優れた自動最適化でプラットフォーム事業者と出店企業をサポート―RTB House×サイバーエージェントが提供するリセラープログラム[インタビュー]
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on 2024年5月20日 in
ECやトラベルサイトなど、プラットフォーム事業者および出店企業間の競争は激化している。そんな市場において、RTB Houseとサイバーエージェントが共同で、出店企業向け広告配信サービス「リセラープログラム」をローンチした。
「自動最適化に優れ、プラットフォーム・出店企業ともに大きなメリットをもたらす」という本リセラープログラムの強みや実績について、RTB House Japan株式会社 加藤 貴大氏、株式会社サイバーエージェント 井上 魁人氏にお話を伺った。
(Sponsored by RTB House)
■RTB House Japan株式会社
Senior Business Development Manager 加藤 貴大氏
■株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 シニアコンサルタント 井上 魁人氏
高性能エンジンによる自動最適化に強み
―リセラープログラムの概要について教えてください
加藤氏:ECモールや求人、不動産といったポータルサイトなど複数の企業が参加するプラットフォーム型のサイトを運営しているプラットフォーム事業者(プラットフォーマー)が、そこに出店している企業(セラー)に対して広告配信サービスをプラットフォーマーが提供できるようになるサービスがリセラープログラムです。
従来のプラットフォームでは、プラットフォームのデータを活用した広告配信手法は純広告やメールマーケティングなど自社プラットフォーム内で行う広告配信が一般的でしたが、リセラープログラムでは、弊社のディープラーニングアルゴリズムと配信ネットワークを活用し、プラットフォーマー様のデータを活用したリターゲティング配信を簡単に提供することが可能になります。
―リセラープログラムによってプラットフォーマーやセラーにはどのようなメリットがあるのでしょうか
加藤氏:プラットフォーマー様はセラー様から広告費を受け取ることでプラスαの収益を生み出せるようになります。一方、セラー様としては広告運用における労力の削減に繋がります。また、プラットフォーム内でのトラフィックや売上をより増やすことができ、セラー様のプラットフォーム利用満足度を上げられるところも利点です。この辺りがリセラープログラムの肝となっています。
資料提供:RTB House Japan株式会社
―2社共同で開発、販売された背景はどのようなものだったのでしょうか
井上氏:弊社では既に他社のリセラープログラムを扱っていたので、この分野での安定した運用基盤が整っていました。さらなる最大化を図っていく際に、獲得領域で強い信頼を誇るRTBHouseさんであれば、体制や仕組みさえ立て付けられれば効果最大化に力強く貢献してくれるだろうという確信があったため、積極的に導入を進めました。
―開発でこだわった点はありますか
井上氏:他社のリセラープログラムとの一番の差別化ポイントは予算に係る部分です。他社ではCPCでの指示になるので、その適正値を見極めてコントロールする必要があります。一方RTB Houseさんは、目標予算を設定するだけで売上が最大化していくので指示が簡潔になっています。
自動運用の範囲が広く、人が考えるべき部分を減らせている点は大きな差となっています。また、UI・UX等に関しても、「運用者がどういう意思決定を行うから、そのためにどういう情報がすばやく確認できると良いか」という運用者の目線で、最適なものとなるよう工夫を重ねました。
加藤氏:セラー様は100社、1000社という規模になってくるのですが、それが1セラー様ごとにコントロールできることも大きなポイントです。
―実際にリセラープログラムを活用した成功事例はありますか
井上氏: 株式会社マクアケが運営するアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」において先行実施しています。Makuakeでプロジェクトを掲載する50の実行者で当サービスを追加実装した結果、全体のROAS効率を維持したまま実行者の売上成長率が3か月間で47%向上する広告効果を得ることができました。
―50%近くの増加というのは非常に大きな数字です
井上氏:それだけでなく、目に見える成果として現れた結果、たくさんのプロジェクト実行者さんから感謝の声が上がったというフィードバックもいただいています。
どのプラットフォームでも、掲載者との関係性は重要なポイントになってくるかと思いますが、今回の結果から「セラーとプラットフォームとの関係性向上、ひいてはサービス全体の盛り上がりに貢献できる」という当サービスの定性的な部分のメリットを実感することができました。
加藤氏:弊社としては、出稿いただいている金額が伸びていることこそがフィードバックだと捉えています。予算がどんどん上がっていっているので、ご満足いただけているのではないでしょうか。
―リセラープログラムと相性が良い業種はあるのでしょうか
加藤氏:人材、不動産、中古車販売、トラベルなどの業種や、クラウドファンディングとは明確に相性が良いです。また、クリアにしなくてはいけない面もありますが、ふるさと納税での活用も拡大のチャンスがあると考えています。
井上氏:期間を区切った営業目標があるお客様は、当サービスの利用イメージが湧きやすいと思います。例えば、今月中に目標とする獲得数がある中で、自社で小さな広告を始めても獲得効率が見合わないケースがあります。そのようなときの投資先として活用できるのがリセラープログラムです。
―まさにMakuakeのようなプラットフォームでは大きな力を発揮するということでしょうか
