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未来へのナビゲーション: サードパーティクッキー廃止への取り組み―ATS Tokyo 2023イベントレポート(11)

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2023」が12月8日、都内にて開催された。

 

「未来へのナビゲーション: サードパーティクッキー廃止への取り組み」をテーマとしたセッションには、Index Exchange APAC担当 マネージングディレクターを務めるアデル ワイザー氏が登壇した。

 

同氏は、サードパーティクッキー廃止後は「①認証済み共通ID」「②推定ベース共通ID」「③Googleプライバシーサンドボックス」「④パブリッシャー1st Party Data」が主なユーザー識別方法になると整理。Index Exchange社は認証済み共通IDと推定ベース共通IDに既に対応しており、Googleプライバシーサンドボックスの中でもオーディエンスの分析を目的としたProtected Audience APIは、日本市場でサイバーエージェントのDynalist DSPと実証実験中であることに加えて、データクリーンルーム、セラーディファインド・オーディエンス(SDA)、アドバンスドコンテクスチュアルといった、アドレサビリティとプライバシーの分野を充実させ、成熟させる様々な仕組みで、すべての関係者を引き続きサポートしていくと伝えた。

 

さらにワイザー氏は「選択肢が多いこと自体は良いこと」と述べた上で、最適なソリューションを見つけるまでにはある程度の試行錯誤のための期間が必要になると指摘。一方で日本市場ではID情報付きの広告リクエストが過去半年間で倍増していることに注目し、日本のオンライン広告市場では既にクッキーレス環境への移行作業が始まっているとの考えを述べた。

 

 

さらにコネクテッドテレビ広告配信については、日本は北米及び欧州市場と比較して約半年の遅れが出ていると指摘。とりわけタグ設定を前提としたウォーターフォール型の配信管理がいまだ一般的である点に懸念を示した上で、アドサーバーによる一斉オークション方式へと移行することで、広告の読み込み遅延を回避し、ユーザー体験を向上させることができると訴えた。

 

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。