TikTokで動画プロモーションを成功させるための秘訣-AppsFlyer、TikTok for Business、TORIHADAの3社による共同イベントを開催
AppsFlyer APACプレジデント、ローネン メンス氏
AppsFlyer、TikTok for Business、株式会社TORIHADAの3社は、9月20日に「Lunch & Learn for Video Creative」と題したイベントを、TikTok for Businessオフィスを会場として共同で開催した。
今回のイベントは、主催者側からのコミュニケーションだけでなく来場者同士も繋げるコミュニティ作りにも貢献するというコンセプトのもと企画されたこともあり、来場直後からランチ交流会、その後1時間でパネルディスカッション、そして TikTok for BusinessとAppsFlyer両社によるプレゼンテーション、さらにティーブレイクという、ゲストへのおもてなしとコンテンツがそれぞれ濃縮されたスケジュールで進められた。
(Sponsored by AppsFlyer)
冒頭には、AppsFlyer APAC代表のローネン メンス氏が開会のスピーチがあり、「世界のクリエイターエコノミーにおいて、大きなインパクトを与える存在であるTikTok for Business、そしてクリエイターをサポートするエコシステムを構築しているTORIHADA社とイベントでご一緒できることを嬉しく思っております」と述べた上で、グローバルに先駆けて日本でAppsFlyerにおいてクリエイティブ分析機能をプレローンチすることを発表。
ローネン氏は、「このクリエイティブ分析機能は10月に正式なローンチを予定しているが、東京ゲームショウの開催に合わせ、ニーズが多い日本で発表をするのが望ましいと考え、私が個人的に大好でもある東京で本日この場を持って皆さまに先行してご紹介する運びとなりました。」と、その理由を明かした。
AppsFlyerが新たにローンチするクリエイティブ分析機能により、マーケティングファネルの上位から下位まで、クリエイティブが広告施策に与える影響をわかりやすく分析することが可能となる。今回初めてAIを搭載したことで、クリエイターエコノミーや、アプリマーケティングにおいて大きな価値を生むことが期待できるとのことだ。
TikTokで成功するクリエイティブの作り方
続いて、TORIHADA 取締役 COO 卯木 研也氏、同Planner 平山 美颯氏、およびTikTok for Business Product Solutions and Operations, Product Marketing Manager ヤン シュンイ氏らによるパネルディスカッションが行われた。モデレータは、AppsFlyer Japan ヘッドオブカスタマーサクセス 新井 由美氏が務めた。
このディスカッションでは、TikTokでバズるクリエイティブ、そして動画広告のベストプラクティス、クリエイティブ活用のノウハウなどについて、説明と議論が交わされた。
平山氏(TORIHADA社)は、「TikTokでバズるクリエイティブ」について、バズるための3つのポイントがあるとし、1つ目は「データドリブンな分析」であると語った。
TORIHADA社の研究結果によると、TikTokの動画再生開始後6秒時点での動画視聴継続率が56%以上だと、100万回再生を超える見込みがある動画である。同社ではこのような視点をもとに、クリエイティブの制作を行っている。
また、TikTokへの動画の投稿後、店頭POSの動きを見ながら、最適なクリエイティブの投稿頻度についてなども、研究を重ねているという。
2つ目のポイントは「TikTokクリエイターの起用」。卯木氏(TORIHADA社)は、CGC(Creater Generated Contents)のクリエイティブこそが、TikTokにおけるプロモーションのパフォーマンスを上げるうえで重要であると語る 。
「いわゆるUGC(UserGeneratedContents)は、発信している情報自体にファンがつきやすいが、これに対してCGCはクリエイターそのもの、あるいはコンテンツそのものにエンゲージメントがつくという要素がある。ゆえに、エンゲージメントの高いファンを抱えているクリエイターを起用したクリエイティブが、高い広告効果を生み出しやすい。」と、見解を述べた。
