させる可能性を秘めています。また、両社が提供する新しい広告フォーマットは、ユーザー体験を損なわず、適切なモーメントを捉える革新的な手法だと改めて感じました。

 

本日の議論を通じて、広告の未来を考える上で多くのヒントを得ることができました。今後も共に挑戦を続けていきましょう。本日はありがとうございました。

 

<関連リンク>

 

▼ ブランディングを躍動させる広告プラットフォーム「GumGum」ウェブサイト :

https://ja.gumgum.com/

 

▼ 「予定」にターゲティングできる広告ソリューション「TimeTreeAds」:

https://timetreeapp.com/intl/ja/ads

 

▼ TimeTreeの共有カレンダーを飾る「ステッカー機能」:

https://timetreeapp.com/intl/ja/newsroom/2024-12-06/sticker-release

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。