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「人と枠へ」 プログラマティック広告による広告体験向上の可能性

 

Integral Ad Science Japan(IAS)のカスタマー・サクセス・ディレクター 竹井が、「プログラマティック広告」について、そのメリットや考慮すべき要素、そして時代のニーズに応える最新テクノロジーについてお話するシリーズ。第2回目は、消費者の広告体験を向上させるプログラマティック広告の可能性についてお話しします。

(Sponsored by IAS)

 

 

前回は、アメリカでは全広告支出の90%を占めるマーケティング戦略の要となっている「プログラマティック広告」について、JAPAC(日本およびアジア太平洋)地域での状況やその利点と課題について、簡単にご説明しました。

 

おさらいになりますが、プログラマティック広告とは、広告テクノロジーとデータに基づき、自動化された手順でデジタル広告の広告枠を売買する広告を指します。複数の媒体から広告枠を購入/配信する買い手側のシステム(DSP:デマンドサイドプラットフォーム)と、広告枠を持つ媒体がそれらを販売するための売り手側のシステム(SSP:サプライサイドプラットフォーム)の2つのシステムを介して、広告主と媒体が、自動的かつ機械的に広告枠の売買をリアルタイムで行います。

 

広告取引プロセスの自動化、広告やキャンペーン作成にかかる時間の節約によって得られる効率性、関連性の高いオーディエンスへのリーチによる高パフォーマンスなど、プログラマティック広告の利点はマーケターから多くの支持を得て、世界的に大きな市場を形成しています。しかし、すべてのプロセスが自動化され、広告配信先が多様化するに伴い、他のデジタル広告チャネルよりもさらに高い「透明性」が求められています。その結果、アドフラウド(広告詐欺)やブランドセーフティ(ブランド毀損)のリスクなど、広告の品質状況を確認できる第三者による計測「アドベリフィケーション」の需要が高まっています。

 

 

低品質なコンテンツへの広告表示に伴う大きな代償

効率性や費用対効果などメリットの多いプログラマティック広告ですが、一方で単に安価で消費者へのリーチを拡大できる手法と捉えられがちな傾向には、警鐘を鳴らすべきだと私は考えています。

 

プログラマティック経由で配信される広告枠は膨大で、広告主が自社広告の掲載場所(サイト・ページ・広告枠)をひとつひとつ把握することは、残念ながらほぼ不可能です。広告主がとにかく安く、大量のインプレッションを獲得したい、それさえ出来れば広告が表示されているサイトのコンテンツ内容・品質にはこだわらないという考えに極端に傾いてしまうと、世の中に生まれるサイトの質が低下し、広告主へのブランド毀損および不正トラフィックによる広告費の無駄使いの危険性も高まってくるからです。

 

IASが実施した消費者調査によると、低品質なサイトで表示された広告に対して調査対象全体の消費者のうち34%はブランドに対する好感度が下がり、65%はそのブランドの使用を控える可能性があると答えました。そして、その責任の所在は「広告主にある」と考えていたのです。

 

 

一方で、消費者は質の高いコンテンツやサイトに表示された広告は、質の低いコンテンツ・サイトで表示された場合よりも記憶に残りやすいと大多数が考え、さらには閲覧中のコンテンツと合致する広告を求めていることもわかっています。

 

 

消費者と理想的な関係を築きたいブランド広告主が重視すべき要素は、広告インプレッションの単価ではなく、広告インプレッションの「コンテンツとの関連性」なのです。

 

 

広告とコンテンツの関連性を劇的に高めるターゲティング手法とは

では、広告インプレッションとコンテンツの関連性はどのように高めることができるのでしょうか? ここで、プログラマティック広告の出番です。プログラマティック広告では、さまざまなデータシグナルを活用し、より適したオーディエンスへの広告配信を可能にします。特に、ここ最近、消費者が閲覧するコンテンツ・文脈解析を基にターゲティングが可能な「コンテキスト・ターゲティング」への注目が高まっています。

 

コンテキスト・ターゲティングとは、その名の通りコンテンツの文脈(コンテキスト)から、自社の商品やサービスとの親和性が最も高いユーザーを事前に予測し広告入札する、プログラマティック広告取引を通じて利用できるターゲティング手法のひとつです。

 

IASでは、広告主をブランド毀損から保護し、広告インプレッションとコンテンツの関連性を高める3段階のソリューションを準備しています。

 

第一段階は、にあるのが、あらゆる企業・ブランドにとってブランド毀損リスクが高く、広告出稿を避けたいと考える7つのコンテンツカテゴリ(アダルト、アルコール、ヘイト、違法ダウンロード、違法ドラッグ、不快な表現、暴力)への広告配信を回避できる「ブランドセーフティ・ソリューション」です。これら7つのカテゴリそれぞれに対して、自社が許容可能なリスク値を設定する事ができ、きめ細かなブランド毀損対策が可能になります。

 

 

第二段階は、日本独自の広告配信制御フィルター「JICDAQ セグメント」です。

これは、JICDAQが定義する8つのブランドセーフティ要件をすべて加味した広告配信制御フィルターで、2022年にサービス提供を開始しました。今ではIAS計測を導入する日本の広告主様すべてのアカウントに標準適用され、広告インプレッションを常に監視し、ブランドリスクから保護しています。