CGCは、一般的なコンテンツと比べた場合、広告効果が高く、またその効果が継続するとのこと。そして、成果の入口のみならず、会員登録やショップ開設など、奥の成果地点における広告効果も高い。これは、「ユーザーが高い熱量のあるファンの方であることや、ファンを動かす力が確実にある方が関わっているからこそであると思っている。」(卯木氏)
また、広告効果が長持ちするであったり、視聴される縦スクロールのスワイプされる動画であったり。動画を作るうえでは如何にスワイプをされないかが重要になっている。
これを受けて、ヤン氏(TikTok for Business) は「TikTokではここ最近クリエイターを起用した広告は増え続けている。コミュニティーを作るということが、TikTokにおいてはすごく大事なこと。ユーザーは、好きなクリエイターが広告で商品をお勧めしていたら、ちょっと見てみようという気持ちになる。」と述べた。ヤン氏によると、同社のデータから見ても、クリエイターを使った広告施策のほうが、より視聴数が伸びやすい傾向が出ているという。
TikTokクリエイターとしても活躍している平山氏は、自身が月に2本ほどクライアント案件の動画を制作・納品している経験と実績を踏まえ、「1つの案件が単発の案件ではなく、冒頭の6秒を、今回はOLの要素で作る、次は子育ての要素で作る、というようにPDCAを回しながらクリエイティブを作ることが、上手くいくためのポイントであると思っています。」と述べた。
また、クリエイターを起用する際には、動画のコメント欄に注目するという。配信後のPOSの動きに影響がでた動画では、「購入したい」、「使ってみたい」というようなコメントが多く集まると指摘する。
平山氏は、動画のマーケティング目的が認知拡大であるのか、購買に結び付けるのかにより、どのようなクリエーター をアサインするのかという考え方について解説。
同社では、コメント欄の内容が、コンテンツに対してコメントしているものが多いのか、あるいは、「かわいい」や、「かっこいい」といった見た目などそのクリエイターに対する評価が多いのかで二つに分け、次にそのクリエイターが、どんなコンテンツを制作するのが得意なのか。たとえば、認知寄りのコンテンツなのか、あるいは機能理解のコンテンツなのか。これらの4つに分け、目的に分けてどのクリエイターを提案するのかを考える。そして実施後には結果を見て検証するということを繰り返すことでノウハウを蓄積し、提案の確度を高めている。
TikTokで成功する、クリエイティブのPDCAの回し方
アドテク業界出身の卯木氏は、このようなプロセスが、アドネットワーク、DSPやSSPなどを活用した広告運用と共通であると指摘する。「広告運用ではターゲティングや配信面を効果の良し悪しをもとに選別し、最適化をかけていく動きをするが、クリエイターを活用したプロモーションにおいても、考え方は同じである。」と、その考えを述べた。
また、「 どの層とのエンゲージメントが高いかがクリエイターごとに異なっており、これを分析したうえで、ハイパフォーマーのクリエイターを活用し、PDCAをかけていくことが重要である。」と、クリエイターを活用したプロモーションの成功の秘訣を語った。
そして、3つの目のポイントである、TikTokライクな企画について。平山氏は、「常に意識し、注目しているのは共感と意外性について」と説く。また、「クリエイターに制作を依頼するときクライアントが注意すべきは、クライアントが伝えたいことと、クリエイターの通常のコンテンツフォーマットとのバランスをとることである。そして、訴求量を絞りながらも伝えたいことを伝えてもらい、スワイプされないクリエイティブを作ることが重要である。」ことを強調した。
これを受けて卯木氏は、「クライアント側からするとこれだけ絞ると伝わりたいことが本当に伝わるのか、と心配されるケースも多かったりもしますし、面白いアウトプットにしたけれども、広告パフォーマンスが悪かったということもあります。そこは中間をとらえるというところで、クリエイター側と調整するのが僕らの仕事であると思うし、その匙加減は実績をもとに作っているところもあります。」と述べた。
続いて、TikTok for Businessのヤン シュンイ氏からは、2023年9月に正式に提供を開始した、TikTok for Business初のエンドtoエンドの自動最適化機能、スマートパフォーマンスキャンペーン(SPC)についての紹介がなされた。
ヤン氏によると、SPCのような広告の自動化配信は、三つのメリットがあるとのこと。まず1番目は多様なフォーマットであること。そして2番目はスマートな予算配分。そして3番目は入稿や運営の手間が省けることである。
