最新アプリ市場トレンドと次世代のユーザー獲得戦略―Aura from Unityが共催セミナーを開催
Aura from Unityは6月28日、「Aura App Growth Forum - 最新アプリ市場トレンドと次世代のユーザー獲得戦略」を渋谷ヒカリエ(TikTok for Business Japan Office)で開催した。共催パートナーである、data.ai、AppsFlyer Japan、TikTok for Business Japanから、データ分析・計測・ユーザー獲得における各分野のエキスパートを講師に招き、2023年のアプリグロース戦略構築に必要な情報の提供がなされた。
(Sponsored by Aura from Unity)
モバイルアプリ内での課金収益は減少傾向
セミナーは「データとAIから見える最新アプリ市場トレンド」と題して、data.ai(旧App Annie)から既存事業責任者の矢野 恵介氏が登壇した。
矢野氏は冒頭、「Tinder・タップル・with、3つのマッチングアプリのうち、2023年Q1の国内売上がトップだったアプリは?」とクイズを出題。クイズの正解がTinderである旨を伝えながら「売上は機密情報なのに何故分かるのか? と疑問に思われるかもしれないが、アプリに関するたくさんの指標や市場データを独自に収集し、それらをデータとして提供するのが我々のビジネスである」と話した。
data.aiの調査によると、2022年度は約5,000億ドルとされるモバイルアプリ収益市場のうち、約33.2%(約1,670億ドル、前年度比98%)がアプリ内課金、残りの約66.8%がアプリ内広告(約3,360億ドル、前年度比114%)による売上となっている。
成長を続けるアプリのダウンロード数や利用時間などに対して、前年度割れをしているアプリ内課金について、矢野氏は「2021年のコロナ特需に対する反動もあったが、アプリ内課金市場に限れば、トップラインの成長に陰りが見え始めたという見方が優勢である」としたうえで、アプリ内広告マネタイズの可能性や、コストを下げた効果的なユーザーアクイジション(新規顧客獲得)を模索していくことを提案した。
動画広告によるユーザー獲得は”要素”のバランスが鍵
続いて「アプリ広告トレンドから分かった次世代ユーザーの獲得」について、TikTok for Business JapanからGBS Creative Solutions Manager / Data analystの王 澤氏が登壇した。
王氏は「良い(動画)広告の条件」として、課題想起・インセンティブ訴求・ポジティブな展開・ターゲット特定など、約16種類の要素を提示したうえで、「全ての要素を詰め込むのではなく、アテンションとアクション、それぞれに影響しやすい要素を理解したうえで、バランスよく入れることが大事である」と伝えた。
その前提のうえで、王氏は業界を問わず「アテンション(視聴~クリック)要因」と「アクション(クリック~獲得)要因」に影響しやすい広告の要素として、下記の内容を取り上げるとともに、広告架空スクリプトを例に示しながら説明をした。
(画像は青字がアテンション要因、赤字がアクション要因)
◆アテンション要因に影響しやすいポイント
UGCライク/動画表現手法/トレンド要素/課題想起/ターゲット特定
※UGC(ユーザー生成コンテンツ)ライクには、縦型/テロップ/ナレーション・キャラクターボイス/人物・キャラクター登場(顔出しは必須ではない)の4要素が含まれる。
◆アクション要因に影響しやすいポイント
インセンティブ訴求/無料情報/限定要素/UI提示・利用シーン/ベネフィット/ポジティブな展開
オンデバイス広告がユーザー獲得の新たな一手に
小休憩を挟んだのち、「ユーザー獲得のためのブレークスルー:オンデバイス広告」と題して、Aura from UnityからSales and Partnerships LeadのJane Wang氏が登壇した。
Wang氏はアプリユーザー獲得における現状の課題として、ユーザープライバシー制限の影響やブランドセーフティ・アドフラウドの問題を取り上げ、これらの課題を解決するために、Auraが提供しているオンデバイス広告ソリューションを提案した。
