クッキーレス時代におけるデジタル広告の未来は?-ペルソナ・ターゲティングを展開するOguryの展望[インタビュー]
サードパーティークッキーの廃止がいよいよ目前に迫り、広告主がID(識別子)を使用せずにオーディエンスをターゲティングする代替手法が問われている。プライバシー保護を最優先とするクッキーもIDも用いないペルソナ・ターゲティングソリューションを独自に展開するOguryのCommercial Director, Japan 山口武氏に話を聞いた。
(Sponsored by Ogury)
Googleがついにサードパーティークッキー規制を本格化しますが、日本の広告業界がこれに伴い直面する課題とは何でしょうか。
デジタルマーケティング・広告業界は大きな転換期を迎えています。ユーザーは自身のデータを使われることにより一層不快感や危機感を抱いていますし、個人情報保護の観点での様々な規制からクッキーなどの広告IDの支配は終わりを告げようとしています。そもそも、これまでのターゲティング手法にはいくつかの課題や限界がありました。これまでのターゲティングはユーザーの一つの興味関心など「一部分」しか捉えることができていませんでした。例えば、ハイブリッドカーに興味がある層は概ね35~45歳の男性などとターゲットが絞られていましたが、実際は潜在的購買層はそうした層だけに限られません。
Googleは2024年の上半期を目処にChromeでのクッキー使用を規制しようとしています。これに伴い、広告主はこうした特定のターゲットを追いかけるクッキーおよびIDなどの個人データを用いない方法でオーディエンスにリーチする方法を模索しなければいけません。
しかし、実は広告主のうち41%が、クッキーやIDから独立したテクノロジーについてまだ十分な検討や知見を得られていないと回答しています。
そのような変化はデジタル広告業界の流れの中でどのように位置付けられるでしょうか。
私はこの業界の歴史を、技術革新に伴った三世代に分類できると考えています。まず、最初に、Googleが市場を寡占する検索広告エンジンによって、革新的な消費者インテント広告で世界を席巻しました。その数年後、フェイスブックがファーストパーティーデータと呼ばれる消費者データ収集に革命を起こし、ソーシャルメディアをデジタル広告の第二のメインフィールドとしました。そして、最近、リテールメディアの目覚ましい成長がデジタル広告の第三世代となってきています。しかし、今日、プライバシーに対する意識の向上によって、さらに次の世代を迎えようとしています。デジタル広告の状況は常に変化しており、マーケターや広告担当者は新しいテクノロジーや消費者行動に迅速かつ効率的に適応する機敏さがより一層求められています。
プライバシーを最優先したソリューションを検討するにあたり、日本の広告主は何をすべきでしょうか。
そうしたソリューションを検討していくことは、進みゆくプライバシー規制、ユーザーの期待、業界のベストプラクティスに沿った戦略を構築する必要があるということです。日本の広告主がプライバシー・ファーストのアプローチを採用していくためには、同業者や業界内の団体、規制当局などと連携して、常に最新の情報を入手し、透明性や合意性を含むプライバシーガイドラインを遵守していく必要があります。広告主がユーザーの信頼を獲得していくためには、こうした基本的で重要な条件を一つ一つクリアしていくことが求められるのです。つまり同時にこの条件をクリアできる広告ソリューションを探していくことが必要となります。
同時に日本市場におけるメディアの立ち位置とはどのようにお考えでしょうか。
日本市場でも今後を見据えた個人情報の保護を重視した法案に対する施策が急務になっている中、メディア、もとい取引されるインプレッションの品質が引き続き重要になります。クッキーレスへの対応も新しい課題として上がってくる中で、国内のインプレッション品質の課題は未だに大きな問題として存在し続けており、その反面、優良な在庫を抱える国内を代表するメディアへの広告予算の投資が滞っている悪循環が続いています。その様な状況下で健全かつ効果的な広告投資を実現するため、媒体各社にとってもオープンウェブでデータプライバシーを損なうことなく、魅力的なクリエイティブを有効な消費者に届けることが可能なテクノロジーの台頭が必須になります。
今年の総括と来年に向けてのキーメッセージをお願いします。
日本市場はサードパーティークッキーの廃止に備え、マーケティングの意思決定が非常に重要になってきます。我々が今置かれている大きなパラダイムの中で、Oguryはプライバシーを最優先にしたアプローチで、ブランドや代理店が完全にクッキーレス、IDレスで適切なオーディエンスにリーチすることを可能にする信頼できるパートナーとなり得ると考えています。
新たなステージを迎えるにあたり、我々はエキスパートとして重要な役割を果たしていけると自信を持っています。私たちはプライバシー・ファーストの新しい広告ソリューションを展開する会社として、来年ますます皆様に価値をお届けできることを楽しみにしています。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。