 

しかし、ほとんどの広告主が避けたいと考える一般的なコンテンツ以外にも、例えば、国際紛争やその時々のスキャンダルなど、ブランドによっては、広告を配信したくないさらに細分化された文脈が存在します。また同時に、広告を配信したい、ブランドにとって理想的な文脈も異なります。

 

そこで三段階目として備えているのが、各広告主様が膨大な広告枠の中から、それぞれのストーリーやブランドメッセージに適した文脈へのターゲティングおよび広告制御を可能にする「コンテキスト・コントロール」です。

 

このコンテキスト・コントロールには、広告枠が設置されているコンテンツの文脈と広告の内容の関連性を深く分析し、広告主の求める適合性の高いコンテンツに広告配信を絞る「ターゲティング」の側面と、その反対に、ブランドに相応しくないコンテンツへの広告配信を避ける「アボイダンス(回避)」の両側面の機能を備えています。どちらも、プログラマティック広告で利用できます。

 

コンテキスト・コントロールは、第三者クッキー廃止後の最も有効な代替ソリューションのひとつとして注目されています。その理由をいくつか挙げてみましょう。

 

 

人間と同等レベルでコンテンツを理解する認知的文脈解析技術

IASでは、自然言語処理(NLP)を用いた特許取得済みの認知的文脈解析技術を用い、リアルタイムで広告掲載先コンテンツの解析を行い、文脈を理解します。これは、まさしく人間の脳がコンテンツを読むかのように、ページコンテンツの文脈と意味を読み解き、作者の意図を理解するだけでなく、読み手が受けるセンチメント・感情も分析することができます。

 

世界的ハードウェア機器メーカーのひとつ、HPが展開するディスプレイ広告を用いて実施した研究では、文脈に合致している広告がもたらす、アテンション(広告への注意喚起)と広告効果に与える好影響が明らかになりました。この研究では、視覚刺激に対する消費者の注意を追跡し、2つの異なるコンテンツ環境における同一の広告効果を比較しました。

 

  • 文脈を考慮したターゲティング戦略は、消費者の注目をより強く集める
    広告と文脈がマッチしていた場合、消費者が広告に気づくのに要した時間はわずか0.4秒であったのに対し、マッチしていない場合、記事の閲覧から1.0秒かかった。
  • 文脈に関連した広告がブランドの好感度と消費者の購買意欲を大幅に高める
    広告と文脈がマッチしていた場合、広告を閲覧した消費者の購買意欲は14%増加した。さらに、ブランド好感度は、文脈とマッチしていない環境で広告を見た消費者と比較して5%高かった。
  • 文脈にマッチした広告は、消費者の記憶に残り、ブランドの想起度と認知度を高める
    消費者は、文脈とマッチした環境で広告を見た場合、何の助けも借りずにブランドを記憶する可能性が、文脈とマッチしない環境で広告をみた消費者の4倍高かった。

 

この研究からも、広告掲載先コンテンツの文脈にマッチした広告は、読み手の興味を集め、有益であることが明らかになっています。成果を重視するマーケターにとって、文脈との適合性は味方につけるべき重要な要素です。

 

 

枠から人へ、人から枠へではなく「人と枠へ」

「枠から人へ」「人から枠へ」。


デジタル広告のあるべき姿を語るシチュエーションでよく使われる表現ですが、第三者クッキーに依存せず、サイトを訪れる消費者の興味や感情、置かれている状況にフォーカスし、適切な文脈で自社広告を展開するマーケティングは、「人と枠へ」と言うことになるのかもしれません。

 

顧客とのより良い広告体験を考えたソリューションのあるべき姿を、私たちIASはこれからも追求し続けたいと考えています。

 

本記事は、プログラマティック広告、そのメリット、考慮すべき要素、そしてプログラマティック広告を時代のニーズとする最新テクノロジーについてマーケターや広告主を教育することを目的とした、3部構成のプログラマティック記事シリーズの第2回目です。

 

第1回目の記事:「プログラマティック広告を制するものはデジタルを制する!? さらに重要度を増すプログラマティック広告戦略

 

(免責事項:この記事で表明された意見は、著者個人のものです。)

 

 

 

コラム執筆者

竹井  伸仁 Nobuhito Takei

カスタマー・サクセス・ディレクター(日本・韓国)

イギリスで音楽雑誌の編集者として活躍。帰国後の2003年にオーバーチュア株式会社に入社し、検索連動型広告の啓蒙・浸透に尽力。ヤフー株式会社転籍後はモバイル広告・コンテンツ連動型・広告ネットワーク品質などの業務に従事。

 

その後、アマゾンジャパンにてアソシエイト・プログラムのプロダクトマネージャー、バーバーリージャパンでのDX責任者を経て、2016年 Integral Ad Science Japan 入社。国内外の大手広告主へのソリューション導入支援と広告効果計測の標準化、持続可能で健全なデジタル広告エコシステムの確立に向け日々奮闘中。

 

 

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