Auraでは、携帯キャリアやデバイスメーカーとのパートナーシップを締結し、77カ国・20億台のAndroid端末に対してAuraシステムを搭載し、直接オンデバイスによる広告配信を可能としている。日本でも現在キャリア事業の大手3社と提携していて、様々な機種が配信の対象となっている。
「オンデバイス広告は必ずしもプリインストール広告だけではない」とWang氏は話したうえで、オンデバイス広告を用いることで、広告主は新規端末の初期設定が終わったタイミングのほか、端末のOS・ソフトウェアのアップデート時などにも、アプリインストール広告を配信出来るようになることを解説した。
続けて、オンデバイス広告の強みとして下記の3点を取り上げた。
#1最も早い段階で全てのユーザーにリーチできる
今は誰でもスマートフォンを持っている時代のなか、オンデバイス広告を通じることで非常に広範な対象に向けて、新規端末の初期設定時という最も早い段階でリーチが可能となっているために、非常に高い競争優位性を出すことが出来る。なお、オンデバイス広告においても、ユーザーの性別・年齢以外に、端末モデル・地域・通信環境などデバイス独自のデータの活用で、ターゲティング・配信の最適化が可能となっている。
#2低コストで高いCVRが実現できる
Auraのプライスモデルは、初回起動を成果地点としたCPI(成果報酬型)を採用しているが、市場相場よりも単価を抑えた形で提供されている。また、CVR(コンバージョンレート)も通常のディスプレイ広告と比較して非常に高い割合を実現している。
#3長期的な配信効果が期待できる
オンデバイス広告は端末の初回起動時に、ユーザーが自分に合うであろうアプリを能動的に選択したうえでインストールする仕組みとなっているため、ロイヤルユーザーになるポテンシャルが高くなっている。ただし、端末の初回起動時のアプリインストールは、他のアプリも複数・同時にインストールしているケースが多いために、エンゲージメント化には一定の時間がかかる可能性が高い。Wang氏は、お部屋探しアプリとRPGゲームアプリの配信実績で、オンデバイス広告がどのように長期的な効果を実現したかを解説した。
広告表示への苦情はコロナ禍前の水準に減少
最後に「プリロード(オンデバイス)広告の計測と設定」と題して、AppsFlyer Japan株式会社からパートナーデベロップメント ディレクターの渡辺 エリナ氏が登壇した。
世界だけでなく、日本においてもAndroidユーザーが増えているなか、Google Play上には現在、300万を超えるアプリがあるとされている。
「ユーザーも300万の中から自分好みのアプリを探すのも難しいため、広告が果たす役割は大きいが、アプリインストール広告をフリークエンシーで何回も当て続けるのも大変」としたうえで、Androidのマーケットにおいてはプリロード広告を活用していくことを推奨した。
AppsFlyerには「OEM(サムソン、ソニーなど)」「キャリア(ドコモ、KDDIなど)」「App discovery platform(Auraなど)」3種類のプリロードパートナーがあり、アトリビューションメソッド(計測方法)についても、「OEM」「Google Auto Install(PAI)」「Preload referrer」の3種類を用意している。
かつてはアプリが既にプリインストールされた段階で工場から出荷され、アプリが初回起動された段階で計測を開始するOEMが多かったが、この方法では「プリインストールされていたアプリを起動するまでに、SNSやGoogle等の広告に触れていたことも想定される以上、正しいユーザージャーニーが描けなかった」と渡辺氏は指摘したうえで、今はアプリの起動前に広告へ触れているかどうかも計測可能な「Preload referrer」が生まれたとした。
最後に渡辺氏は「端末がユーザーの手元に届いた段階でいち早く、アプリを露出させない理由はない」としたうえで「広告主・代理店がAppsFlyer上で連携するのも、ワンボタンで非常にシンプル。是非使っていただきたい」と呼びかけた。
セミナー終了後には同会場にて懇親会が開かれ、参加者は軽食や飲み物を片手にネットワークの拡大や将来のビジネスの可能性など、交流を深め合あった。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。