ヤン氏は、SPCを使ったキャンペーンと、手動で実施したキャンペーンとをABテストで比較した結果、全体の80%以上のキャンペ ーンにおいて、インストールや、コンバージョンイベントあたりのコストを改善する結果を得られたと述べたうえで、同キャンペーンは、アプリ・Web両方に配信することが出来るだけでなく 、大手広告主から中小広告主まで幅広い層が使うことが出来、クリエイティブを用意すれば、キャンペーンの目的、予算、配信する対象の国・地域を設定後、すぐに配信をすることが出来るという同キャンペーンの利便性を解説。
広告効果については、大手ニュースアプリが同キャンペーンにより、インストール単価が28%低下し、CPCが13%増加したという事例を紹介した。
AppsFlyerの新機能で、データドリブンなクリエイティブ運用を実現
続いて、新井氏より、AppsFlyerが日本でプレリリースしたクリエイティブ分析機能についての紹介がなされた。
Nielsen社の調査では、広告における効果を高める5つの鍵を特定されており、広告クリエイティブは収益増の約半分(49%)を促進し、広告効果における最も重要なドライバーであるという調査結果が出ており、また今後は動画クリエイティブの配信が増えるという予想が出ている。
「昨今のプライバシー保護を目的とした規制強化の中で、ファネルの下層まで落とし込み個人レベルでターゲットを明らかにしていくダウンファネル の手法に代わり 、 ターゲット層を広く捉える上位ファネルの手法における 指標を可視化していくこと がこれまで以上に求められている 。」(新井氏)という市場背景のもと、「クリエイティブのパフォーマンスを最大化する点において、クリエイティブのデータを異なる複数のアドグループ、キャンペーン、または媒体を横断して集約し、かつデータを一元化するということをマニュアル作業でするということは、現時点においてほぼ不可能である。例えば、優秀で強力なマーケティング分析やクリエイティブチームを社内に抱える大手広告主 でも、これだけは難しい、という声を聞く 。こうした現状を考えると 、データに基づくクリエイティブアセット の評価判断 が されていない、あるいはできる環境にないことは明らかだ。」と新井氏は現在 マーケターが置かれているクリエイティブ分析環境の課題を提起し、AppsFlyerは、今回クリエイティブ分析機能をリリースしたと、開発の背景を語った。
AppsFlyerのクリエイティブ分析機能により、クリエイティブアセット自体の計測・分析を媒体やキャンペーンを横断して分析することが可能となる。
具体的には、各媒体からAPI経由で、直接クリエイティブアセットのデータをAppsFlyerのシステムに流し込み、これをAppsflyerのアトリビューションデータと融合させたうえで、キャンペーンの媒体を横断して、純粋なクリエイティブごとのアセットを、インプレッション、CTR、CPM、インストールはもちろん、7日目の収益やROASなどの指標が全てAppsFlyerの管理画面上で見ることが出来るようにな り、具体的なデータをもとに、クリエイティブの差し替えを判断することが出来る。
また、データを分析して集計するだけではなく、クリエイティブに含まれる要素を分析して、すぐに改善のアクションを取ることが出来るようなインサイトも提供できるようになった。 例えば、クリエイティブに特定の文言 を入れたらCRTが高くなる、であったり、アクションボタンがピンクの場合には、CPIがより低くなる、というように、クリエイティブに含まれる訴求・要素をもとに、高 パフォーマンスや低 パフォーマンスとなる要素 を提示して、最適化の手助けとなるインサイトを出すことが出来るという。
このクリエイティブ分析機能は、AppsFlyerのSDKがインストールされていれば、追加の改修など必要なく、数クリックで連携することが出来るようになる点もメリットと言えるだろう 。
AppsFlyerクリエイティブを漫画形式でわかりやすく解説した資料はこちらから。
限られた時間であったが、本イベントを通して、来場者はTikTokを含む 動画プロモーションを成功させるためのエッセンスを身に着けたに違いない。
終了後のティータイムでは、明るく開放的なイベントスペースで、参加者同士が軽やかに交流する姿が、印象的であった。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。