「広告効果」から「購買効果」までの可視化で最適なマーケティング活動を―セプテーニ×フェズが語る購買データとリテールメディア[インタビュー]
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on 2023年5月22日 in
マーケティング活動の最適化において、リアル店舗での購買データ、店頭データの重要性は高まり続けている。そして、この領域で存在感を見せているのが、国内最大級のリテールデータプラットフォーム「Urumo(ウルモ)」を提供する株式会社フェズである。
約1億のID-POSデータと連携する「Urumo」を基盤に、広告配信ソリューション「Urumo Ads(ウルモアズ)」を活用することで、これまで把握が難しいとされてきた店頭での「購買効果」を明らかにしながらの広告配信が可能になる。さらに昨年11月からは、株式会社セプテーニとの協業を本格化させ、両社は購買データの価値を発信し続けている。
リテールメディアの現状や「Urumo Ads」の強みについて、株式会社フェズ 執行役員 統合セールス&ソリューション本部長 田中 友幸氏、Septeni Japan株式会社 マーケティング戦略本部 メディア/プラットフォーム領域担当本部長 本間 崇司氏に話を伺った。
(聞き手:ExchangeWireJAPAN 渡辺 龍)
(Sponsored by Septeni Japan)
約1億のID-POSデータから、店頭での購買を可視化
―自己紹介をお願いします
田中氏:株式会社フェズの田中 友幸と申します。当社は小売店様のDXをお手伝いするとともに購買データをお借りして、さらにそれらのデータを活用しメーカー様のマーケティングの支援をするという事業を営んでいます。広くいうとリテールテック事業になり、私はそこのリテールメディア事業の全体の統括を担っています。
本間氏:Septeni Japanのマーケティング戦略本部に所属している本間 崇司と申します。メディアやプラットフォーマーと向き合ったビジネスを横断的に担当しています。
―リテールメディアの現状をどのように捉えていますか
田中氏:リテールメディアは、人により中身も捉え方も異なっているという印象があります。2023年1月にニューヨークで開催されたThe National Retail Federationという展示会では、リテールメディアと名が付くセッションは軒並み満席でした。
ただ、これからリテールメディアが伸びるということはどのセッションでも語られるものの、どこでどう伸びるかまではあまり語られておらず、注目を浴びてはいるものの、実はまだうまく捉えられていない領域なのではないかと感じています。
本間氏:同じく、「複雑」というのがリテールメディアやリテールテックの領域であると思っております。アメリカにはウォルマートのような象徴的な単一プレーヤーが出ており、日本だとAmazonさんや楽天さんのようなプレーヤーも「リテールメディア」といった形でまとめられています。
さらに、フェズさんのように流通を横断しているプレーヤーなど、各社が乱立している状態なのがこの業界です。メーカー様からも注目を浴びていますが、色々なプレーヤーがいるので、どこをどのように活用していけばいいかの判断が難しく、そこの最適解はまだ不透明だという気はしています。
―「Urumo Ads」の概要についてお聞かせください
田中氏:まず、「Urumo」というデータのプラットフォームがあるのですが、ここに主にドラッグストア様からお預かりしている購買データを集積させています。それを活用して、特にメーカー様のマーケティング活動をサポートするのが「Urumo Ads」になります。
ここでは、小売店様のデータを活用した適切なターゲティングや広告配信、さらに配信後に商品が店舗で買われたかどうかまで、オフラインでの購買効果をトラッキングできる仕組みを提供しています。これは、小売店様がお持ちのID-POSデータや、モバイル端末データをお貸しいただくことによって実現しています。
資料提供:株式会社フェズ
―保有しているデータ量や接続先の広告媒体はどのようなものになるのでしょうか
田中氏:常時連携しているID-POSデータは約1億あり、さらにモバイル端末のID数も870万ほどあります。また、店頭の連携数は9460店舗になります(※1)。広告の接続先として主要媒体は押さえており、YouTube、Facebook、Instagram、Twitter、スマートニュース、LINEなどです。
―セプテーニから見た「Urumo Ads」の強みや特徴はどのあたりでしょうか
本間氏:連携している小売店様が豊富なので、購買データの量も膨大であるという点です。やはりデータ量が足りていないと、広告配信後の分析も変わってきます。また、接続している広告媒体も多いので、配信先にバリエーションがあります。クライアント企業の商品タイプや目的によってメディアが使い分けられるのは、大きな利点になります。
さらに、配信した後に購買データを使ってどれだけ効果を可視化できるかが最大のポイントになりますが、その分析レポートが非常に手厚く、小売店様のデータを扱っているテックカンパニーならではの幅や深さを持っている点は非常に魅力的です。
―分析はどのような粒度で返ってくるのでしょうか
本間氏:クリエイティブやターゲティング、年代や時間別など、基本的にはクライアント企業の出したい粒度に合わせてコントロールできます。やはり一番分かりやすいのは、クリエイティブ別や広告の接触・非接触で、どう購買率に変化があるのか分析ができる点です。
