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アドネットワーク業界、道玄坂下に集う[ニュース]

 

 

「武蔵野の雪となりたる梅見かな」(山田春生)

 

 

梅の名所で知られる世田谷の羽根木公園からは、梅の花の開花の便りもとどいたにもかかわらず、この冬初の本格的な積雪があった日の翌日。2月6日(火)に、渋谷で第18回アドネットワークの会が開催された。

街なかであることや、日中に降り続いた雨のせいであろう。例年のように溶けかけたシャーベット状の雪による足元の不快さもなく、翌日はまた乾いた冬の街に戻ることを容易に想像させた。

 

会場の 居酒屋 道玄坂 河童

 

今回の会場は、渋谷の道玄坂下から少し奥に入った井の頭線渋谷駅の中央改札から下に長く伸びたエスカレーターと、田園都市線と東急線の渋谷駅に向かう地下通路の出入口からほど近く。末広がりで変形した多角形で三階建ての居酒屋の三階。ここにアドテク業界関係者を中心に、100数十名が一堂に会した。

会場内は前回とはやや様子が異なり、開始早々の怒号や叫び声が聞こえることもなく、伸びやかに会話を楽しむ参加者たちによる、やわらかい雰囲気で会が進んだ。会場スペースの広さやレイアウトが異なるからであろうか。ここまで会の雰囲気が前回とガラッと変わるのも珍しい。これもアドネットワークの会ならではの面白さと言えるのかもしれない。

 

 

しかしもちろん、会場全体を包み込む、和気あいあいとした、温かく楽しい雰囲気は、変わっていない。それぞれ1テーブル5-6人のグループに分かれ、「初めまして」や「久しぶり」の挨拶を皮切りに、共通の知人の話題や業界の昔話などを手始めに、世代や会社を越えた交流が、そこかしこで進んだ。

 

 

そして会が進むにつれ、参加者同士の交流はますます活発化する。徐々に通路の往来が激しくなり、時間を追うごとに賑わいが増していき、会全体の盛り上がりが高まっていった。

 

 

 

会の終了は、午後11時前。それなりにボリュームのある1次会であったが、なにせ駅チカな会場だったので帰宅にはまったく不自由はないし、残ったそれなりの数の参加者が2次会へと向かい、その後一部では明け方まで続いたことは、想像に難しくない。

恐らくほとんどの人が、何を話したかという記憶も薄くなっているであろうがよく朝目覚めたらFacebookに友達申請が来ているのを見て、「あ、この人昨日話した人だ。」と思い出すところから、きっとまた新しい交流が始まり、プライベートやビジネスにおける、得難いつながりへと発展していくのであろう。

 

 

 

そして、「アドネットワーク」といえば、やはりファンコミュニケーションズ社nendのことに触れておかずにはいられない。ファンコミュニケーションズは、今年1月初旬に、同社のスマホアドネットワークnendのサービスを3月29日に終了することを発表した。nendは、だれもが知る日本のスマートフォンアドネットワークの草分け的存在だ※。

 

※ちなみに国内事業者として最初のスマホアドネットワークは、確かノボットのAdMaker(アドメーカー)であったと記憶するが、ここではこれ以上の話は省く。アドネットワークの歴史に興味がある方は、値段が高くて少々ボリュームがあるが、市場調査レポート「アドネットワークの動向分析調査(株式会社シード・プランニング 2010年)」のご購読をお勧めする。(http://store.seedplanning.co.jp/item/3678.html

 

 

スマートフォン広告黎明期に立ち上がったnendは、その後スマートフォン広告市場を席巻し、スマホアドネットワークの最大手プレイヤーとなり、2010年代のスマホ広告市場の成長をけん引し続け、世界でも類を見ない日本市場独自のスマートフォンアドネットワーク圏を作りあげて、その中心に君臨した。今回のニュースは残念という一言では言い切れず、色々な想いと共に受け取った次第である。筆者も仕事でお世話になった方が沢山いるのだが、nendに携わっておられた人たちは、とにかくお会いする人たちが素晴らしく、「事業は人なり」を改めて感じ得たものである。

近い日にまた新しい事業で、アドネットワーク業界にインパクトを与えてくれることを楽しみにさせていただいている。

 

話は変わるが、イベントつながりで、この場をお借りして少しご紹介するが、ExchangeWireJAPANでは、今年業界イベントATSTokyo 2024を、11月22日(金)に、東京ドームホテルで開催する。

ATS Tokyo 2024 URL:https://events.exchangewire.com/ATSTokyo2024

ATS(Ad Trading Summit)とは、英国のExchangeWire社が主催し、毎年シンガポール、ロンドン、東京で開催されるグローバルアドテクイベントである。

ATSTokyoには、400人を超えるデジタル広告業界関係者にお越しいただき、日中を通して、最新のテーマについて10数のセッションがテンポよく繰り広げられるほか、昼と夜、ネットワーキングも予定されている。

また、昨年、非公式アフターパーティーを開催した担当者によると、今年も予定しているとのことだ。あくまで非公式だが。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長  

慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。

国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。

2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。