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オンライン広告の効果計測の原点回帰-本当に重要な指標とは―ATS Tokyo 2024イベントレポート

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2024」が2024年11月22日、都内にて開催された。

 

「オンライン広告の効果計測の原点回帰-本当に重要な指標とは」と題した本セッションには、株式会社アドウェイズ・UNICORN株式会社の両社にて代表取締役社長を務める山田 翔氏が登壇した。

 

 

冒頭、山田氏はオンライン広告に関するユーザーの現状について、「60%以上のユーザーがページ内の広告を読んでいない」というアンケート結果を紹介。膨大な広告費が有効活用されずに、さらに、マス広告に比べるとオンライン広告は不快感を抱かれやすい現状を報告した。「このままだとオンライン広告が嫌われ続け、広告があるからこそ無料でインターネットを利用できるという形が成立しなくなるのでは」と危惧する。

 

 

広告の効果計測では、従来の計測指標であるインプレッションやビューアブルインプレッションで、ユーザーが広告を「見た」と断言することは難しい。山田氏は「ユーザーがページに留まり、何の広告かを理解した状態を計測することがもっとも重要。」とし、国際的にも定義され始めているAttention Viewに着目する。Attention計測が世界的に盛り上がりをみせている現状を報告しつつ、Attention Viewを軸に広告を効果計測することが、ユーザーがきちんと見てくれる広告作りにつながるのでは、と述べた。

 

UNICORNでは、独自の計測ソリューションを開発し検証を進めているが、今後外部の計測ベンダーを導入し、全トラフィックのAttention計測を実施していく。山田氏は他社と協力しつつデータをフィードバックしていくことで、オンライン広告全体をより良くしていきたいという目標を掲げた。

最後には「日本全体で、オンライン広告の本来あるべき姿を取り戻そう」という信念のもと、媒体社・広告主・広告プラットフォーマーに対してそれぞれメッセージを送り、オンライン広告のより良い未来のために業界全体の協力を呼びかけてプレゼンテーションを締めくくった。

 

 

ExchangeWire編集長・野下との質疑応答では、Attention計測の導入を考える広告主や媒体社への具体的なアドバイスに話題が広がった。Attentionには複数の新しい指標がある中で広告主はどのように最適ソリューションを選ぶべきか、という質問には、「配信先によってソリューションの使い分けが必要となる。数字をハックしていくだけでなく、Attention Viewの背景を広告主・代理店が見極めていくことが最も重要では。」と答えた。一方、媒体社側がAttention指標を導入する際は、「ソリューションを導入して、まずデータを見てほしい。どの枠でAttention Viewが出ているかを把握することから始めるとよいと思う。」と提案した。

さらに、UNICORNがAttention計測に着目した背景について山田氏は、「アプリ広告主向けのインストールを最適化するためのプラットフォームとしてUNICORNが生まれたが、本質的な広告インストールを増やすためには広告がしっかり見られる所に投資を寄せていかないとコンバージョンが取れないと考えた。ブランド広告主・代理店からAttention計測を提案されることもあり、グローバルなトップの会社でも重要視されていると認識したことがきっかけでAttention計測を進めるようになった。」と述べた。

オンライン広告全体への影響を視野にいれた実験的な試みを進めるUNICORN山田氏の、業界への熱いメッセージが感じられるプレゼンテーションとなった。

 

 

 

ABOUT 角田 知香

角田 知香

イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。