広告出稿後に店頭で商品がどれだけ売れたかという、今まで可視化しづらかった部分を明確にすることができます。当社と昔からお付き合いのあるクライアント企業の中にも、購買効果まで可視化された状態でPDCAを回すという施策をやり続ける事例も出始めています。
複雑なデータから仮説を明らかにするセプテーニとの協業
―「Urumo Ads」の活用実績や事例についてお聞かせください
田中氏:現在、日用消費財メーカー様を中心に100社以上340ブランドでご利用いただいているのですが、その中の1つとして、UCC上島珈琲様のUCCゴールドスペシャルでの施策があります。これまでデジタル広告が実店舗での売り上げにどのぐらい寄与したのか、何が上手くいき何が課題だったかの検証が困難であったという状況で、クリエイティブ別に一番効果が良かった訴求と悪かった訴求を分析したところ、購買率に128%もの差があったということが明らかになりました。
また、エステー様も同じく、広告の接触・非接触での購買率の差を出したのですが、ここではさらに相関分析を算出して広告接触から購買に至る日数までが明らかになりました。この分析を通してキャンペーンの期間の設計にも役立てていただいています。
―電通グループと協業に至ったきっかけや背景についてお聞かせください
田中氏:スピード感を持った新プロダクトのリリース、販売、マーケットでのサービス周知と考えたときに、自社で全てを賄うことはなかなか現実的ではありませんでした。そこで電通グループはリテールメディア領域に非常にアグレッシブだったということもあり、良いシナジーが生まれるのではないかということで協業に至りました。
―協業の中でセプテーニのどの辺りに強みを感じていますか
田中氏:レベルが高いというとおこがましいのですが、私たちの複雑なレポートを前にしたときにも、「これ面白いじゃないですか!」という反応が返ってきて、いつも頼らせていただいているパートナーです。また、仕事を進める上でのスピード感もベンチャーである当社と近く、セプテーニさんは大きな会社ですが、ベースには今でもベンチャースピリットがあるのではないかと感じています。
本間氏:私たちのようなデジタル専業代理店に所属する社員は、細かいデータが好きなんです。元々デジタル広告では多くのデータを見ることができるのは当たり前という世界ですし、色々な仮説の種がそこに潜んでいると思うと、つい細かく見たがるという傾向はあると思います。
―ベンチャースピリットのお話もありましたが、セプテーニは新しいものをいち早く取り入れるイメージがあります
本間氏:世の中の流れを後追いするよりは、自分たちで実績を作るというアイデンティティは強いです。フェズさんとのお取り組みがまさにそうなのですが、新たな領域にもファーストペンギンとして飛び込んで、突破していくということに関しては自信もありますし、そういった意識はそもそもの社風としてもあると思います。
店頭での購買データは非メーカーにとっても大きな価値となる
―2社での今後の展望についてお聞かせください
田中氏:ドラッグストアに配荷していないカテゴリーのクライアント企業にどのように広げていくかを含めて、新しい取り組みを推進していく予定です。我々だけでは足りていないことが数多くありますので、セプテーニさんの力をお借りしながら、商品プロダクト開発の磨き込みや、全体的なセールスの部分も含めて、ご一緒させていただくことを楽しみにしています。
本間氏:展望として3つあり、リテール領域の複雑性の部分を分かりやすく市場に浸透させたいということが1点目です。2点目は、しっかりと「Urumo」の世界観や強みを伝える拡声器になりつつ、クライアント企業を増やしていきたいと思っています。3点目は、新しい領域に対しても購買データを使ってもらえるよう開拓したいという気持ちが強いです。
メーカー様への取り組みは継続しつつ、非メーカー様へのチャレンジというところが今後の拡大のレバーになると信じているので、実績を貯めつつ提供するモデルを形作っていきます。
―非メーカーへの拡大余地についてはどのように見ているのでしょうか
本間氏:プラットフォーマーが独自で取りに行くデータと違い、店頭で売れた商品から得られる購買データは曖昧性が低いです。そういった購買データの利用は、ドラッグストアに配荷しているメーカー様に限定されるものではなく、非メーカー様の広告マーケティングプランにおいても、強力な助けになるのではないかと仮説を持っています。
田中氏:分かりやすい例で言いますと、オムツを定期的に購入している方は新生児が近くにいる可能性が高く、ひいては新しいライフステージに入ったと捉えることができます。そういったデータの塊は、例えば保険会社などにとっても需要が高いのではないかと仮定することができます。このように、データが集まってくるにしたがって新たにどのような使い方ができるのかも検討を進めています。
もちろんデータをお借りしている小売店様自身の事業とぶつからないよう協議させていただくことを大前提として、新たな「Urumo」プロダクトのリリースも視野に入れています。購買データに新たな価値を付与するとともに、非メーカー様に対してどのようなマーケティング支援でお役に立てるのかは、今後のチャレンジの大きな柱になってくる部分です。
・セプテーニへのお問い合わせ
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ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当
立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。
その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。