井上氏:おっしゃる通りで、Makuake様では「応援購入」という形で、プロジェクトに共感したユーザーから資金を募りますが、中には、上手い具合に注目が集まらなかった結果、目標金額に達することができず、残念ながら実現を諦めてしまうこととなるプロジェクトもあります。
リセラープログラムは、そういった所にもスポットライトを当てて、世の中に実現されていくプロジェクトを増やしていくという形でも、強く貢献できていると解釈しています。
中小セラーが成功するための選択肢に
―ユーザーを自社のECサイトに集めたいと考えるセラーもいるのではないでしょうか。この辺りと絡めて、リセラープログラムはどのように活用していけばいいのでしょうか
加藤氏:セラー様のビジネスの考え方次第ですが、自社ECを一から立ち上げるコストは重荷となることもあります。一方でプラットフォーマー様は大規模な広告費をかけて、常に大量のユーザーを集めている状態です。
そこで、リセラープログラムを活用しプラットフォーム内で売上を伸ばしていくというのはビジネスを拡大させるうえで大きな後押しとなると考えています。
井上氏:使い方は各企業のフェーズによって変わってくるものだと思います。まだ自社ECの力が弱ければ、リセラープログラムを利用し、プラットフォームの力も借りつつ売上拡大を図り、自社の力が伸びてくれば、適切な程度自社ECへの投資配分を大きくしていく、といった形をイメージしています。
リセラープログラムだけを推し進めたいわけではなく、自社の売り上げを伸ばしていくという大目標に対しての、数ある選択肢の1つとして提示していきたいです。
―まだ立ち上がったばかりのセラーには大きな助けになりそうです
加藤氏:「特定のプラットフォームに集まっている層」というセグメントが1つ絞れており、その中でさらに「特定商品に興味を持っている層」というターゲティングができるので、立ち上げ初期のセラー様には非常に効率の良い戦略になると思います。
井上氏:リセラープログラム経由で、中小のお客様も手厚い代理店サポートが受けられることもメリットの1つです。代理店サポートの手厚さは、取扱高の大きさに影響を受けてしまう側面もあると思いますが、リセラープログラムへの参画という形で取扱高の大きいプラットフォームを媒介して代理店と関わることができます。
―リセラープログラムやリテールメディアの拡大に向けて、今後なにが必要となってくるのでしょうか
井上氏:プラットフォーム側でセラー様に対しての営業体制が整っているかは重要です。ここはリセラープログラム拡大の根幹になってきます。
加藤氏:それに加えて自動化もキーワードの1つです。新しく参加したセラー様の追加や請求を手動で管理するとなると大きな手間となります。これらは、既に基盤が整っているサイバーさんだからこそスムーズに進められる点でもあります。
井上氏:弊社では営業サポートや自動化の体制も整備しており、Makuake様とは実行者様との運用コミュニケーションの部分についても協働しております。
また、セラー、プラットフォーム、弊社の3社で、リセラープログラムのための一気通貫したオペレーション体制とシステムを整備しており、予算管理など守りの部分だけでなく、日々の入札調整や効果を鑑みたアロケーションといった効果最大化に向けた攻めの部分でも充実した運用体制を実現しています。
DSPの強みを活かした配信を
―今回のようなソリューションを提案する際には、「ウォールドガーデン対オープンウェブ」という構図がしばしば付いて回るところかと思います
加藤氏: 多くの人が触れているSNS媒体は知名度もあり出稿のイメージが付きやすいので分かりやすいかと思いますが、弊社のようなDSPが扱うオープンウェブの領域でも多くのユーザーにリーチできるため、双方適切な出稿をし、全体のバランスを考えていくことで最適な広告出稿戦略が取れると考えております。
井上氏: 個人的にはSNS事業社のようにtoC含め認知度が高い状態を目指すのは、toCサービスがない点で困難であるため、それらとは別な接点でtoB、広告主の知名度と理解度を高めていく必要があると思います。
DSP事業社側の努力としては、代理店の介在なくとも広く広告主に広告最大化を目標としたときの選択肢として認識してもらうことが重要であると思いますので、AI関連の研究成果等興味を持ってもらえるテーマも絡めながら広報を強化することが重要だと思います。
―あくまでウォールドガーデンとは別物ということでしょうか
加藤氏:オープンウェブはウォールドガーデンより遥かに広い世界であり、リーチも広がりやすくなっています。また、ウォールドガーデンに出稿が寄ることで競争も激しくなるため、オープンウェブをうまく活用していくことで広告配信全体のROIを上げていくことも可能です。
またクッキーレスについて昨今話題になっていますが、ウォールドガーデンにおけるプライバシー情報の取得・活用のされ方は、広告主やユーザーにとって懸念される点にもなっています。このような状況においては、様々な媒体に広告を配信することでリスクヘッジにもなり、多様なユーザーにアプローチできるという点は強調したいです。
―今後の展開イメージはありますか
井上氏:リセラープログラムの導入は、プラットフォーマー様、セラー様の双方にとって新たに生み出せるメリットがあるものだと考えておりますので、積極的にこの仕組みの認知・理解を広げることと、導入推進を行っていきたいと考えております。
加藤氏:可能であればアッパーファネルにも対象を広げていきたいです。ただ、まずは実績を増やしていくことが当面の目標です。そこをどうスムーズに提供できるかが鍵なので、気軽にご相談いただける環境を作っていきたいです。
ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当
立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。