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【Rokt調査】2024年のノンエンデミック広告市場規模は541億円の見通し、2028年には約3倍の1,693億円と予測

EコマーステクノロジーのリーディングカンパニーであるRoktは、株式会社デジタルインファクトと共同で、ノンエンデミック広告市場に関する調査を実施した。その結果、2024年の国内ノンエンデミック広告市場規模は541億円の見通し(前年比128%)となり、2028年予測は、2024年比約3倍の1,693億円となった。

 

出典:Rokt合同会社プレスリリース

 

ノンエンデミック広告はリテールメディア市場の起爆剤に

リテールメディアの用途や機能が進化するにつれて、これまで取り込むことができなかった広告需要に対応できるようになった結果として、ノンエンデミック広告の取引が活性化するという事例が既に米国市場では見られ始めている。2025年以降はこうした事例が日本市場においても展開されるようになると予測される。

 

ノンエンデミック広告市場の成長速度と成長規模は、現在のオンライン広告市場において大きな割合を占める動画広告市場やインフィード広告市場の10年前の動きと相似している。

 

ノンエンデミック広告とは、リテールメディア広告の一形態であり、特定のECサイトやアプリ上で商品やサービスを販売していない企業が、そのECサイトやアプリ上に出稿する広告。一例として、ファッション/航空券/チケット/デリバリーサービスなどの販売を行うサイトやアプリ上に、動画ストリーミングサービスや保険商品などの広告が掲出される事例が該当する。

 

出典:Rokt合同会社プレスリリース

 

※1:本調査では、EC機能を主に提供するウェブサイトやアプリ等のオンラインサービス上に掲出された広告と、これらのECサービスが主体となって外部メディアへと配信した広告をリテールメディア広告として定義し、その中におけるノンエンデミック広告の市場規模を算出した。なお、本調査では、ECサイトやアプリ上に出店または出品していないメーカー企業が、自社商品を販売する小売企業やその他のパートナー企業の販売促進を支援する目的で出稿する広告について、ECサービス運営者の観点から従来の一般的なエンデミック広告と区別することを主な目的として、ノンエンデミック広告の定義に含めた。本調査におけるノンエンデミック広告市場規模の算出は、広告主によるノンエンデミック広告への年間支出総額を対象とする。

 

独立系EC事業者の市場規模は年平均で約3倍に

EC本体事業と比較して利益率が高い傾向にある広告事業を付帯収益源として有力視するEC事業者は多く、その広告収益を拡大及び多様化していく上ではノンエンデミック広告の導入が有効な施策となり得るとの認識が先進的な事業者の間で醸成されつつある。

 

とりわけ独立系EC事業者の動向には大きな注目が集まっている。既に広告事業を一定規模にまで成長させた大手ECモールとは対照的に、ファッション/航空券/チケット/デリバリーなど専門化した商品やサービスの販売を行うこれら独立系EC事業者が形成するノンエンデミック広告市場はまだ黎明期にある。その結果として、少数の事業者による動向によって今後激しく変動し得るものの、全体としては市場規模が毎年3倍近くに拡大することが予測される。

 

出典:Rokt合同会社プレスリリース

 

ノンエンデミック広告ではレレバンシーが鍵に

ノンエンデミック広告市場規模の成長予測は、「ノンエンデミック広告がリテールメディアの新時代を切り拓く」と題した調査レポートを通じて発表された。本レポートでは、ノンエンデミック広告を活用する上での課題と、それらを克服する上での展望が示されている。

 

とりわけ多くのEC事業者が、付帯収益の創出機会として広告事業に期待を示していることが市場成長にとっての好材料となっている。日本の人口減少が進む中で物価上昇といった環境変化にも対応しつつ、ユーザーへの価格転嫁を最小限に留めるためには付帯収益の確保が重要であるとの見方が強まってきている。

 

さらにデジタル広告業界全体が今、購買データを活用できるリテールメディアへの期待を高めている。サードパーティCookieの利用制限が強化されていることを受けて、今までEC出店を行ってこなかった広告主及びその広告代理店が、代替する広告配信先としてリテールメディアを選択する機会が増えることは十分に考えられる。その結果として、リテールメディアの多様化が進み、リテールメディア広告は認知向上から購買促進まで幅広いマーケティング需要に対応できるようになり、ノンエンデミック広告は、こうした新たな需要の受け皿になっていくと見込まれている。

 

一方でノンエンデミック広告において一番の課題となるのがユーザー体験への影響。ECサイト上で販売していない商品の広告をやみくもに表示するだけでは、ユーザーが離脱する可能性が高まる。ユーザーの気持ちに寄り添いながら、ユーザーが受け入れやすい関連性(レレバンシー(※2))の高い広告をいかに配信できるかが、ノンエンデミック広告の成否を分けることになる。

 

※2:「レレバンシー」とは、直訳すると「関連性」。マーケティング用語として使うときには「その人にとって意味がある」「自分ごと」「好みや嗜好に合う」「興味・関心がある」といった意味で使用される。

 

本調査レポートは、こちらよりダウンロード可能。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。